札幌から広がる短編映画の世界/2024年第19回札幌国際短編映画祭に行ってきた

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第19回札幌国際短編映画祭に参加したので、映画祭の様子や受賞作品などをご紹介します。
札幌国際短編映画祭が開催された会場は昨年同様、狸小路5丁目にある「サツゲキ」です。2006年に開催された第1回から続き、2024年で第19回を迎えました。2024年の第19回札幌国際短編映画祭は10月11日~14日の4日間にわたり開催され、初日の11日のアワードセレモニーでは、各賞の授与式が執り行われました。
劇場上映は開催期間中のみですが、11月1日から17日にかけてオンライン上映が予定されています。札幌国際短編映画祭に参加できず見逃してしまった方、劇場で堪能した感動作をもう一度ご鑑賞したい方、ぜひこの機会を逃さずチェックしてみてください。

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短編映画の祭典 世界中の短編映画が札幌へ集まる

第19回札幌国際短編映画祭 国際審査員のご紹介

日本アカデミー賞をはじめ、数々のアワードで受賞されている田中光敏(たなかみつとし)監督、大阪を拠点に世界各地で映画を撮影している“旅する映画監督”リム・カーワイ監督、ミラノ国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞するなど俳優として活躍しながらも、監督経験もあるサヘル・ローズさん。

2024年は、この3名が第19回札幌国際短編映画祭の国際審査員に選任されました!

また、札幌国際短編映画祭は、子どもたちが審査員になり短編映画に賞を贈るオリジナリティのある企画もあります。

受賞作品をご紹介

グランプリ『戦場の音/BLITZMUSIK』

出典:https://sapporoshortfest.jp/24/awards/

2024年札幌国際短編映画祭のグランプリを受賞したのは、マーティン・アミオット監督の『戦場の音/BLITZMUSIK』でした。また、最優秀編集賞も獲得されたためW受賞作となりました。

〈作品紹介〉

いつかどこかの戦場。敵同士の2人の中尉が廃墟となった音楽学校にたどり着く。2人を隔てているのは壁だけ。激しい攻撃とガス弾は、やがてデュエットへと変わっていく。

戦場の音
いつかどこかの戦場。敵同士の2人の中尉が廃墟となった音楽学校にたどり着く。2人を隔てているのは壁だけ。激しい攻撃とガス弾は、やがてデュエットへと変わっていく。...
U-WATCH編集部コメント

※ネタバレを含みます。
鳴りやむことのない爆撃音や銃声の中で、武器を捨てて砂埃をかぶった楽器から音楽を奏でるシーンには圧倒されました。
物理的な意味でも2人を隔てていた壁が爆弾によって破壊され、同じ空間でそれぞれの楽器で演奏するクライマックスからは平和を願う強いメッセージを感じました。セリフはほとんどなく、戦場の音とその中に響く異質な楽器の音色が印象的です。
わずか8分50秒の作品でしたが、鑑賞後の満足感には自分でも驚きました。

最優秀国内作品賞 『ボウル ミーツ ガール』

出典:https://sapporoshortfest.jp/24/awards/

最優秀国内作品賞を受賞したのは、関駿太監督の『ボウル ミーツ ガール』。

こちらは学生監督作品で、監督の関さんはまだ学生だそうです!

〈作品紹介〉

とあるボウリング場。ボウルを投げられない内気な少女アズミは、自分から球を奪いストライクを決めた謎の少年・エイと出会い、変化していく…。

ボウル ミーツ ガール
とあるボウリング場。ボウルを投げられない内気な少女アズミは、自分から球を奪いストライクを 決めた謎の少年・エイと出会い、変化していく...。...

最優秀監督賞 『二人の運命/THE COMPANIONS』

出典:https://sapporoshortfest.jp/24/awards/

ホセ・マリア・フローレス監督の『ザ・コンパニオンズ』(二人の運命)が最優秀監督賞を受賞しました。

〈作品紹介〉

通りを歩く若いカップル。子供たちを祖父母に預け、今日は2人きりの夕食。ふと見ると前方に人々が集まっている。その先にあったものは…

二人の運命
通りを歩く若いカップル。子供たちを祖父母に預け、今日は2人きりの夕食。ふと見ると前方に人々が集まっている。その先にあったものは…...

最優秀アニメーション賞 『アイランド』

出典:https://sapporoshortfest.jp/24/awards/

最優秀アニメーション賞を受賞したのは、絵本作家であるそらさんが監督を務めた作品で利尻島を舞台にしたアニメーション短編映画『アイランド』でした。

受賞されたときのそらさんのスピーチにはとても感動しました。

〈作品紹介〉

日々に疲れているケープリー。利尻山の利尻富士は豊かな湧き水を湛え、訪れるものを癒していく。

アイランド
日々に疲れているケープリー。利尻山の利尻富士は豊かな湧き水を湛え、訪れるものを癒やしていく。...

