円井わん「わくわくする心は失くしたくない」バイタリティ溢れる注目俳優にインタビュー

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初主演映画『KONTORA-コントラ』(2019)で注目を集め、映画やドラマで活躍する俳優の円井わんさん。

2024年5月3日より公開中の映画『バジーノイズ』では、ドラマーの内海岬役を熱演。『バジーノイズ』の舞台裏エピソードや自身の今後の展望について語っていただきました。

ドラマー役で出演した映画『バジーノイズ』が5月3日公開

映画『バジーノイズ』作品概要

原作:むつき潤『バジ―ノイズ』(小学館「ビックスピリッツコミックス」刊) 友達も恋人も何もいらない。頭の中に流れる音を、形にできればそれでいい。そう思っていた清澄は、好きなこともやりたいこともなく、他人の「いいね」だけを追いかけて生きてきた潮に出会う。そんな潮が初めて心を震わせたのが、下の部屋から聴こえてきた「寂しくって、あったかい」清澄の音楽。たくさんの人に清澄の音楽を届けたいと願った潮の破天荒な行動が、清澄を無理やり外の世界へと連れ出す。潮に導かれバンドを組んだ清澄が、仲間と音を創り出す喜びに目覚めた時、突然、潮が消えてしまう。さらに、清澄の才能を高く買うプロデューサーが現れ、清澄は自分自身の音楽の“形”をどうするか迫られる……。

バジーノイズ
何もいらない。頭の中に流れる音を、形にできればそれでいい。そう思っていた清澄は、好きなこともやりたいこともなく、他人の「いいね」だけを追いかけてきた潮に出会う。...

『バジ―ノイズ』は、むつき潤さんの人気コミックを川西拓実さん(JO1)、桜田ひよりさん主演で実写映画化した作品。2022年に社会現象を巻き起こしたドラマ「silent」の風間太樹監督の最新作です。

行き先の見えない若者たちが、もがきながらも未来を見つけていく青春音楽映画。

円井わんさんは、主人公の清澄とバンド仲間の陸が所属するバンドにドラマーとしてゲスト参加する内海岬(うつみみさき)役で出演しています。

ー出演が決まった時の心境をお聞かせください。

円井わん(以下、円井):ドラマーの役ということに少し不安はありましたが、原作漫画を読んだらすごく素敵な作品だったんです。

風間監督の作品に出演してみたいと思っていましたし、プロデューサーさんもお世話になっている方だったので、とても嬉しかったです。

ーもともと円井さんはドラムの経験があるそうですが、ドラムができるというところもキャスティングされた理由のひとつだったのでしょうか。

円井:当初、ドラムを演奏できて、岬のキャラクターに合う女優を探すのに難航していたらしいんです。

キャスティング会議の際に、「円井わんが内海岬のキャラクターに合うかもしれない」という話になり、私のプロフィールを見てくださったところ、趣味にドラムと書いてあったので、ピッタリだと思っていただけたと聞きました。

ー撮影時は実際にドラムを弾いたのでしょうか?

円井:はい、弾きました。劇中で使われている音源はプロの方のものなのですが、ちゃんと楽譜を覚えて、毎日レッスンに通ってみっちり練習しました。

ー円井さんが演じた内海岬はどのような人物でしょうか。

円井:一言で表すと「孤高」ですかね。団体行動が苦手で、協調性もない、それでいいと思いながらもこのままじゃだめだって思っている。

そんな中で主人公の清澄と出会って、共感性とかを得て、人間として成長していくような役柄だと思っています。

ー内海岬と円井さん自身との共通点や役作りで意識したことはありますか?

円井:言わなくてもいいことを言ってしまうとか、協調性があまりないとか、そういうところは私もあるかもしれません(笑)。

役作りについては、とにかくストイックになることでしょうか。あとは、監督と相談して一緒に役を作っていきました。

ー風間監督とはたくさんお話をされたのですか?

円井:たくさん話しましたね。すごく話しをしてくださる方で、ワンシーンごとに一人ひとり時間を取ってくれる感じで。めちゃくちゃ丁寧な方です。

ー撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

円井:すごく平和な雰囲気で、でも緊張感もあって、理想的な現場でした。面白いことに共演者の方が皆さん人見知りで(笑)。

でも音楽の力って凄いんですよ。音楽で通じるみたいなのがあって、言葉を発さなくても音を出すだけで気づいたらみんな笑顔になっちゃう感じでした。

ー円井さんが映画の中で一番好きなシーンはどこですか?

