『ヒプマイ』声優・神尾晋一郎が夢を叶えるために続ける努力

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個性豊かなキャラクター達がラップバトルを繰り広げる映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』。「ヨコハマ・ディビジョン」MAD TRIGGER CREWの元軍人、毒島メイソン理鶯(ぶすじま メイソン りおう)を演じる神尾晋一郎さんにインタビュー。

ヒプマイにかける想いや収録の裏話、神尾さんが夢を叶える秘訣などたくさんお話を伺いました。

映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』作品紹介

【ヒプマイとは】

2017年9月に始動した音楽原作キャラクターラッププロジェクト“ヒプノシスマイク”

総勢18人の個性豊かなメインキャラクターが「イケブクロ・ディビジョン」「ヨコハマ・ディビジョン」「シブヤ・ディビジョン」「シンジュク・ディビジョン」「オオサカ・ディビジョン」「ナゴヤ・ディビジョン」の6チームに分かれ、熱いラップバトルを繰り広げる。

バトルを彩るラップミュージックには、日本のヒップホップシーンを牽引するラッパー・トラックメーカーがクリエイターとして参加。

また“ヒプノシスマイク”では、コミック、ゲームアプリ、舞台、アニメなど、様々なメディアミックスも行っている。

【映画のストーリー】

H歴…。人の精神に干渉する特殊なマイク「ヒプノシスマイク」の登場により、戦争は根絶された。このマイクを通したリリックには人の交感神経・副交感神経等に作用し様々な状態にする力があるという。女性党首率いる”言の葉党”が政権を握り、男たちはラップで優劣を決するようになった。

そして、H歴3年…。中王区”言の葉党”が主宰する「ディビジョン・ラップバトル」にて

各ディビジョンを代表するMCグループは互いの力を競い合う。兵器ではなく言葉が力を持つ世界で今…この国の未来をかけた最後のラップバトルが始まる。

2025年2月21日より劇場公開

映画「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」は、劇場映画としては日本“初”となる観客参加型「インタラクティブ映画」。

スクリーン上で繰り広げられるラップバトルの勝敗は、映画館内の観客の投票によって決まる。投票はスマホアプリを通じてリアルタイムで行われ、投票数が多かった選択肢に沿ってストーリーが進行。

観客ひとりひとりの選択で、上映回ごとに展開や結末が変わる…日本映画史上初めてとなる参加型映像体験をお届け!!

(※映画 『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』公式サイトより引用)

ヒプノシスマイク –Division Rap Battle-
H歴…人の精神に干渉する特殊なマイク「ヒプノシスマイク」の登場により、戦争は根絶されたこのマイクを通したリリックには人の交感神経・副交感神経等に作用し様々な状態にする力があるという...

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映画『ヒプマイ』は日本初の観客参加型劇場映画

ー映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』は、観客参加型の「インタラクティブ映画」ということですが、どういった仕組みなのでしょうか?

神尾晋一郎さん(以下、神尾):映画館内で上映中にお客さんによる投票があって、投票結果によってラップバトルの展開が変わるんです。

『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』では、ラップバトルが繰り広げられ、勝敗を劇場内で観客の皆さんにスマートフォンのアプリを使ってリアルタイムで投票していただきます。そして、勝ったチームが次のバトルに進む、という仕組みです。なので、上映される回によって毎回展開が変わるんです。選択次第で全上映パターン48通り、7つのエンディングが用意されているんですよ!

ー劇場映画として「インタラクティブ映画」が上映されるのは、日本で初めてだそうですね。

神尾:とてもユニークなシステムですよね。投票結果が出るまでのカウントダウンのドキドキ感が、今までのバトルシーズンである1st D.R.B(Division Rap Battle)、2nd D.R.Bの決着がつく瞬間のドキドキ感とすごく似ているな、と思いました。

ー収録時には、すべてのパターンを演じられたということですよね

神尾:そうなんです。収録したのは二年ほど前なんですが、当時はまだ「インタラクティブ映画」という存在を知らず、どういうものか全くわからなくて。「勝ったパターンって、何のことだ!?」という感じで、戸惑いながら収録していました(笑)。

ちなみに、収録時にはまだ完成形の映像がなく、仮の映像を使って先に音声を収録する“プレスコ”※という手法で収録を行ったんです。

※プレスコとは:プレスコアリング の略称。映像制作において台詞や音楽・歌を先行して収録する手法。

ーそうだったんですね。収録の雰囲気はいかがでしたか?

