刑務所や拘置所への差入を代行する「差入屋」を営む家族の絆が不可解な事件に揺れるヒューマンサスペンス、映画『金子差入店』。
この映画で、拘置所を訪れる女子高生・⼆ノ宮佐知(にのみや さち)役を演じる川口真奈(かわぐち まな)さんにインタビュー。
本作が映画デビューとなる17歳の川口さんに、撮影の裏話や共演者の方々とのエピソードなどたっぷりお話を伺いました。
映画『金子差入店』作品紹介
刑務所や拘置所に収容された人への差入を代行する「差入屋」。金子真司は一家で「差入店」を営んでいた。
ある日、息子の幼馴染の女の子が殺害される凄惨な事件が発生。彼女の死にショックを受ける一家だったが、犯人の母親が差入をしたいと尋ねてくる。 差入屋として犯人と向き合いながらも、日に日に疑問と怒りが募る金子。そんな時、毎日のように拘置所を訪れる女子高生と出会う。彼女はなぜか自分の母親を殺した男との面会を求めていた。
2つの事件の謎と向き合ううちに、金子の過去が周囲に露となり、家族の絆を揺るがしていく―
5 月 16 日(金)よりTOHO シネマズ 日比谷他全国ロードショー
(※映画『金子差入店』公式サイトより引用)

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丸山さんがキッチンカーを“差入”

ーまずは、川口さんが演じた女子高生・⼆ノ宮佐知について教えてください。
川口真奈さん(以下、川口):⼆ノ宮佐知は、自分の母親を殺した男との面会を求めて拘置所を訪れる女子高生です。
佐知は非常に過酷な境遇で、高校生でありながらすごく辛い毎日を送っている女の子です。実際こういう子がどこかにいるのかなと考えると、全力で演じなければいけないと思いました。
口数が少ない役ですが、だからこそセリフがない場面での表情や些細な目の動きを意識して演じました。ぜひそこに注目していただきたいです!
ー撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
川口:この作品はシリアスな場面の撮影が多かったのですが、主演の丸山さん(丸山 隆平・金子真司役)がいつも場を盛り上げてくださりました。丸山さんがいるだけで現場がワイワイして、明るくなるんです。
あとは、子役の綺羅くん(三浦綺羅・金子和真役)がとにかく元気で!休憩中にスタッフさんが4人ぐらい綺羅くんに連行されて、怪獣ごっこのために四つん這いにさせられてました(笑)。
私は控室の隅で学校のテスト勉強をしていたんですが、おもちゃの怪獣の頭が飛んできたり(笑)。やっぱり子役の子が一人いるとこんなに空気が明るくなるんだなと、すごく助けられました。
ー丸山さんの印象はいかがでしたか?
川口:最初にお会いしたとき、関西弁ですごく明るく話しかけてくださって。とても緊張していて、ただじーっと目を見ていただけなんですけど、「目がまっすぐでいいなぁ」と言ってくださりました。
撮影期間が12月だったので、休憩中に「寒くない?」と気遣っていただいたり、「どっちの手にカイロがあるか!」と当てるゲームをしてくださったり。すごく緊張をほぐしていただきました。
ー他の共演者の皆さんの印象はいかがでしたか?

川口:岸谷さん(岸谷五朗・横川哲役)は、本当に優しい方です。私が薄着のシーンが多かったので、カットがかかったらすぐに「誰か羽織物を持ってきてあげて」と言ってくださったり、演技について自分の経験を話してくださったり。大先輩なのに、すごく丁寧にお話ししてくださるんです。
真木さん(真木よう子・金子美和子役)は最初、少しミステリアスな方かなと思っていたんですが、現場のお菓子をおいしそうに食べていらっしゃったり、綺羅くんと一緒に撮影前の人に面白い動画を見せて、笑わせよう、といたずらっぽくされていたりして(笑)。とってもお茶目な方でした。
ー現場で何か“差入”はありましたか?
川口:丸山さんがキッチンカーでクレープ屋さんを差し入れしてくださったんです!クレープ屋さんを差し入れることにずっと憧れていたみたいで(笑)。どこかの作品でやりたくて今回やっとできたということで、すごく嬉しそうでした。
自称“顔が怖い”プロデューサーさんがいらっしゃるんですが、その方もるんるんで「クレープきたよ~!」って、イチゴのクレープを食べていました(笑)。やっぱり少し重たい題材の作品なので、みんな甘いものに癒されて、すごくリフレッシュできました。
ー印象に残っているシーンを教えてください。
川口:印象に残っているのは、岸谷さん演じる横川哲(佐知が面会を求める男)に笑顔で振り向くシーンです。佐知が初めて自分で考えて行動した場面で、“自分で物事を切り開く”という佐知の決意を自分の中で作って挑みました。
あとは、最後に拘置所で「ごめんなさい」と泣き崩れるシーンです。ずっと言葉を紙に書いていた佐知が初めて声に出して伝える、本人の想いがあふれる大事な場面だと思います。このシーンの撮影はすごく難しくてたくさん悩みましたが、全力で、体当たりで演じました。
「皆さんすごく支えてくださった」共演者からのアドバイス

