佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)が感じた福島の今。第2の故郷で振り返る“今まで”と“これから”

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福島12市町村移住者たちの実話をもとに紡ぐオムニバスドラマ、『風のふく島』。12人の出演者のひとり、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)さんは、南相馬市で馬の社会的地位の向上を目指す青年を演じます。

南相馬で4日間ロケを行い、乗馬に初挑戦した佐藤さんに、ドラマ撮影の裏話や、今後の活動についてお伺いしました。

ドラマ25『風のふく島』作品紹介

福島12市町村(※)を舞台にしたドラマであり、実在する12名の移住者たちにフォーカスした1話完結のヒューマンドラマです。
葛藤や挫折をしながらもそれぞれの課題に挑戦して移住に至る姿や、福島県の人々との交流を通じて成長していく様子を、実在する場所やモデルとなる人物にインタビューを行い、そこから着想を得たストーリーをオムニバス形式で紡ぎます。
佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)さんは、南相馬市で馬の社会的地位の向上を目指す今時の青年・中村優神(なかむら・ゆうしん)という青年を演じます。

2025年1月10日から、毎週金曜深夜24時42分にテレ東系で放送
(※)福島12市町村…東日本大震災の際、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う避難指示の対象となった田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村を指します。

ドラマ『風のふく島』公式サイトより引用

風のふく島
東日本大震災の際、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う避難指示の対象となった福島12市町村。 そこには、夢をもって移住してきた者、復興のために動き出した者、福島の地で生まれ育った者、挑戦し続...

ドラマ『風のふく島』公式サイト

●ドラマ『風のふく島』公式X @tx_fukushima

祖父母の暮らす福島は第2の故郷。撮影できて嬉しかった

―今回のドラマは、福島の12市町村への移住者が主人公です。佐藤さんは福島にゆかりがあるそうですね。

佐藤大樹さん(以下、佐藤): 福島県に、自分の祖父母の家があるんです。子どもの頃から年に1回は遊びに行っていたので、「第2の故郷はどこですか」と聞かれたら、多分僕は「福島」って答えますね。

福島に行くたびに心が洗われるというか、心が浄化されるようなイメージがあったので、今回福島で撮影できるというのを聞いてすごく嬉しかったです。

―実際に4日間、南相馬市でロケをされたそうですが、南相馬の印象は。

佐藤:南相馬市に住む皆さんがなにより本当に温かく、僕が来たというだけで、とにかく喜んでくれました。

福島の方って、すごく人を信頼しているというか、心が広くて地域の人たちの輪を大切にしているなと思います。南相馬市で撮影をした時も、乗馬の仕方を手取り足取り細かく教えてくれたり、地元の方がエキストラとしてたくさん集まってくださったり。

「福島県の方言は、こんな感じで大丈夫ですか」と質問したら、「このほうが現地っぽいよ!」といろいろアドバイスもしてくれて…。皆さんすごく温かい人たちばかりでした。

これほど動物を大切にしている方々と密に接する機会もなかったので、今回の南相馬市でその思いに触れることができて、改めて素敵な街だなと感じることができました。

ドラマで初めて乗馬を経験。馬とのドラマ撮影はなかなか大変

―佐藤さんと、役の中村優神との共通点や違いを教えてください。

佐藤:僕の演じた優神は、ある意味チャラくて、言動も軽めな人物です。でも僕自身は、「佐藤くんは根が真面目だよね」と監督に言われることもあったので、撮影序盤は自分の性格に引っ張られて、優神をうまく演じられないジレンマもありました。

優神は僕と違って物怖じしないし、人にどう思われるかをあまり考えないタイプです。そういう人が持っている、根拠のない自信や行動力にはものすごく憧れもあって、できれば僕もそういう人間になりたかったな、なんて感じましたね。

―どのように役作りを?

佐藤:実は、撮影前から優神のモデルの方に、実際に南相馬市でお会いして交流していました。その方は馬術競技をメジャーにするという夢があり、根拠のない自信を昔から持っていたそうです。

僕も16歳でダンスを始めて、最終的な目標は“EXILEになること”でした。周りが見えなくなるくらい、夢に向かって突き進むこと、物事に打ち込む姿勢や意識を持っているのは同じだったので、すごく共感できました。

そのモデルの方とは、背丈も足のサイズも足の細さも一緒だったんです!だから実際に彼が使っている馬術の制服や道具を使わせていただけて感激しました。

彼は馬にEXILEの曲を聴かせてくれているみたいで、それもすごく嬉しかったですね(笑)。「馬がマジで聞くんですよ、EXILE」みたいに言っていて、そういう明るいテンションも良かったです。

