乃木坂46の2期生のオーディションに合格後、いきなりセンターに抜擢され華々しくデビューした堀未央奈さん。
卒業後女優として活躍中の28歳の堀さんが、映画『遺書、公開。』で、序列1位にさせられた女子高生役を熱演されています。乃木坂時代の悩みと今回の役がリンクすると言う堀さん。学校の人間関係で苦しむ中高生のために、当時の悩みを伺いました。
映画『遺書、公開。』作品紹介
1学期の春、2年D組に送られてきた【序列】ー
そこには生徒と担任、全員の明確な順位が示されていた。
タチの悪いイタズラだとしたら、誰が何のために決めたものなのか?犯人が分からないまま時は過ぎ、ある日ー
誰もが羨む序列1位の姫山椿が学内で自殺した。そして葬儀の次の日、クラス全員に姫山からの遺書が届くー。
死んだ姫山の遺書がなぜ教室に?1位の彼女はそもそもなぜ自殺したのか?遺書は本当に姫山が書いたのか?衝撃の事態の中、姫山の自殺の真相に迫るべく、25人全員が自分の遺書をクラスメイトの前で公開することになる。だが彼らは知らなかった。その日から、学級崩壊までのカウントダウンが始まってしまったことを…!
死者から明かされる衝撃の真実を、あなたは知りたいですか?
それでは、遺書公開を始めますー
1月31日(金)〜 丸の内ピカデリーほか全国順次公開
映画『遺書、公開。』公式サイトより引用
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池永柊夜(いけながしゅうや)役の吉野北人さん、廿日市くるみ(はつかいちくるみ)役の志田彩良さんの対談記事はこちらから👇
序列1位にされた姫山椿の悩みを演じて、乃木坂をセンターから始めた16歳の自分を振り返る。「序列とはある意味、偏見」
―今回の映画は、『遺書、公開。』というショッキングなタイトルで、堀さんは、その遺書を書いたとされる自殺した生徒の姫山椿役ですね。
堀 未央奈さん(以下、堀):とてもメッセージ性がある作品です。なので、暗い部分はあるかもしれませんが、監督が『ヒロイン失格』や乃木坂の他のメンバーが出演した『あさひなぐ』の英勉監督なので、暗さを感じさせない、エンタメ性がふんだんに盛り込まれています。
実は、英監督の作品は小さい時からたくさん観ていました。特に、『ヒロイン失格』が大好きで、このお仕事を始める前の中学生の頃から、もう10回以上、観ています!
―監督の撮り方とかでお好きなのはどういったところですか?
堀:『ヒロイン失格』は、コメディの要素が好きです。
今回の『遺書、公開。』は、編集やストーリーの展開のスピード感など、監督の色がとても出ていて、シリアスな映画が苦手な人でも面白いエンタメとして、見やすいんじゃないかなと思います。
―姫山椿役に決まった時の気持ちを教えてください。
堀:もう、嬉しかったです!
年齢とかいろんなことにとらわれずにいろいろな役をやっていきたいと思っていたので。28歳で高校生の役なので、みんなにびっくりされたと思うのですが、ファンの方が、とても喜んでくれました。
―椿を演じたいと思われた決め手はなんでしょうか?
堀:英監督の作品にまずは出てみたいという想いがありました。
『遺書、公開。』の原作を読んだ時に、姫山椿ちゃんの役に一番惹かれて、この子の役を今の自分で演じたいなって強い想いを抱きました。
―椿に惹かれたのは、ご自身と似ている部分があったからですか?
堀:そうですね。似ている部分がある役は珍しいです。
『遺書、公開。』は、ある日、クラスの序列が何者かによって作られて突如送られてくるんですけど、椿ちゃんは、序列の1位に決定させられます。
意図せず1位にされて、嬉しい反面、戸惑いみたいなものがもちろんあると思います。
私も、乃木坂をセンターからスタートしているので。
―突然センターになった当時の堀さんと椿の序列1位が状況的に重なって共感するという感じでしょうか。
堀:本当にとても重なる部分が多いなと。
もちろんアイドルはセンターを目指す子が多いので、嬉しいんですけど、普通の一般人だった16歳の私が突然背負えるものでもなかった。「センターだからすごい子なんでしょ」と見られるのが苦しかった時期もありました。
椿ちゃんが1位としての期待に応えようとするところや、立場的に明るく振舞わなければいけないところも、乃木坂のステージで歌っていた時の自分にとても重なりました。
―監督には、堀さんご自身のことをお話しされましたか?
