夜の渋谷を歩く、知らない誰かの会話。日本に来てから、日本語でのコミュニケーションを身につけるために、他人の会話を盗み聞きしていた。次第に公共の場で他人の会話を聞くことに魅力を感じるように。他人の会話は、人に宿る複雑な宇宙をのぞく窓のようだ。

「渋谷にて」は、アンドレス・マドルエニョ監督が夜の渋谷を舞台に描いた作品です。監督自身が他人の会話に魅力を感じ、それを映像化したもので、公共の場で無意識に耳にする他人の会話から、人々の背景にあるものは何かを探求します。カメラは知らない誰かの会話に向けられ、その会話が描き出す人間ドラマを浮き彫りにします。渋谷の人混みの中で繰り広げられるさまざまな人間模様を通じて、観る者に多様な人間性と生き方を問いかけます。