シリーズ3作連続で50億円超えの大ヒットシリーズとなった映画「キングダム」。今夏公開される『キングダム 大将軍の帰還』では、秦と趙による国の存亡をかけた一世一代の戦いが繰り広げられます。
今回は、シリーズを通して騰(とう)役で出演している要潤さんに、作品の感想や撮影の裏話を伺いました。
映画『キングダム 大将軍の帰還』作品紹介
紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になるという夢を抱く戦災孤児の少年・信と、中華統一を目指す若き秦国王・嬴政(えいせい)を壮大なスケールで描くマンガ『キングダム』(原泰久/集英社)の実写版映画も今回が最終章。2019年からシリーズ3作で累計動員数1,000万人を超え、数々の映画賞にも輝く大作に昇りつめた。最新作となる今回の4作目は、映画『キングダム』の集大成にしてシリーズ史上最高傑作ともいうべき大作。秦vs趙、国の存亡をかけた最終決戦が描かれる。出演者には山﨑賢人さん、吉沢亮さん、橋本環奈さん、大沢たかおさん、小栗旬さん、吉川晃司さん、要潤さんら豪華キャストが集結。2024年7月12日、全国一斉ロードショー。
国民的な作品に昇華した『キングダム』。常に“前作を超える”が目標だった
―最終章ともいわれる『キングダム 大将軍の帰還』が、この夏いよいよ公開となりますね。1作目から参加されている要さんにとっても、きっと感慨深いのではないかと思います。
要潤さん(以下、要):そうですね。『キングダム』は30代から関わらせてもらっている作品で、間違いなく僕の代表作ですね。ここまで同じ役を掘り下げられることもないので、すでに自分自身の生活の一部になっている気がします。『キングダム』の撮影があるからジムに行ってパンプアップするとか、『キングダム』の撮影があるからたくさん食べないと、とか…。そんなことをずっと考えさせてくれている作品です。
今作は映画『キングダム』の最終章にふさわしく、1~3作を通して置いてきた布石をすべて回収し、過去すべてのストーリーが集約されている作品になったなと思います。
―出演者の立場から見て、映画『キングダム』は回を重ねるごとにどのように進化していますか。
要:もちろん1作目から、スタッフも俳優陣も『キングダム』にかける熱気はすごかったです。それが2作目、3作目と回数を重ねるたびに、 “前作よりもよいものを作りたい”という熱意が現場に満ちあふれていきました。
現場にいても、絶対にいいものになるという確信が形となって、ワンカットワンカットにおさまっていくんです。不安も全くなかったですし、キャラクター作りにしても演技にしても、自信をもって演じられているという実感があった。僕だけではなく、関わっている人全員の目の色が変わっているのが顕著にわかりました。
―豪華キャストの迫真の演技。この時代の中国を見ているような錯覚に陥るほど大迫力のシーンばかりで、まさに日本を代表する映画だなと感じます。
要:国民的な作品というと大河ドラマを思い浮かべると思うのですが、この「キングダム」もそれと同じくらい、国民的な大作になった気がしています。僕も、他の仕事をしていても「『キングダム』見ました」「『キングダム』、またやらないんですか」と声をかけられていました。「キングダム」っていえば、誰もが理解してくれるほどの作品になりました。
『キングダム』撮影現場の舞台裏。「誰もNGを出さない、緊張感ある現場でした」
―要さんは、大沢たかおさん演じる王騎将軍の副官という役どころです。どんなことに気を付けて役作りを?
要: 騰という人間はポーカーフェイスで、感情をほとんど表に出さないんです。でも冷たいわけではなくて、淡々としているだけ。王騎将軍の独特のノリについていけている、唯一の右腕だと思うので、ひとつの画角に入っていても、“この人だけ淡々としているなあ”と思ってもらえたらいいなあと思って役を作りこんでいきました。きっと騰は、みんなと同じタイミングで笑ったり、怒ったり、泣いたりしない人なんだろうなあというのは改めて思いましたね。
あとは、マンガが原作なので、とにかくなるべくビジュアルを原作に寄せるようにしました。マンガの騰のトレードマークであるまつ毛までは再現できないので、アイライナーを印象的に入れて。
映画ファンの中には「騰が一番好きです!」という肯定的な意見も多くいただいているので、少しプレッシャーに感じつつも、今のところ、役作りは成功しているのかなと思っていますけれど(笑)。
―撮影現場はどんな雰囲気だったのか教えてください。
要:この『キングダム』には、失敗談みたいな面白いエピソードが本当にないんですよね。とにかく現場は緊張感がすごくて。誰一人退屈そうにしていないし、待ち時間におしゃべりしているとか、そういうのがないんです。
そして撮影も早い。セリフを噛んだり、NGを出したりする人って僕、ちょっと見たことがないですね。役者さんひとりひとりが、完璧に仕上げてきているんですよ。完全に出来上がった状態の中、役者の僕らが入って、1回テストをやって、すぐに本番。
原作を越えたい、前作を越えたいという両方の気持ちでみなさんやっているので、プレッシャーはすごく感じていました。僕は特に、大沢(たかお)さんとふたりでいることが多かったんですが、大沢さんはご自身の役を完璧にこなされるので、僕も必死についていかないと、と。
―今回は騰のアクションシーンが印象的でしたね。馬の上で武器を振り回して敵を斬る、騰独特の剣術も初めて見ることができました。
要:そうですね、今まではずっと戦場を眺めているシーンばかりだったので、アクションシーンは今回が初めてだったのですが、結構大変でした。特に馬とカメラマンと俳優との呼吸がピタッと合わないと、監督のOKがなかなか出ない。
リハーサルは何回もやりましたし、馬もしっかりと動きを覚えなければ本番でできないので、馬専門のスタッフが馬にも、止まる場所、動く場所、セリフの入る場所、セリフを言った後の動きまで教え込んで。
―馬はそんな細かい動きやセリフまで理解できるんですか!?