神尾:ディビジョンごとの収録が多く、同じ「ヨコハマ・ディビジョン」MAD TRIGGER CREWチームの浅沼さん(浅沼 晋太郎:碧棺 左馬刻役)と駒ちゃん(駒田 航:入間 銃兎役)と主に収録していました。

3人の収録は和気あいあいとしていて、本当に良い雰囲気でした。浅沼さんが「この表現が理鶯っぽいよ」とか「この言葉はどうかな?」とたくさん案を出してくださって、助けていただきました。浅沼さんは本当に、方向音痴という欠点以外のものは全部持ってるんです!方向音痴はえげつないんですが(笑)、それ以外は完璧な男で、すごく素敵なお兄さん的存在です。駒ちゃんは本当にかわいい後輩で、弟のような存在です。

ー神尾さんが演じられる冷静な性格の元軍人、毒島メイソン理鶯という役への思いもお聞かせいただけますか?

©ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-Movie

神尾:理鶯は、とても愛らしい部分と、ガラッと変わり戦闘する部分での怖さの両面を持ち合わせている魅力的なキャラクターだと思います。

MAD TRIGGER CREWは、それぞれ違った思い、強い信念があり、その信念を貫くために3人は手を組み、力を合わせています。一見、理鶯が「お前たち、ちょっと待てよ」というような、調停役に見えるんですが、物語が進むにつれて3人は対等の関係だと思いました。

ー改めて、神尾さんにとってヒプノシスマイクとはどのような作品ですか?

神尾:もともとラップを聴くのは好きだったんですが、まさか自分が歌ったり、バトルをするようになるなんて考えてもみませんでした。本当に得難い経験をさせていただいた作品だと思います。

ヒプマイは、自分が関わったコンテンツの中でも、いい意味ですごく尖っています(笑)。誰もやらなかった分野に挑戦していくような、フロンティア精神に溢れています。ヒプマイのすごいところは、年々、尖り方が鋭くなっているところです。僕たち声優陣も、それに全力で乗っかって楽しんで、”ヒプマイを盛り上げようぜ!!”と。声優陣はみんな、同じくらいヒプマイにかける想いやパワーに溢れています。

ー映画を観に来る方にメッセージをお願いします!

神尾:たくさんのパターンが楽しめるので、何回も劇場に足を運びたくなるような映画です。今までのシーズンでMAD TRIGGER CREWは一度も冠を取れてないので、ぜひ映画館でMAD TRIGGER CREWに投票していただいて、ヨコハマがてっぺんを取る瞬間を観ていただきたいです。

あとは、今までアニメは好きだけれどラップの世界にはあまり縁がなかった、という方が、ヒプマイを介して新たな音楽の世界に興味を持ってくださる、というのもまたヒプマイのすごいところだと思います。音楽というのは本来自由ですごく楽しいものだと思うので、皆さんの中にある枝葉がどんどん広がっていくような感覚を持てる映画になっていれば嬉しいです!!

山嵐、湘南乃風HAN-KUNが楽曲制作に参加

ー楽曲についてもお話を伺えればと思います。今回、神奈川を拠点に活動する7人組ロックバンドの山嵐(ヤマアラシ)さんと、湘南乃風のメンバーHAN-KUNさんがMAD TRIGGER CREWのSecond Stageの曲「Choice Is Yours」を制作されたそうですね。

神尾:僕は子供の頃、山嵐さんが大好きだったので、山嵐さんをバックバンドに歌うなんて、そんな不尊なことをしていいのか!?という感覚でした(笑)。

1st D.R.Bでは、決勝に残ったヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREWとシンジュク・ディビジョン 麻天狼のバトル楽曲“DEATH RESPECT”を山嵐さんが作ってくださったんですが、バチバチの山嵐サウンドが本当にかっこよくて。もう一度山嵐さんの楽曲を歌えたらなあと思っていたので、今回、満を持して改めてヨコハマの曲を山嵐さん、HAN-KUNさんに制作していただいて、本当に嬉しかったです。

聴いた瞬間に“山嵐サウンド”で始まり、そこに湘南乃風さんがドンと入ってきて、すごく気持ちのいい化学反応が起きていて。それぐらい強い曲を作ってくださったので、その想いに応えようと本当にたくさん練習しました。

ーラップをすることに難しさは感じられますか?

神尾:年々、いただく曲は難しくなっているんですが、本当にありがたいことに今は楽しんで収録できています。これは、楽曲を制作してくださるアーティストさんと二人三脚でやらせていただいているおかげです。

アーティストさん、クリエイターさんが仮歌という形で僕たちが歌うガイドの音声を入れてくださるんですが、その際にそれぞれのキャラクターに寄せてくださるんです。僕のパートは低く歌ってくださったり、こういう固めのリリックでいくよね、とか。そのおかげで、僕たちは非常に気持ちよく歌うことができています。

ーファンの方の間で、神尾さんの英語がお上手だと話題になっています。高校卒業後にボストンに留学されたご経験が活かされているのでしょうか?

