ー レビューを読む（ネタバレ有）ー 終始、特に惹かれる場所も無く終わった印象でした。映画を観ているというより、ドラマを観ているくらいの感覚でした。あれだけ恨みと口約束をしたにも関わらず、最終的には言葉通り打首しないんかーい！というツッコミが出ました。

草彅剛さんが濡れ衣を着せられた悲劇の武士を演じるこの作品、たまたま他作品を追っかけてシネコンに通っていた時期に何度も何度も予告編を見て、どうしても見たくなり公開初日に観に行きました。その時に白石和彌監督が手掛けた初めての時代劇であったと知り、ちょっと意外な気持ちに。カオスとも言うべきそのお仕事履歴で培った人の心の毒や闇や、意外なほど濃やかで優しい瞬間が畳みかけてくる時間で一瞬も目が離せませんでした。清廉であれとその意志を変えず、娘とともに貧しい暮らしに堕ちながらもその生き方を変えられなかった武骨で誇り高い男の姿は、現代劇では描けない骨太さがありました。

草彅剛さんが演じる主人公が復讐を決意したときの表情の変化が強く印象に残っています。前半の穏やかな雰囲気と後半の緊張感のある展開に、しっかり緩急がついていて良かったです。