グラビアを経て朝ドラ出演を決めた寺本莉緒。ラーメンをこよなく愛する飾らない素顔

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『ミスヤングマガジン2018』に選ばれ、セクシーなグラビアで話題になった寺本莉緒さん。ここ数年で活動の幅を広げ、舞台や映画、ドラマで活躍するようになりました。2024年はドラマ『新宿野戦病院』、NHK連続テレビ小説『おむすび』に出演するなど、世代を超えてファンを増やしています。今回は、寺本さんの女優としての現在地と素顔に迫りました。

NHK連続テレビ小説『おむすび』作品紹介

 平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだゆい・橋本環奈さん)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく――。

 青春時代をおう歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。

寺本莉緒さんは、結の姉・歩(仲里依紗さん)と対立する、元天神乙女会のギャル・大河内明日香役として出演。

NHK連続テレビ小説『おむすび』公式サイトより引用

おむすび
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と...

朝ドラでは大好物のラーメンを食べるシーンも。「ご褒美のような撮影でした」

―寺本さんは、グラビアアイドルのイメージだったのですが、ここ数年で女優として活躍が目立つようになりましたね。この秋はNHK連続テレビ小説『おむすび』への出演。着実にキャリアを重ねている印象です。

寺本莉緒さん(以下、寺本):そうですね。いろいろな人にそう言っていただけるんですけれど、まだまだこれからですね (笑)。

自分的には、すごく仕事運が上がってきているとか、売れてきているなという感覚はないんです。ただ、変わらずにお仕事をいただけて、演じられているという感覚ですね。

嬉しいですし、もちろんやりがいもあるんですが、浮かれず努力を続けています。

―そうなんですね。『おむすび』の役どころは、仲里依紗さんと対立するという役どころだそうですが、撮影は順調でしたか?

寺本:意外とすんなり演じられました。事前に仲さんと演技について話し合うというより、テストして本番へと、スムーズに進めた感じです。

私自身、意外といただく役について悩むことはあまりなくて、衣装をしてメイクをするとスッとその役に入れている気がします。

―『おむすび』の撮影で、印象に残っていることがあれば教えてください。

寺本:私がラーメンを食べるシーンがあるんですが、実は私、偶然にもラーメンが大好物なんです!

おむすびだったら何回も食べられないんですが、ラーメンなら何回でもいける。ラーメンを食べる撮影なんてご褒美すぎる、と、すごく嬉しかったです。

自分の正面、背後など、いろいろなアングルから撮影するので、ラーメンを食べるシーンも多めなんです。スタッフの皆さんは「こんなに食べさせて大丈夫かな」と心配してくださっていたようですが、私は全然平気でした(笑)。

―ラーメンは脂も多めだし、美容の大敵なのでは、なんて考えてしまいますが…。

寺本:ラーメンは、日によっては1日2回くらいのペースで食べるほど好きなんです。仕事終わりにも食べるし、カップ麺も大好きなので、それこそ時間に関係なく食べちゃいます。

―体型を維持するために量を控えなきゃ、と考えたりもせず?

寺本:まったくないです。体質的に、ラーメンを食べても本当に太らないんです。特に運動をしているわけでもなく、体を動かすといったら犬の散歩くらい。

不思議ですが、子どものころから食べ慣れているせいかもしれません。広島時代からずっとラーメン好きで、そこから好みも変わっていなくて。もともと豚骨醤油系が好きで、上京して次郎や家系ラーメンにハマりました。もちろん、こってり系にはライスが合うので、ラーメンライスもお約束です!

中学の途中でオーディションを受けて単身上京。「怖さは皆無。むしろ楽しみでした」

―寺本さんが芸能界に興味を持たれたきっかけを教えてください。

寺本:幼稚園時代からキッズモデルをやっていました。お話が来たときだけお仕事をするスタンスだったので、そこまで芸能界って感じでもなかったんです。キッズモデルは、中学で上京するまでやっていました。

―中学時代は、地元・広島のAICJ中学校に通われていたと聞きました。英語に力を入れた学校だったとか。

寺本:そうなんです。中学受験してAICJ中学に進みました。あのころの私は、キャリアウーマンとして海外で働くのが夢だったんです。

AICJは国際的に通用する大学入学資格を得られるという学校で、英語の授業もインターナショナルスクール並み。中学時代は、かなり勉強しました。思えば、あのころのほうが、今より英語をすらすら話せていたと思います。

―でも、中学の途中に、ご両親に内緒で芸能事務所のオーディションを受けた、と。

寺本:勉強するだけでは何か物足りなくなってきてしまって。そんなとき、友人が舞台に出たので、その姿を見て「いいな、私も何かやりたい」と思って、芸能事務所のオーディションを探して応募しました。

オーディションは親には内緒で受けていたんですが、審査が進むにつれて、大阪や東京に行かなくてはならなくなってしまったので、隠せなくなりました。そこで初めて「2次まで受かったから、とりあえず3次面接に行かせてほしい」と打ち明けました。

初めは「一体どういうこと?」っていう感じでしたが、「私、どうしてもやってみたいの」と言うと「そう、じゃあ一緒に行こう」とオーディションに付いてきてくれました。自由な家庭だったので、親に芸能界入りを止められるという感覚はなかったです。

