現在、毎週土曜日21時より放送中のドラマ『なんで私が神説教』に出演中の林裕太さん。5月24日放送の第7話では林さんの演じられた西畑塁(にしはたるい)にスポットが当たります。
10月公開の映画『愚か者の身分』では綾野剛さんや北村匠海さんとの出演も発表され、今まさに大注目の林さんにインタビューしました。
話題沸騰中のドラマと映画についてや、目指す俳優像なども語っていただきました。
ドラマ『なんで私が神説教』作品紹介
無職生活を脱却するためになんとなく高校教師になった主人公・麗美静(うるみしずか)
静が勤める私立名新学園の教師たちのモットーは
「生徒とは程よい距離感で。怒るな、褒めるな、相談乗るな」
静もそれに乗っかり、トラブルを避け、生徒に深入りしないよう過ごすはずが、いつしか問題児揃いの生徒たちの事情に巻き込まれ、“説教”を(したくもないのに)しなければならない状況に追い込まれ、「なんで私が説教を!?」…と、奔走するハメに。
そして静はとんでもない説教を繰り出す!
果たしてそれは!?
ドラマ『なんで私が神説教』公式サイトより引用

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『なんで私が神説教』の和やかな“教室”「すごくいい現場です」

ードラマ『なんで私が神説教』で西畑塁役を演じられています。このキャラクターはどのような人物でしょうか。
林裕太さん(以下、林):塁の最初の印象は、明るくてお調子者で、クラスのムードメーカーのようなイメージでした。でも、演じていくうちに周りをよく見ているところや、ただ明るいだけじゃない親切な一面があることに気が付きました。
だから塁を演じていて楽しいです。
ー役作りについても教えてください。
林:僕は塁のような明るい性格ではないと思います。今まで制服を着る機会は多くても、学園ドラマは今回が2回目で、クラスのお調子者なキャラを演じるとなると少し恥ずかしさもありました。
それを緩和するためにもなるべくクラスのみんなとお話をして、自分にとってお芝居しやすい環境を作れるように心がけました。
ークラスのみなさんとお話をしたなかで、印象深いエピソードはありますか。
林:一緒に人狼ゲームをやって、すごく楽しかったです(笑)。
同じクラスの七海海斗役の水沢林太郎くんとは、教室で席が隣だったこともありプライベートで一緒に遊びに行くぐらい仲良くなりました。
先輩に誘ってもらって一緒にご飯食べに行くということは以前にもありましたが、同年代ぐらいの役者さんと現場で会って、撮影期間中に一緒に遊ぶってなかなかなかったので嬉しかったです。
ーそうなんですね。林さんから見た水沢さんはどのような方でしたか。
林:最初は結構シャイな方だと思っていましたが、話していると僕のしょうもないボケも全部拾ってくれるんです。だから僕も話していて楽しくて(笑)。
適当に話す感覚みたいなものがすごく似ていると思うから、一緒にいて居心地がいいです。
ープライベートで遊びに行ったというのは何をされたんですか。
林:すごく可愛らしいんですけど、表参道で一緒にアサイーボウルを食べました。
そのあと目的もなく表参道とか渋谷のあたりをぐるぐる10キロくらい歩いて、最終的に明治神宮でドラマの成功祈願をして帰りました(笑)。
ーキラキラした休日ですね(笑)。
林:二人ともアサイーボウルを食べたことがなくて、食べてみようって話になったんです。おいしかった(笑)。

ーいいですね。和やかな撮影現場だったことが伝わってきました。
林:現場では生徒役のチームで一緒にいることが多かったですが、全体的にすごく和やかで落ち着いていました。
生徒役の中では僕が最年長で、若い方が多い現場でしたが、みなさん精神年齢が高くて落ち着いていました。でも、楽しむところは楽しむし、真面目なところは真面目にやるというメリハリがしっかりある現場だったので、僕もやりやすかったです。
ー撮影中に監督さんと話し合われることもありましたか。
林:結構ありました。僕は台本に沿ってやっていくことも大事なのかなと思っていますが、実際にやってみると「塁だったこう言うかもな」みたいな違和感がありました。
そうした時は、監督がいち早く察して声をかけてくださったので、僕も意見を言いやすかったですし、お互いに作り上げていけるすごくいい現場でした。
役への深い洞察と理解。演じたのは野球を失い葛藤する高校生

ー今回の役が決まったときのお気持ちを教えてください。
林:学園ドラマ自体の経験があまりなかったのと、クラスの盛り上げ役という役柄だったので、自分にとって挑戦だと思いました。
今までは暗い役が多かったから、今回の役を通して役者としての幅が広がっていくだろうと思って臨みました。
ー第7話が林さん演じる西畑塁に焦点の当たる回だと聞きました。特に印象に残っているセリフやシーンはありますか。
林:塁が静先生に「なんの為に勉強ってするんですか」と聞くシーンです。
塁は今まで野球のために生きてきて、他のことを切り捨ててまで野球に打ち込む覚悟があったけど、不本意な形でその将来が閉ざされてしまって、「本当だったら俺はこうなれたのに」という思いを抱えながら勉強をしなくてはならないんです。
でもそれだと、どうしても勉強のやる気は出ないし、塁自身「自分は何のために存在しているのか」「これから妥協した人生を生きていくのかな」って思っているから、勉強をする意味を見出せずにいます。
そうした気持ちを抱えながらのセリフだったので、印象深かったです。
ーなるほど。このドラマは毎話、胸に刺さるセリフがありますよね。
林:共感できるところも魅力です。
静先生は「もう忘れなさい!」と言いますが、塁もそれを分かってはいるんです。
自分が前に進めないでいる理由を忘れるしかないと理解していて、ずっと向き合いながら先へ進んでいく塁に、静先生は寄り添ったうえで「忘れなさい」と言ったんだと思います。
「ひとりで抱え込むんじゃなくて、頼る人がいるんだよ」ということを示したうえでの「忘れなさい」という言葉だったので、塁という役を背負った僕の心にもよく残っています。
ー深いですね。第7話の放送が楽しみです。
林:特に第7話の内容は、いつの時代にも通ずるものがテーマになっているので、色々な人に共感してもらいながら見てほしいなと思います。
10月公開の逃亡サスペンス映画に出演。体感した「生きていくこと」