円井:難しいですね…この映画、本当に全部いいんですよ!でもやっぱりラストシーンでみんなが集合するところですかね。とても感動する良いシーンです。

ー音楽が特徴的な映画ですよね。

円井:新しい感覚の音楽映画だなと思います。ちょっと新しいタイプの音楽で、かっこいい。音楽と映画がとてもいい感じに融合されていて、風穴を開けるような作品になっていると思います。

劇中で流れる音楽は本当にいい曲ばっかりで、耳に残ります。映画を観終わったあとに、曲を聴きながら帰りたいなって、私は思いました。

本当に素晴らしい作品なので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら。

転機となった映画『コントラ KONTORA』と『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

ー2017年公開の『獣道』で映画デビュー以来、数々の作品に出演されていますが、円井さんの中で転機となった作品はありますか?

円井:一番は『コントラ KONTORA』(2019)かなと思います。国内で撮影したのですが、監督がインド出身のアンシュル・チョウハン監督で、スタッフさんも海外出身の方が多く、グローバルな環境での撮影は初めてでした。

ー『コントラ KONTORA』拝見しました。なんというか、衝撃的で…。題材がとても重いですよね…。役作りなど撮影で苦労したことはあったのでしょうか。

円井:そうですね。演じた役が少しメンタルにくる役柄だったので、撮影中はちょっと気が狂いそうになったりもしました。岐阜県内で撮影したのですが、岐阜から東京まで歩いて帰ろうかと思ったくらいです(笑)。

役作りは大変でしたが、準備期間が比較的長く、撮影まで半年くらい時間をいただきました。

ー準備期間中はどのようなことをしていたのですか。

円井:監督から「日本の歴史をもっと勉強したほうがいい」というお話があったので、戦争のドキュメンタリー作品とかをたくさん見て、日本の歴史について勉強し直しました。

アンシュル監督は日本の歴史にとても詳しいんです。日本の歴史が記された本を持ち歩いていました。それを見せていただいたのですが、実際に特攻隊員が家族に残した手紙の内容が書かれていたりして、そういうのを見て日本の歴史について考えていました。

ー大きく影響を受けた作品だったんですね。

海外の方と接してみて、もっと軸をしっかりしようと思ったりとか、演出の仕方も日本の映画とは違うなと思ったので、すごく学びになりました。

ー『コントラ KONTORA』は国内外の映画祭で受賞されました。反響も大きかったのではないでしょうか。

円井:映画祭に出品されて多数の賞を受賞したこともあり、色々な方とお話しさせていただく機会が増えました。

また、『コントラ KONTORA』で主演をしたことによりオファーをいただくことが増えたので、多くの人に、俳優としての「円井わん」を信頼していただけるようになったのかなと思います。

ー2022年公開の『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(以下、MONDAYS)』でも主演をされましたね。

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
同じ1週間を繰り返す社員たちが脱出を目指すオフィスタイムループ・ムービー

円井:『コントラ KONTORA』に出演以降、オファーをいただけることが増えたのですが、そのタイミングでコロナ禍になり、これからどうなるのかと不安に思っていたときに、『MONDAYS』の主演としてオファーをいただきました。

未だに多くの現場で「MONDAYS観ました」と言ってもらえたり、MONDAYSのおかげで地上派のオファーもいただけることが増えたので、一番俳優人生に影響を与えてくれた作品がMONDAYSかなと思います。

演じてみたいのはスパイ役、脚本や監督にも挑戦する俳優・円井わんの素顔

ー俳優の道を志したきっかけは何だったのでしょうか。

円井:子供の頃から俳優をやりたいと思っていたのですが、親からは反対されていたので、「ダンサーになりたい」と嘘をついてダンスや音楽をやっていました。

高校生の時に「本当は俳優になりたい」と伝えて、ちょこちょこエキストラに参加するようになって、高校卒業後に上京して本格的に俳優を目指し始めました。

ー映画やドラマで様々な役を演じられていますが、今後演じてみたい役はありますか?

円井:これ、ずっと言っているんですけど、スパイの役をやってみたいです。ちょっと変わった役柄を演じてみたいですね。あと戦争映画にも出てみたいです。

ースパイの役というとアクションとかもあるんじゃないですか?