―今回のドラマで、初めて本格的に乗馬をされたそうですね。

佐藤:子どものころに動物園で乗馬体験をしたことはあったのですが、大人になってから馬に乗ったのは今回が初めてです。

この役を演じるにあたって、“野馬追”を調べて動画を観て勉強していました。クランクイン前には実際に馬と触れ合い、その後に実際に馬に乗って走る練習をしたんですが、思った以上に大変でした。

普段俳お仕事するにあたって、共演する方のセリフを受けて自分のお芝居が変わることがあるんですが、それを馬相手にというのが難しくて、どうすればいいんだろうと苦戦しました。

でも、サポートしていただいたおかげで、結果的に馬とのシーンはうまく撮影できました。最終日には、馬と本当に心が通じ合えたような気がして、もうちょっと馬と一緒のシーンをたくさん撮りたかったなと思うほど、馬が恋しくなっていました。

馬との撮影にはいろいろとトラブルもあったんです。馬が急に発進しちゃったり、顔に付けたロープのようなものを嫌がって、馬が顔をずっと揺らしてしまってNGになったり…。

そのシーンがうまく撮れたあとに、初めて僕がにんじんを5本ぐらいあげたんです。その時の馬の嬉しそうな顔が今も忘れられないですね。

東日本大震災後に日本復興のために立ち上がったEXILEに憧れた

―東日本大震災があったのは2011年。佐藤さんが16歳の時ですが、当時どんなことを考えていたか、覚えていますか?

佐藤:震災が起こったのは、僕がちょうど高校生でダンスを練習しているときでした。福島県は祖父母が住んでいる場所で、何度も訪れていた思い出深い場所なので、とても心配で、僕にできることは何だろうと考えていました。

そんなとき、EXILEがアーティストとして日本復興のために『Rising Sun』という曲を掲げて、“日本を元気に”というテーマで活動していたんです。その姿を見て、僕も自分の曲やパフォーマンスで日本を勇気づけられる存在になりたいと、より強く思いました。

こうして震災から約14年後に、僕が福島のドラマに出演することで、親戚や当時の福島県に住んでいた方に少しでも勇気を与えられることができるんじゃないかなと思いました。

―このドラマに出るにあたって、FANTASTICSのメンバーからの反応はいかがでしたか?

佐藤:グループ全員、お互いのスケジュールを確認できるのですが、急に僕が福島県に4日間ほど行くとなって、「これ何をするんですか?!」みたいに言われました。

「“馬術練習”って入っているから、次はジョッキー役ですか」みたいな感じだったので、「いや、ジョッキーではないんだけどな…」と(笑)。

勇征(八木勇征)は、僕が福島で撮影している時期に同じようにとある作品の撮影中だったので、お互いにクランクアップの時期が一緒でした。僕が「今アップしたよ」と言ったら、「すごい、おめでとう」って返してくれましたね。

けいちゃん(木村慧人)は、あまり興味を示してくれなかったかもしれないです(笑)。ドラマのために必死で体作りをしていて、自分を追い込んでいた感じでした。

福島でドラマを撮るのは珍しいので、みんな興味津々でした。実際に馬との写真を送ったら、「馬か、いいなぁ」ってみんなからすごく羨ましがられましたね。

―確かに馬との写真が送られてきたら、羨ましがられそうです(笑)。

佐藤:後輩・ BALLISTIK BOYZの砂田将宏くんにも「僕も馬といつか作品を撮りたいと思ってたんですよ。ずるいです」みたいに言われちゃいました。砂田くんはミュージックビデオで馬に乗るシーンを撮影して以来、とにかく馬が好きで好きで、好きすぎて馬刺しが食べられないほどなんです!

―役者として大切にしていることは?

佐藤:原作があるドラマに関しては、演じる僕らにも相当なプレッシャーがあるんですが、もともと原作のファンだった方にがっかりして欲しくないという気持ちもあるし、この人に演じてもらえてよかったと思えるように演じようと心がけています。

完全オリジナルのドラマの場合は、その作品を見て僕に少しでも興味を持ってもらい、ライブに行ってみようと思ってもらえるように演じています。

どちらの場合でも絶対に手を抜かないし、納得がいかなかったら、何度でも挑戦して撮り直しをお願いすることもありますし、妥協はしないと決めています。僕はグループの入口となるためにも俳優業をしていますね。

5年単位で決めることにしている25歳の目標は叶った。次の5年は?