―…にしても、せっかく入った中学をやめて、芸能活動のために単身上京を決意するなんて、勇気のいる決断だと思います。怖くなかったんでしょうか。

寺本:怖さは全くなかったですね。逆にすごく楽しみでした。

私、負けず嫌いだし、行動力もあるし、ポジティブであまり悩まない性格なんです。

初舞台『ローファーズハイ!!』や、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』にも出演したんですが、「面白そうだからやってみる」という感覚でした。

“なんでもやります”の姿勢で、水着グラビアにも挑戦。そして女優の道へ

―その後、水着姿のグラビアにも挑戦されますよね。

寺本:2018年は、ちょうど一時中断していた“ミスヤングマガジン”が復活する年だったんです。マネージャーから「こういうチャンスもあるけど、どうする?」って聞かれて、「やってみようかな」と。そしてミスヤングマガジン賞をいただきました。

グラビアといっても、あまり自分的にはすごいことをやっている意識はなくて、ノリと勢いで生きてきた感じですね。とにかく有名になりたかったので、“なんでもやります”という姿勢でした。

―写真集も出されながら、活動の中心はドラマや映画へと移っていかれましたね。

寺本:自分としては、これを絶対にやりたい、こうなりたいというような目標はあまり掲げていなくて、求められたこと、自分の好きなことを着実にやっていきたいなと思ってきました。その流れで、今はお芝居や表現の世界にいるイメージなんです。

もともと芸能活動の期限を大学卒業まで、と思っていました。だから、“卒業までは頑張ろう”という意識でお仕事をしていたので、スランプを感じたり、“どうしよう、仕事がない”なんてことも考えたりせずにやっていました。

結局、今年3月に大学を卒業して以降も、こうして芸能活動を続けているわけですが…。

―今までのキャリアの中で、印象深かったお仕事は何でしたか。

寺本:2023年に放送されたドラマ『サンクチュアリ-聖域-』(Netflix)に出演して、夜の女性のイメージが付いたので、そこが私のターニングポイントかなと思います。Netflixは視聴者の母数が違うので、本当にいろいろな方面から声をかけられるようになって。

ドラマ『RoOT/ルート』ではキャバ嬢の役を、『新宿野戦病院』ではホス狂いのデリヘル嬢を演じることになり、SNSでも私の演技にすごく反響をいただきました。

RoOT / ルート
"この街は、どこかおかしい。愛嬌ゼロの先輩探偵×凶運のポジティブ 新人踏み込んだら抜け出せない群像“ヒューマン”ミステリー 探偵事務所で働く玲奈は、経...
新宿野戦病院
物語は、新宿区歌舞伎町の路地にひっそりと建つ『聖まごころ病院』。その土地柄、救急外来を訪れる患者の多くは、貧しい路上生活者や在留外国人、ホストや風俗嬢など、一般...

―寺本さんにとって、女優のやりがいとは。

寺本:自分以外の存在になれることですね。

自分自身を誰かに批判されたら、人格否定されたと感じて結構傷つきますよね。でも、役のことなら、誰から何を言われても、負けずに食らいついていける。私にとっては、そこが醍醐味で、すごく魅力的なお仕事だなと思います。

今一番、お芝居をすることが楽しいので、女優という仕事が軸になっているというか…。

とはいえ、あまり“これ”と決めたことをやりたいというわけではなくて、求められるものは何でも挑戦していきたいという気持ちではいます。

―なるほど。ポジティブな寺本さんなら、昔抱いていた“海外で活躍したい”という夢も、今からでも叶えられそうな気さえしてきます。

寺本:興味はあります。まだまだ、自分自身、何にでもなれる可能性があると思っているので、貪欲にいろいろなことを視野に入れながら生きています。

オフの日には、すっぴんのまま帽子をかぶって、ふらりと居酒屋へ。

―寺本さんは、オフの時間はどんな風に過ごされているんですか。

寺本:オフのときは、何も気にせず普通に街を歩く。それがリフレッシュになっていますね。

仕事だと“メイクしなくちゃ”と思うけれど、オフの日にはすっぴんでおしゃれも何もせず、帽子をかぶって居酒屋に飲みに行く、みたいなのが結構好きです。

知らないおじちゃんと飲んでいて、「あれ、そういえば、どこかで見たことあるよね」「あ、そうなんです。よくわかりましたね」というくらいのテンションで、人に気付かれるのが好きですね。意外とそのへんにいるんです(笑)。

―それは、一緒に飲んでいる人もびっくりですね(笑)。最後に今後に向けての抱負をお願します。

寺本:2024年はいろいろな作品に出演させていただきました。2025年に向けて、ステップアップできるような年になったような気がしています。

癖のある役をいただくことが多いので、今後は自然体で演じられるような役もやってみたいなという気持ちもありますが…。

とにかく、求められる役を演じながら、いい女優さんになれたらと思いますし、ゆくゆくは助演女優賞のような賞が取れたらいいなと思っています。

寺本莉緒(てらもと りお)プロフィール

2001年生まれ、広島県出身。主な出演作に、映画「別に、友達とかじゃない」、配信ドラマ「サンクチュアリ – 聖域 -」、ドラマ「サブスク彼女」「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」「RoOT / ルート」「新宿野戦病院」など。現在、放送中のNHK連続テレビ小説「おむすび」CM「アリエールMiRAi」出演中。趣味は野球観戦、特技はダンス、ピアノ、英語。

●X @lespros_t_rio

●Instagram @lespros_rio

取材・文:小澤彩
撮影:髙橋耀太

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