要:馬は、「用意スタート」までわかるんですよ。でも、寒かったり暑かったりするとバテてしまうし、集中力が限られているので、馬を使ったシーンは人間の撮影より緊張感があります。
人間だったら「そろそろきついです」って言えますが、馬は話せないので、突然言うことを聞かなくなりますし。大声を出したら馬がびっくりして足踏みしてしまい、カメラの画角から外れてしまうので、誰一人音を出さないように、カチンコも鳴らさないで撮り始めるんです。
―なるほど、そんな苦労が。
要:アクションはみんなの呼吸が合わないとできないんですよね。斬る人、斬られる人、馬と特効さんの砂煙まで。
細かい細かい計算式をひとつの答えにするのが大変なんです。人が斬られてなぎ倒されていく場面も、役者同士、お互いに目を見ながら呼吸を合わせて演じていきました。
―今回のストーリーの終盤に、胸が痛くなるようなクライマックスシーンがありますよね。騰を演じる要さんは、どんな風に思ってあの場にいたんだろうと思って。
要:演じていてもつらかったです。感情を抑えるのが大変でしたね。でも、そこは騰ですから、表情を固めながら、複雑な気持ちは外に出さないようにして。マンガにあるとても大切なシーンなので、いかに忠実に演じるかということに徹しました。
俳優・要潤の流儀「自分が正しいピースになって、作品にはまっているかを大切に」
―要さんといえば、ドラマ『花咲舞が黙ってない』では「下衆(げす)だ」といわれるエリート部長役を、『キングダム』ではポーカーフェイスの騰を。演じる役に幅があるなと感じています。要さんにとって俳優とはどんなお仕事ですか。
要:なんですかね。不思議な仕事だと思いますね。誰にでもできる仕事ではないので、自分が今、俳優をやっているのが不思議な気がしますけれど、でもあまり“仕事”と思ってやっていないんですよね。
僕、エンターテインメントが好きなので、エンターテインメントに関わっているということ自体を楽しんでいます。
この仕事って、現場に行くといろんな人がいるじゃないですか。そして現場で、いろんな価値観を感じられる。たぶん“人が好き”なんでしょうね。人がどういう風に考えていて、どんなことを思って行動しているのか。それを感じるのが楽しいですね。
―役を演じる上で大切にしていることとは。
要:演じる際には“正しいことをやる”、ですかね。
正しいことというのは、常識に沿っているということではなく、映画とかドラマを見たときに、ストーリーの中で期待されている役を、期待されているとおりに演じているかというのが“正しく演じる”ことだと思っていて。それが、作品のクオリティ、作品を汚すかどうかに大きく関わってくると思うんですよね。
僕ら俳優は、パズルのピースでしかない。でも、パズルを完成させるために絶対に必要なピースで、これが正しい形でなければ、カポッとはまらないわけです。
自分が正しい形になって、作品にカポッとはまっているかな…。いつもそればかり考えていますね。
僕に任された仕事、オファーされた役を全うするだけですけれど、年々、求められる役柄も変わってきています。だから自分が年相応の役をしっかりと説得力もって演じられるようになれればいいなと思っています。
―ありがとうございます。最後に、『キングダム 大将軍の帰還』を楽しみにしている方にひとことお願いします。
要:『キングダム』最終章、みんなの思いが結集した作品になりました。きっと、原作ファンの方も、映画ファンの方も楽しんでもらえるものになっていると思いますし、時間を費やして丁寧に撮影してきましたので、ぜひ劇場で迫力を体感してもらえたらと思います。
要潤(かなめ じゅん)プロフィール
1981年2月21日生まれ、香川県出身。さまざまなアルバイトをしながらオーディションを受け、芸能界入り。『仮面ライダーアギト』でデビュー後、CM、ドラマ、映画や舞台などで大活躍。連続テレビ小説(NHK)『まんぷく』『らんまん』、大河ドラマ『龍馬伝』『花燃ゆ』『青天を衝け』や、『TOKYO MER〜走る緊急救命室』(TBS系)、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)、『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)、映画『キングダム』シリーズ、『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』、ラジオ番組『要潤のMagic Hour』(TBSラジオ)ほか出演多数。“うどん県”副知事として、故郷の香川県のPR活動も行っている。
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映画『キングダム』
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取材・文:小澤彩/撮影:天倉悠喜