豊かな自然に囲まれたとある地方都市。ごく普通の高校生、高城一砂は最近なぜだか体の不調を感じていた。一砂は幼い頃母が他界すると、実の父の手で叔父夫婦に預けられ、以来そこで家族同様に育てられてきた。ある日、ふと立ち寄った放課後の美術室で同じ美術部の八重樫葉と出会う。彼女に対し一砂は密かに好意を抱いていた。意外にも絵のモデルを頼まれた一砂は、その刹那、悪夢のイメージに襲われ意識が遠のいていく……。そして、悪夢に悩まされる一砂はある日、何かに導かれるように自分が生まれた家を訪れていた……。

「羊のうた」は、自然豊かな地方都市で生活する高城一砂の物語。体調不良に悩む一砂は、美術部の八重樫葉と出会い、彼女の絵のモデルを頼まれる。しかし、その瞬間、悪夢のようなイメージに襲われ、意識が遠のく。悪夢に悩まされる一砂は、自分が生まれた家を訪れ、姉の千砂と再会する。千砂から父親の自殺と、血を吸いたくなる高城家の奇病を知らされる。発作に見舞われた一砂は、千砂の血を舐めることで発作が収まる。千砂は、父親が自分を必要としていたことで生きてこれたと語る。