ー今作は、川口さんにとって初めての映画出演ですね!心境はいかがでしたか?
川口:最初はやっぱり、緊張や不安がありました。ですが、今の自分の実力を全力で出せるように頑張りたいという気持ちが強かったです。
現場では、たぶん業界用語なんだろうなっていう言葉が飛び交っていて。言葉の意味は全然わからなかったんですけど(笑)、“映画の撮影現場にいるんだ!”と改めて実感しました。
ー今回はオーディションで選ばれたそうですね。
川口:オーディションってすごく堅いものかと思っていたんですが、スタッフの皆さんはとてもフレンドリーに接してくだって。そのおかげで自分でも驚くほど緊張せず、それが自然な演技につながったかなと思います。
古川豪監督が「まっすぐな目に惹かれて選んだ。この役は川口さんにしかできない」と言ってくださって、すごく嬉しかったです。全力で演じようと思いました。初めての映画でこの作品に出演できて、本当に嬉しいです。
ー共演者の方や、古川監督からアドバイスはありましたか?
川口:岸谷さんが「演技というのはすごく奥が深いもの。今の自分らしさを大切に演技をしてね」とおっしゃってくださったんです。
古川監督にも「自分が思ったように演じていいよ」と言っていただいたので、すごくナチュラルに、演じる役の魅力を最大限に引き出せたかなと思います。
初めての現場がいい思い出に残るようにと、皆さんすごく支えてくださって…。その気遣いが本当に嬉しくて、私も皆さんにお返しができるように、これから頑張っていきたいと思いました。
ー映画を観る方にメッセージをお願いします。
川口:第 29 回釜山国際映画祭のコンペティション部門<NEW CURRENTS(ニューカレンツ)>でも上映されたので、国を越えていろんな方に映画のテーマでもある“家族の絆”が伝われば嬉しいです。どの世代の方が観ても、それぞれの立場から様々な感じ方があると思うので、ぜひ幅広い世代の方に観ていただきたいです!
憧れは高畑充希さん

ーここからは、川口さんご自身についても伺えればと思います。「ホリプロタレントスカウトキャラバン」準グランプリ受賞をきっかけに芸能界入りされた川口さんですが、応募はご自身でされたのでしょうか?
川口:いえ、姉が応募してくれていたんです。それまで芸能界なんて完全に雲の上の世界だと思っていたので、最初は「私なんかができるのかな」という気持ちでした。ですが、家族会議をして、“もしかしたら人生の分岐点になるかもしれない。一度限りの人生だからやってみよう”と挑戦しました。
ー憧れや目標の俳優さんはいますか?
川口:高畑充希さんです!どんな役も自分のものにしていて、高畑さんにしかできない演技にすごく惹かれるんです。高畑さんのように自然な演技ができる女優さんになりたいです。
ー今後の目標を教えてください。
川口:この映画の試写会で、私が気持ちを込めて全力で演じたシーンで泣いてくれている方がいたんです。それが本当に嬉しくて。誰かの心を揺さぶれるような演技ができる人になりたいな、と思っています。
まだ経験は浅いですが、少しずつ成長していっているので、それを発揮できるようにいろんな役や作品に挑戦したいです!

川口真奈(かわぐち まな)プロフィール
2007年7月12日生まれ、広島県出身。中学3年生の時、芸能プロダクション「ホリプロ」が主催する新人発掘オーディション「第 45 回ホリプロタレントスカウトキャラバン」の準グランプリを受賞。映画『金子差入店』(2025)で映画デビューを果たす。特技は裁縫とカリンバ、趣味は図書館巡り。
●公式HP
ヘアメイク/yumi (Three PEACE)
スタイリスト/山科美花
衣装クレジット/
トップス¥38,500
スカート¥46,200/ともにFumiku
イヤリング¥38,500/Pearl for Life(ロードス)
リング¥22,110/Reflection(THÉ PR)
【問い合わせ先】
THÉ PR 03-6803-8313
Fumiku [email protected]
ロードス 03-6416-1995
撮影:天倉悠喜