堀:監督とは、自分の今までの出来事とか当時の想いも深く話せました。
10代の私だったら、きっと椿ちゃんと同じように傷ついていたのですが、今の私だとポジティブに考えられる(笑)。
その気の強さを出さないように意識しました。
監督は私の気の強さが出ると、「椿ちゃん、落ち着いて」みたいなカットかかって(笑)。
―監督から役作りにあたって何かありましたか?
堀:キャスト全員に監督が寄り添って、一緒に戦ってくださって作り上げた作品です。
「ここは無邪気でいいかもね」とか「ここは誰にも見せない部分かもしれないね」とか自分の分析で足りてなかったところを付け足してくださいました。
“クラス全員を落ち着かせる吉野さんの魅力”と“演技初めての松井さんの牽引力”
―座長の吉野北人さんと共演された印象はいかがでしたか?
堀:吉野さんはもともと持っている天性の魅力がすごくある人だと思いました。
役の池永柊夜と吉野さん本人のキャラクターが似てるのかなと思うくらい、現場ではどんな時も池永でした。
池永の柔らかい雰囲気みたいなのがずっと現場で流れてて。吉野さんが、どっしりと落ち着いていらっしゃるので、みんなも落ち着いて、けっこう大変な、厳しいシーンを取り乱さずにちゃんとすることができたと思います。
―他者を落ち着かせる吉野さんの魅力に触れて、堀さんは何を感じましたか?
堀:私はやっぱり、演じるのがきついシーンも多かったんですね。でも、一緒のシーンは懐かしさを感じるようなゆったりとした時間を感じて。
それは、吉野さんご本人が持ち合わせている、もともとの魅力ではないかなと思います。
―とても心の交流が感じられるお話です。
堀:ありがとうございます。
―あと、クラスメイトの男子だと、堀さんの役の姫山椿には、彼氏がいます。椿が序列1位で、2位が彼氏の赤﨑ということで、ストーリーにも絡んでくるのか、期待が膨らみます。赤﨑理人役の松井奏さんとのエピソードを教えてください。
堀:現場では、よく話をしてくれて、みんなの弟みたいな存在でした。
松井さんはお芝居が初めてと思えないくらい、クラスを引っ張ってくれました。
でも、クランクインの時はすごく緊張してたみたいです。でも全然そんな風には、見えないくらい堂々としていました。
―どんな話を?
クラスメイトのみんなでよくご飯を食べてたんですが、みんなも和食やお米が好きだったので、「ここの米が美味しい」みたいな話題でよく盛り上がっていました。
―この映画の記者会見で堀さんがMBTI診断をされているというのを拝見しました。
堀:話のきっかけになるので、みんなと打ち解ける時に、ご飯の話かMBTI診断の話をしていたんです。
―なるほど、きっかけづくりですね。ところで、MBTI診断の結果が気になります。
堀:私はENTP(討論者)で、松井さんはISFJ(擁護者)。
実はENTP(討論者)とISFJ(擁護者)は相性悪いらしいんですよ(笑)。
クランクインで緊張してた時に、後ろの席に座ってた私が急にその話をしたので、ちょっと悪いことしたかなって…。でもそれをきっかけに、気を使わずに松井さんからも話しかけてくれるようになりました。
―撮影後もプライベートで仲がいい方はいらっしゃいますか?
堀:志田彩良ちゃん(廿日市くるみ役)が打ち上げで仲良くなって一番会ってます。MBTI診断ではESFP(エンターテイナー)だったかな。
現場でよく話したのは同じシーンがあった、髙石あかりちゃん(御門凛奈役)と星乃夢奈ちゃん(栗原瑞希役)。3人で一緒に帰ったり写真撮ったり、学生生活みたいでした。
スクールカーストで悩む10代へ。学校は狭い世界。教室が人生ではない
―「序列」がテーマのこの映画ですが、序列についてどうお考えですか。
堀:乃木坂46は、選抜発表があって、センターから始めて、アンダーメンバーになったこともありました。
でも、グループの活動では、どのポジションにも役割があって、センターやフロントメンバーが全てということではなくて、自分がそのポジションにいる意味を毎回考えて行動していました。
選抜に入れなかった時は、その理由がちゃんとあるので。その理由もちゃんと考えて、今自分は頑張らないといけないなって思ったりしていました。
―辛かった時の気持ちのそらし方はどうされていましたか?