神尾:いえいえ、全然です(笑)。ありがとうございます。何より、うちのチームにはドイツ生まれで英語もできる、駒田 航(入間 銃兎役)という帰国子女もおりますので。だから浅沼さんや僕は、何か不安な発音があれば、駒ちゃんに「これどうやって発音する?」とか、「この表現はあってる?」とか聞いて。先生代わりに駒田くんを使っています(笑)。

ーこれまでで一番印象に残っている曲や歌詞はありますか?

神尾:一番覚えているのは、理鶯のソロ曲「2DIE4」です。キング牧師の名言から取った「そのために死ねる何かを見つけていない人間(やつ)は 生きるのにふさわしくない」という歌詞があって。ちょっと強い言葉ですよね。

この歌詞は、理鶯のすごくコアな想いを表現していると思います。理鶯はずっと平静を保っていて冷静なイメージですが、根っこの部分ではこういう強さ、怖さも持ち合わせている人間なんだぞ、と垣間見える部分で、とても印象に残っています。

夢を叶えるために自信を持つ秘訣は、小さな目標を達成すること

ーここからは、神尾さんご自身について伺えればと思います。声優として、大切にされていることはありますか?

神尾:そうですね、いただけるお仕事は断らないというのは大切にしています。声をかけいただけること自体がありがたいなと思うので、スケジュール的に自分が朝早いとかでも全然受けちゃいます。朝は得意で、夜がちょっと苦手なんです。眠くなってしまって(笑)。

どんなお仕事でもそこに何のヒントがあるのかわからないので、挑戦したいです。本質的にあまり休みがいらない人間で、仕事をしているのが一番楽しいからこそそういう発想なのかもしれないですね。

あと、“用意周到”を大事にしています。声優は事前準備が大切なお仕事だと思っているので、どこまで用意できるかなと、いつも考えています。

ー5年後、10年後はどのような姿を思い描いていらっしゃいますか?

神尾:もともとすごくポジティブなので、“絶対この業界に残れる。仕事量は今より5年後、5年後より10年後のほうが増えてる!!”というマインドで生きています(笑)。

ただ僕は、声優を始めたのが同じ年齢の方からすると10年ぐらい遅くて。今現役で活動されている同い年の10年先輩の方たちは、一切手を緩めないフルスロットルの方ばっかりなので、自分がフルスロットルでやっていても、本当に追いつけるのかなっていう不安は少しあります。

ー神尾さんは、大学院や企業の営業のお仕事、声優やマジシャンなど、様々なものに挑戦して叶えてこられたと思います。夢を叶える秘訣は何かあるのでしょうか?

神尾:そうですね、“自分は絶対に大丈夫”と信じることです。ポジティブすぎるかな、という戒めの気持ちももちろんあるんですが(笑)。でも、その自信って、ちゃんと努力できている、勉強できているからこそ湧いてくるものだとも思うんです。

例えば、勉強すればするほど声優として耳がよくなっていったりして。40歳を超えても耳って良くなるんだ、と思うと、人間って伸びしろしかないですよね。

ー夢を叶えたい読者やファンの方にメッセージをいただけますか?

神尾:もしかしたら、若い方だと夢がなかったり、夢を持つ必要ってあるのかな、という発想に陥ってしまっている方もいらっしゃるかと思います。”夢”といわれるとなんだか大仰な感じがしてしまいますよね。でも、例えば「夢はヒプマイのライブを生で見ること」というのも立派な夢だし、叶えられるものです。そう思うと、夢って結構作りやすいと思うんですよね。

1つでも小さい夢、目標を達成すると自己肯定感が上がりますし、自分はこれができるんだ、と自信を持てるようになります。そして1つクリアすると、そこからいろんなものが見えてきたり、違う興味に繋がって、私はもしかしたらこれがやりたいのかも、と考えられるようになる。それが20代で見つかる人もいれば、30代、40代、50代で見つかる人もいるだろうし、そこに年齢は関係ないと思っています。僕は“やらない後悔よりやってまえ!!”という想いが強いです。なので、皆様が夢を叶えられるように心より応援しています!!

神尾晋一郎(かみお しんいちろう)プロフィール

1982年1月13日生まれ、北海道出身。大学院卒業後、企業に就職し、会社員時代に声優を目指す。また、同時期にマジシャンとしても活動を開始。2012年には81プロデュースに所属し、俳優としての活動も始めている。声優としては、「あんさんぶるスターズ!」鬼龍紅郎、「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」毒島メイソン理鶯などのCVを務める。趣味・特技はマジック、モノマネ、ボクシング、ビリンバウ、読書、カポエイラ、映画鑑賞、料理。

公式HP

Instagram @shinichiro_kamio

X @s_kamio113

撮影:天倉悠喜

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