ー10月公開の映画『愚か者の身分』への出演が発表され、話題になっていました。この作品ではどのような役を演じられるのでしょうか。
林:この映画は、戸籍売買でお金を稼いでいる3人の男たちが闇ビジネスの世界から抜け出す逃亡劇です。この3人を綾野剛さん、北村匠海さんと僕で演じていて、僕はこの3人の中で一番年下のマモルという役です。
マモルは北村匠海さんが演じるタクヤから「お金を稼ぎたいなら一緒にバイトやろう」と誘われて、戸籍売買という闇ビジネスをはじめましたが、最終的にはその仕事から抜け出すために、タクヤが起こす事件に巻き込まれていくような人物です。
ー『なんで私が神説教』の役とはまた全然違うキャラクターですが、その役作りはどうされましたか。
林:物語全体がダークだし、マモルの背景にある事情や過去の出来事は全く経験がないことだったから、「どうしたら自分自身が背負って演じられるか」を考えました。
どういう心情で闇ビジネスに手を出したのかを想像しながら役作りをしていきました。
ーこの作品の出演が決まった経緯を教えてください。
林:オーディションを受けました。空気感は面談みたいで、最初はすごく緊張しましたが話していくうちに段々と皆さんが興味を示してくれて、そこからは緊張もほぐれて、より自分を出せるようになりました。
そしたらオーディションの終わりに、プロデューサーさんから「林君、筋肉落としておいて」って言われて、「これはもしかしたら」と期待しながら帰りました。

ー綾野剛さんや北村匠海さんと共演されてみてどうでしたか。
林:学びになることがすごくたくさんありました。
共演したからこそ僕の中から引き出された演技もありましたし、みなさん毎回「大丈夫」「できる」と声をかけてくださったから自分を信じることができました。
ーなるほど。現場でコミュニケーションをたくさん取られていたのですね。
林:僕はすぐ聞いちゃうんですよ。「ここはどう演じたらいいと思いますか」とか。
そうすると一緒のシーンも多かった匠海くんが丁寧に答えてくれました。そういう会話からだんだんとプライベートの話もするようになって、匠海くんとは何度かご飯にいきました(笑)。
ー公開が10月とまだ先ですが、公開へ向けて意気込みをお願いします。
林:この映画は、綾野剛さんが演じられた梶谷からタクヤ、タクヤからマモルへと生きていくこと、「生きなきゃいけないんだよ」とメッセージを繋いでいくお話で、実際に演じて「人のために何かをすることが、誰かを生かすことでもある」と感じました。
この映画からそういう想いを感じ取ってもらえたらすごく嬉しいなと思います。
若手俳優・林裕太の現在地「僕も今すごく楽しい!」

ー今でも印象に残っている、林さんの俳優人生でターニングポイントとなった作品はなんですか。
林:どれもそうですがひとつ挙げるなら、『HAPPYEND』という未来の日本を舞台に二人の高校生を描いた青春映画です。
撮影現場もすごく楽しかったですし、海外の方からもこの映画の感想をいただいたりとか、実際に海外に行ってその映画が愛されている雰囲気を感じ取れたことが思い出深いです。
日本だけではなく、世界中の人に見てもらえる作品に出演して、映画やドラマに貢献出来る俳優になりたいと思うようになりました。
ードラマや映画とご活躍されている林さんの、今後の目標はなんですか。
林:普段映画やドラマに触れないような方でも「この作品は見た」というような、多くの方に見ていただける作品に起用される役者でありたいし、映画やドラマ好きな方やコアなファンの方に「面白い」と思ってもらえるような作品にも出演していきたいです。
監督さんやプロデューサーさんから「こんな役あるけど林裕太ならやってくれるんじゃないか」と思われるような役者でいたいです。
ーその中で林さんが大事にされていることや演技との向き合い方について教えてください。
林:楽しむことです。とにかく楽しいからやっているという先輩が多くて、僕も今すごく楽しい!
続けていれば心境もいろいろ変わっていくと思いますが、それでも楽しいと感じるところを探すことも大事だし、それに全力で向き合える姿勢を作っていく。何かに頼るのではなく自分で、というところを大切にしたいです。
期待されている以上のものをお芝居で返さなきゃいけない、返したいと思う気持ちもモチベーションになっています。
ー今後挑戦してみたい役などのイメージはありますか。
林:体を動かすことがすごく好きなので、例えばたくさん走る脱走犯の役とか、アクションにも挑戦してみたいです。今までにないような役もやっていけたらいいなと思います。

林裕太(はやしゆうた)プロフィール
2000年生まれ、東京都出身。
2021年に映画『草の響き』で映画初出演を果たし、2022年には映画『間借り屋の恋』で初主演を果たす。その後映画『少女は卒業しない』や『ブルーイマジン』、『オアシス』、『HAPPYEND』など数多くの映画作品に出演。
また、ドラマ『パーフェクトプロポーズ』や『透明なわたしたち』などの話題作にも出演し、映画やドラマをはじめCMやMVなど、活動の幅を広げている。
写真:髙橋耀太