―佐藤さんは1月にいよいよ30歳になりますが、今後の展望は。

佐藤:僕は5年単位で目標を掲げるのがすごく好きで、“絶対に叶えなきゃ。叶えられなかったら、違う目標に切り替えて進む”みたいなテンションでいるんですけど、25歳のときに掲げた目標は全部叶ったんです。

主演の舞台、映画、ドラマ、声優、アニメの歌を歌うこと。全部叶ったんですけど、そんなんじゃ僕は満たされない性格なんで、35歳に向けて新たに目標を掲げています。

ここ最近、自分の作りたいものをプロデュースしつつ、自分も役者として出演したいという構想を練っていて、それは絶対に叶えるしかないと思っています。

あとは、ゴールデンの主役もしたいし、朝ドラにも出たいし、大河ドラマにも出たい…って、欲ばかりあるんですが、まずはアーティスト活動が最優先です。EXILEとしては何度もドームツアーを開催しているけれど、今度はFANTASTICSとしてドーム公演をして成功させたいです。

―毎日忙しい中での息抜き法は何でしょうか?

佐藤:この間まではサウナ一筋でした。サウナは資格を2つ持っているほどに好きだし、ドラマ『サ道』もDVDボックスを全部持っているほどなんですが、最近はクレーンゲームにはまっちゃってて(笑)。

サ道
サウナにちょっと苦手意識を感じていた、ナカタ(原田泰造)。たまたま向かった銭湯で「蒸しZ」と名乗る謎の男に出会った。ナカタはこの男との出会いで、サウナの魅力に気づかされることに。それからというも...

他にもメダルゲームが得意なんですよ。ゲームセンターで月間1位に輝くくらいで、ドラマの撮影が2時間空いたら、その2時間中ずっとゲームセンターに行ってメダルゲームをするくらい好きですね。

最近クレーンゲームにもハマっているから、リフレッシュは『ゲームセンターに行くこと』ですね。

―ファンの人もこれは知らないだろう、という佐藤さんの意外な一面があればぜひ教えてください。

佐藤:誰かといることが楽しいから、自分の家の滞在時間は毎日7時間以内、っていうことかな?

家はただ寝るだけ。オフの日でも、睡眠時間含めて7時間くらいしか家にはいません。仕事のある日も、帰ってきてから翌朝出かけるまでの5~6時間ほどしか部屋には滞在していないですね。

テレビが好きだといろいろなところで言っているから、ファンの方は家でテレビを見て過ごしているんだろうと思っているかもしれませんが、もちろんテレビ番組はたくさん観ていますが、実は家には全然いないんですよ(笑)。

―最後になりましたが、佐藤さんは今回のドラマをどんな人に見てほしいですか。

佐藤:今回は福島に移住した方の実話から着想を得た物語なので、親戚のみんなや子どもの頃から僕を育ててくれた福島の人たちに、1番に見て欲しいですね。

移住者がどういう夢と熱意を持ってそこに移住しているのかはなかなか描かれる機会はなかったと思うので、都会に住んでいる人にも他の地域での生活の魅力が伝わるといいなと思います。

同時に優神が挑戦する“野馬追”についても、このドラマをきっかけに興味を持ってもらえたら嬉しいです。

佐藤大樹(さとうたいき)プロフィール

1995年1月25日生まれ、埼玉県出身。2011年から俳優、サポートダンサーとして活動を開始。2014年2月に開催されたEXILE新パフォーマーオーディション「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」に参加。2014年4月27日、日本武道館にて開催された「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」FINALにてEXILE新パフォーマーに決定。2016年12月29日、世界とともにリーダーを務める「FANTASTICS」を結成。2017年6月にはEXILE加入後初出演の舞台「錆色のアーマ」で主演を務めた。2018年にFANTASTICSでメジャーデビュー。現在はEXILEと兼任し活動している。ドラマ『ワイルド・ヒーローズ』、HiGH&LOWシリーズ(ともに2015年)の出演を皮切りに俳優としての活動を本格的に開始。
映画出演として、『ママレード・ボーイ』(2018年)、『センセイ君主』(2018年)、『小説の神様 君としか描けない物語』(2020年)などの代表作が続いている。
2022年には、ドラマ『liar』、『理想ノカレシ』、『Sister』など、多数の作品に出演。『around1/4』(2023年、ABCテレビ/テレビ朝日)では、地上波連ドラ単独初主演を務めた。2024年には、『瓜を破る~一線を越えた、その先には』(主演)、『降り積もれ孤独な死よ』『愛人転生 ―サレ妻は死んだ後に復讐する―』、『栞ちゃん 心の声を聞かせてよ』と立て続けにドラマ出演。
2022年に『錆色のアーマ-黎明-』(2022年)のアニメ版の声優を担当。
2024年には、初の冠レギュラーラジオ番組「FANTASTICS 佐藤⼤樹のぼっちマイク」の放送がスタート。
アーティスト活動以外にも、俳優活動やアニメ声優、MCなどマルチに活動中。

●X @taiki__official

●Instagram @taiki_sato_official

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取材・文:小澤彩

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