日本でも高い人気を誇る韓国発のWEBコミックを日本版にアレンジしたサスペンスホラー映画『他人は地獄だ』。注目を集めている本作で、W主演のひとりとして出演した栁俊太郎さんに、撮影現場の様子や映画の裏話などを伺いました。
映画『他人は地獄だ』は2024年11月15日にグランドシネマサンシャイン 池袋をはじめ、イオンシネマなどで全国公開されます。
映画『他人は地獄だ』作品紹介
地元での生活に閉塞感を覚えていた青年ユウは、上京して恋人のメグミを訪ねる。ユウは同棲したいことを伝えるが、突然の訪問に困惑した態度をとるメグミとは結局喧嘩になってしまい、行く当てを失くしてしまう。そして、ユウは格安シェアハウス「方舟」に流れ着く……。
そこにはヤクザ風の粗暴な山口、いつも卑屈な笑顔を浮かべているマル、妙に愛想がいい管理人のよし子、挑発的な言葉を投げかけるゴロー、そして言葉遣いは丁寧だが、得体のしれないキリシマなど一癖のある入居者と出会う。入居した夜、山口とマルの口論を目撃したユウ。その翌朝には「方舟」から突然、山口の姿は消えていた。まだ半年はここにいると山口から聞いていたユウは言い知れぬ不安を覚える。
やがて入居者たちの不気味な行動や会話からある疑惑が思い浮かぶ。それは…彼らは新たに入居してきた人間を殺害しているのではないかというものであった。はたして入居者たちの正体とは?ユウはこの地獄のような場所から無事抜け出すことはできるのか?
(※公式サイトより引用)
「動かない」ことを意識した精密な役作りで際立つ不気味さが魅力
ー映画『他人は地獄だ』はどのような作品なのでしょうか。
栁俊太郎さん(以下、栁):スリルのあるホラー作品だと思います。日本でここまでグロテスクな作品は見れないんじゃないかと思うくらい、ゾッとするようなホラー要素の強い映画です。
僕自身もサスペンスホラーって言われていたのに、ここまでグロいとは思わなかったので驚きました。
ー役作りについて教えてください。
栁:僕はシェアハウスのリーダー的存在であるキリシマという役を演じました。「どう演じるか」ということを考えるうえで、キリシマというキャラクターの特徴とも言える「気味の悪さ」には特に意識をしました。
韓国ドラマの『他人は地獄だ』は1話が1時間ほどで10話まで続きますが、今回は約2時間の映画で完結するので、初登場の場面からキリシマの不気味さが伝わるように役作りをしました。
ーキリシマ役を演じるうえで大切にしたことはなんでしょうか?
栁:「動かない」ということです。これは児玉和土監督からも言われたことですが、キリシマにはキャラクターのインパクトとして、体を動かさず淡々と語りかけてくる不気味さが必要でした。
「こういう感情のときはこう動く」「このセリフを言うのはこの感情のとき」というような演技の癖がついていたので、児玉監督から「演じてみて違和感はあると思うけど、その違和感を大切にしてほしい」と教えてもらいました。実際に演じてみて違和感があるということは、キリシマ独特の不気味さを表現できているということだと思います。
そのうえで、まるで夢に出てくるような奇妙さや、ゾワッと鳥肌が立ってしまうくらいの怖さが伝わるようにキリシマを演じました。
ーなるほど。キリシマの不気味さを表現するうえで工夫したことはありますか?
栁:僕がキリシマに何か共感できるものがあるかというところは意識せず、むしろキリシマという人物を客観的に捉えて、僕自身も含めてキリシマを見た人が共通して感じる気味の悪さを探しました。
ー特に印象深いシーンはどこですか?
栁:シェアハウスの共同スペースで焼肉を食べているシーンです。あのシーンに結構怖い要素が詰まっていると思います。虫の入った瓶が登場するところも気持ち悪いですし…。
正直そのシーンでは目を逸らしてしまう方も多いかもしれません。でもそういう方がいてもいいんですよ。映画館で「見れない」と言って目を隠すというのも、ある意味映画の醍醐味であり、映像作品のひとつの面白いところでもあるんじゃないかと思います。
ーこの映画の注目のシーンを教えてください。
栁:たくさんありますが、個人的にはシェアハウスの住民たちにも注目してほしいです。全員インパクトの強い個性的なキャラクターなので、全員揃った時のカオスな様子を感じ取ってもらいたいです。
映画『他人は地獄だ』は肝試しのような好奇心を満たしてくれる
ー撮影期間はどのくらいだったのでしょうか?