堀:うーん…もはや私の場合は、傷つきすぎて自分が強くなってしまったパターンですね。
10代の時は、なかなか立ち直れない位、辛いことがたくさんありました。
高校生の時に、自分の意思でオーディションに応募して上京したので、プライドもあるし、甘える場所もないし、やるしかなかったので、頑張りました。
―7枚目のシングル『バレッタ』でセンターに抜擢されたのが2013年で、卒業が2021年。
努力をされてきていたのに辛かった時期があったということですが、辞めなかったのは何故ですか。
堀:いつも近くで応援してくれるたくさんの人達を、いい意味で、びっくりさせたいという想い。そして、恩返しもしたかったです。
自分としても、覚悟を決めて上京したので、逃げ出すんじゃなくて、ちゃんと満足して、みんなにお祝いされて卒業したいと思っていました。
つまり、自分のプライドです。
―今、つらい立場にいる中高生に向けたメッセージをお願いします。
堀:序列とまではいかなくても、自分の自己肯定感から、自分をグループの中で最下位と決めてしまったり、あの子はあれができているから3位とか心の中で勝手に決めて苦しくなっている人がいるかもしれないなと思いながら撮影していました。
学校のカーストみたいなことで悩んでいる子もいるかもしれないですが、学校は本当に狭い世界。学生で悩んでる時は、いっぱいいっぱいで客観的にはなれないと思うんですけど、
割り切って過ごしてほしい。もしも中高の人間関係で悩んでいたら、勉強する選択肢もあるし、転校や就職も選べます。私は高校1年で上京してるので、やっぱりそういう道もすごくいいよっていうのを伝えたいです。
教室が人生の全てではないです。
―今、忙しくてもこれだけはしていていることがあれば教えてください!
堀:なるべく温かいものを作って食べています。
よく作るのはお鍋。夏でも一年中食べています!
あとはお味噌汁も好きです。鶏もも肉を煮込んで出汁を取ったあと、麹と甘酒を入れて味噌と赤味噌を4対3とか3対2とかの割合で入れます。具材はネギをいれています。
あと、母が好きだと言ってくれるのは生姜焼きです。
―こだわってますね。
堀:あと、お風呂には毎日入ります。
夜更かしもしないで、早目に寝ています。今日は、12時間寝ました。
ちゃんと睡眠を取って、しっかりご飯を食べていると、悩みがあっても精神的に落ちることが少なくなっています。
―Youtubeのメイク動画が十代の女の子に人気ですが、メイクやスキンケアでこだわりなどはありますか?
堀:そうですね。私は敏感肌なので、スキンケアは成分をチェックして決めています。
あと、早いうちから、食べ物やコスメもきちんとしたものを使っていれば、エイジングケアになるのでいいと思います。
―最後に、女優として、今後の目標について伺えますか?
堀: 生きる希望みたいなものを与えたいです。これはアイドルの時もそうだったので、同じマインドです。
私は今まで、映画やドラマを見て精神的に支えられてきましたし、これからは、自分の人生の中の時間を、その役に落とし込んで演じたいです。
あとは、他の役者がやってないことをしてみたいのと、「唯一無二の役者」と言われるように頑張りたいです。
堀 未央奈(ほり みおな)プロフィール
1996年生まれ。岐阜県出身。2013年、乃木坂46の2期生のオーディションに合格。7thシングル『バレッタ』でセンターに抜擢され、脚光を浴びる。その後センターを外れた後も、不屈の精神で、乃木坂を人気アイドルグループにした伝説のエース。2019年に山戸結希監督の映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』で主演に抜擢される。2021年3月、乃木坂46を卒業。2021年、7月『サレタガワのブルー』(毎日放送)で地上波の連ドラ初主演。不倫した妻を好演。以降、多くのドラマに出演し、女優としての活躍が注目されている。
現在、『遺書、公開。』と『死に損なった男』の2本の映画が公開予定である。
【映画】『ホットギミック ガールミーツボーイ』山戸結希監督(2019)初主演、『遺書、公開。』(2025年1月31日公開予定)、『死に損なった男』 (2025年2月21日公開予定)
【ドラマ】『ホメられたい僕の 妄想ごはん』(2021)ヒロイン役、『サレタガワのブルー』毎日放送(2021)地上波連ドラ初主演、『金魚妻』Netflix(2022)、『モンスター』第7話 カンテレ(2024)、『風のふく島』第1話 テレビ東京(2025) 他多数
【舞台】『あさひなぐ』(2017)
【バラエティ】『ロンドンハーツ』テレビ朝日(2024)、『ダウンタウンDX』日本テレビ(2024)他多数
【情報番組】『所さん!事件ですよ』NHK(2025)、『ゲームゲノム』NHK(2024)
【ミュージックビデオ】『冷たい水の中』(山戸結希監督)
【雑誌】「VOCE」
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文:姫田京子
撮影:髙橋耀太