円井:そうですね。アクション女優の伊澤彩織さんと仲良くて、たまに一緒に練習させてもらったりするのですが、やっぱりプロなのでキレッキレでカッコいいですね。

アクションは難しいですけど楽しくて、ダンスの振り付けみたいな感覚もあります。すごくいいなと思って、本当にやってみたいです。

ー今後、俳優以外にも何か挑戦してみたいこととかはありますか?

円井:実は今脚本を書いているんです。書いては消してを繰り返してもう5年くらいやっています。あと、ドキュメンタリーを撮ろうとしています。

俳優として映画やドラマに出演させていただいていますけど、脚本とか監督とか裏側のことも知っておきたいと思うんですよね。

一緒に仕事をする人たちはどういう仕事をしているのか、分かっていたほうがいいと思っています。

あと、自分がやりたい作品になかなか出られないこともあるので、じゃあ自分で作っちゃえばいいじゃんと思って。

ー行動力がすごいですね。もともと何かを作ったりするのは好きなのですか?

円井:私、ポエマーなんですよ(笑)。昔から作詞をしたり、ポエムを書いたりするのが好きなんです。

日常で感じたことをすぐにメモするということを小学生くらいからやっていて、本当にいろんなことが書いてあるので、呪いのノートなんて呼ばれていました(笑)。

ー呪いのノートですか(笑)。ポエムの魅力ってなんですか?

円井:う~ん…書きたいと思ったときにすぐ書けることですかね。基本的に作詞がしたくてポエムを書いている感じです。

あと、色々な言葉を知っておいたほうがいいなと。ポエムを書くときって言葉をたくさん使うんですよ。偉人の名言だったり、歌詞だったりを見て、「こういう言葉があるのか、こういう使い方があるんだ」っていうのをたくさん吸収していると思います。

ー脚本のほうは何か進展などはあるのでしょうか。

円井:今、とあるアーティストさんに密着してドキュメンタリーを撮る計画をしていて、直に動き出す予定です。

私生活とかライブ、作詞作曲しているところなどに密着していきたくて、完成までに半年くらいかかると思うのですが、本当に素晴らしいアーティストなので広まってほしいという願いを込めています。

ードキュメンタリーを撮るときって、その作品を通して何かを伝えたいという強い想いがあったりするのかなと思うのですが、どのような思いで企画されているのでしょうか。

円井:そこはテーマになってしまうのでまだ詳しくはお話しできないのですが、アーティストと一緒に仕事をしたいと日頃から思っているんです。

私の周りのアーティストさんの話になりますけど、みんないい意味で自由というか、音楽と人生を本当に楽しんでいる感じが伝わってきて、素敵な生き方をしていると思います。

ー円井さん自身も似ている部分があるのでしょうか。

円井:そうですね、あると思います。私もめちゃくちゃ自由だって言われます。

思い立ったらすぐに行動に移しちゃうとか、そういうところがあるので、一緒にいて居心地がいいと感じるのかもしれません。

ー後先を考えずに行動して、失敗したり後悔したりすることはないのですか?

円井:ありますよ。でも、嗅覚とか察知能力がよくなっていくんですよ。これはヤバい、みたいなのがだんだん分かるようになります。

やらないより、やってみる後悔のほうがいいと私は思っているので、やってみたいと思ったらとりあえずやってみるようにしています。というか、たぶん感情を抑えられないのだと思います(笑)。

ー円井さんはすごくアグレッシブですよね。いまって、「やりたいことが見つからない」という人も多いのかなと感じるのですが、円井さんみたいにやりたいことを見つけるにはどうしたらいいでしょうか。

円井:私はわくわくすることを大切にしたいですね。それが夢につながると思っているので。

大人になるにつれて失われがちだと思うのですが、私はわくわくする心はいつまでも失いたくないなって思います。

円井わん(まるいわん)プロフィール

1998年1月3日生まれ、大阪府出身。
出演映画に「獣道」(17)、「タイトル、拒絶」(20)、「東京リベンジャーズ」(21)、「サイレントラブ」(24)、「マッチング」(24)などがある。ドラマでは「この素晴らしき世界」(23/CX)、「お別れホスピタル」(24/NHK)、「TOKYO VICE Season2」(24/WOWOW)、「不適切にもほどがある!」(24/TBS)などに出演している。

SQUAD Management所属
https://squad-management.com

・x @wanmarui
・instagram @wanmarui

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