栁:大体1ヶ月くらいだったと思います。血のりを使って撮影するシーンで汚れてしまうことが多かったので、それが大変でした。でもそこにこだわったからこそ、見応えのあるホラーシーンになったと思います。
ー撮影中の現場の雰囲気はどうでしたか?
栁:この映画がホラー作品だからと言って、現場は静まりかえっているということはなく、フラットにお話しができるような和気あいあいとした雰囲気でした。
シェアハウスの住民たちには個性的なキャラクターが多いですが、実際はみんなすごくちゃんとした、かっこいい大人という印象でした。出演者の年齢も結構バラバラでしたが、しゃべりたいことは話せる雰囲気のなかで撮影を進められました。
撮影終わりにご飯を食べに行ったりもしたので、いい思い出が残っています。
ー韓国のWEBコミックが原作であり、韓国ドラマもすでに配信されていますね。
栁:そうですね。原作に近づけるという部分では原作マンガの作風に合わせるために黒目を少し大きく見せるという工夫がされていたり…。
でも「日本で上映される日本の映画」という要素も必要だと思います。原作の雰囲気を再現しながら、韓国のドラマ版とは違いを出すというところも重要でした。
ーこの作品をどう見てもらいたいですか?
栁:僕が演じたということは関係なく、キリシマはキリシマとして楽しんでほしいと思っているので、フラットな状態で見てもらいたいです。
「この映画が伝えたいこと」「この映画のテーマ」を難しく考えるよりも、まずは純粋にこの映画の「スリル」「恐怖」を味わってみてほしいです。
友達と肝試しで心霊スポットに行く時の好奇心のようなものを満たしてくれるような作品ですし、刺激を欲している人にもいい刺激をあげられるんじゃないかと思います。
俳優・栁俊太郎「自分にとっての転機は毎回変わっている」
ー栁さんご自身の俳優人生についても少し教えてください。俳優を目指したきっかけはなんだったのでしょうか?
栁:僕は単純に映画が好きで、よく映画を見ていたということが一番の理由です。モデルから芸能界に入って俳優になりました。
ー俳優人生のなかで「この作品が転機だ」と感じた時はありましたか?
栁:毎回の撮影、毎回の現場で経験になるものがあるので、その時のタイミングごとに色々な転機がありました。
僕は「なるようになる」という言葉のように、自分の人生を計画して生きている人間ではないので先のことは想像していないんですよ。「もしかしたらこの作品が転機になるかもしれない」とは考えないので、自分にとっての転機は毎回変わっていると思います。
ー今後やってみたい役はありますか?
栁:むしろやりたくない役というのはないです。自分の役の振れ幅を広げるという意味でも色々な役をやってみたいです。
ー俳優としての今後の目標を教えてください。
栁:自分が俳優として演じることができる役はどこまでなのかというのは未知だし、だからこそ挑戦し続けていきたいなと思います。限られた役ではなく、色々な役を演じて広い世界を見てみたいです。
栁俊太郎(やなぎしゅんたろう)プロフィール
1991年5月16日生まれ。宮城県出身。2009年、第24回MEN’S NON-NOモデルグランプリを受賞し、モデルデビュー。2012年、映画『ヴァージン「ふかくこの性を愛すべし」』で俳優デビュー。近年は実写化された映画『ゴールデンカムイ』(2024)をはじめ、『カラダ探し』(2022)、『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』(2023)、『バジーノイズ』(2024)など話題の作品に出演。ドラマでもNHK大河ドラマ「どうする家康」をはじめ、「けむたい姉とずるい妹」(23/テレビ東京)、「夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2」(24/テレビ東京)などに出演。現在、ドラマ「ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-」に出演中。
●Instagram @shuntaroyanagi
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撮影:天倉悠喜