最優秀チルドレンショート賞 『じいじのほしはなび』

出典:https://sapporoshortfest.jp/24/awards/

“子ども審査員”として、子どもたちがこちらの作品を最優秀チルドレンショート賞に選びました。

〈作品紹介〉

星の世界に住むこぐまは、落ちこんだときにじいじがいつも見せてくれた「ほしはなび」が大好きでした。こぐまは成長すると、じいじの心をひきついで「ほしはなび」を作ろうとします。

じいじのほしはなび
星の世界に住むこぐまは、落ちこんだときにじいじがいつも見せてくれた「ほしはなび」が大好きでした。こぐまは成長すると、じいじの心を引きついで「ほしはなび」を作ろう...

受賞作品・受賞者を一挙ご紹介

アニメーション特別表彰

左から松本紀子紀子さん、西野亮廣さん、リム・カーワイさん

ボトルジョージ/BOTTLE GEORGE
監督:堤大介

ボトルジョージ
酒瓶に閉じ込められたジョージがある日、少女と猫に出会う。依存症と家族をテーマにしたコマ撮り短編映画。...

最優秀作曲賞

ボトルジョージ/BOTTLE GEORGE
コンポーザー:ザック・ジョンソン、マテオ・ロバーツ

ボトルジョージ
酒瓶に閉じ込められたジョージがある日、少女と猫に出会う。依存症と家族をテーマにしたコマ撮り短編映画。...

最優秀ミニショート賞

DOCOOK
監督:羽部空海(はぶそらみ)

札幌国際短編映画祭の魅力を深掘り

たくさんの短編映画を劇場で鑑賞できる

3日間という短期間で、80本以上の短編映画がサツゲキのシアターで上映されます。普段鑑賞する機会がほとんどない短編映画が、これほどの作品数で一挙に集結するというのは本当に珍しいことだと思います。

上映される短編映画は「ファミリー&チルドレン」「アワードA・B」「北海道セレクションA・B」などというように、それぞれの作品がテーマなどによって分類されたプログラムになっています。

観れる時間に、観たいジャンルだけ、というように自分の好きなように短編映画を楽しむことができます。

イベントが盛りだくさん

この札幌国際短編映画祭は、上映される短編映画を観るだけではなく、数多くの魅力的なイベントがメイン会場のサツゲキと、その周辺で開催されます。

国際審査員3名によるイベント

①サヘル・ローズさんの初監督映画『花束』の上映&ティーチイン

12日にウィステリアホールで、サヘル・ローズさんの初監督作品『花束』が特別上映されました。作品を観た後は、サヘル監督とのティーチイン(質疑応答)、トークショーのようなものも同時開催されました。
映画を観た直後に、その映画の監督とお話しできるという貴重な体験ができます。

②田中光敏監督 マスタークラス『北の大地で共に映画を創る』

12日の17:30~19:00には、田中光敏監督がサツゲキから徒歩3分程の場所に位置するイベントスペースEDiTを会場に、『北の大地で共に映画を創る』と題してマスタークラスを開催していました。田中監督自身も北海道出身だそうです。

③リム・カーワイ監督 トークライブ 「インディペンデント映画の現状」

13日の11:30~13:00に、イベントスペースEDiTにてリム・カーワイ監督が「インディペンデント映画の現状」をテーマにトークライブを開催しました。札幌国際短編映画祭の主催者である久保俊哉さんとの対談形式で進行していきました。

ほかにも興味深いイベントが目白押し

◇Micro Docs for SDGs + Micro Docs U18

13日の14:15〜16:00にイベントスペースEDiTでMicro Docs/U18上映&Filmmakerトークイベントが開催されていました。

こちらのコンペティションはドキュメンタリー監督を目指すクリエイターの登竜門として位置づけられ、国内製作の作品を紹介するイベントでした。

Micro Docs U18部門は、全国の中高生から学習教材の一端として役立てられるようなショート・ドキュメンタリーを集めるというようなコンペティション部門になっています。

◇『MIRRORLIAR FIRMS(ミラーライアーフィルムズ) SEASON6』のプレミア上映

全国上映劇場公開に先駆け、札幌国際短編映画にて全世界初となるスクリーン上映を行いました。短編作品をオムニバス形式で公開するもので、シーズン6には俳優・小栗旬が監督を務め、主演に藤森慎吾さんを迎えた注目作『1/96』や、浅野忠信さんが監督を務めた『男と鳥』などが含まれています。

話題を呼ぶミラーライアーフィルムズの最新作が、札幌国際短編映画祭でどこよりも早く上映されるという、注目度の高いイベントでした。

◇最新AI動画生成ワークショップ

映画祭最終日の14日にイベントスペースEDiTで開催されたこのイベントは、ゲーム「ファイナルファンタジー」のゲームムービーなどを担当した坂本雅司さんと『アベンジャーズ』にFXスーパーバイザーとして参加していたダニエル・P・フェレイラさんをゲストに迎えたワークショップです。

◇「ボトルジョージとショートフィルムの可能性」

「最新AI動画生成ワークショップ」に引き続き、同会場にて17:00~18:30に開催された「ボトルジョージとショートフィルムの可能性」では短編映画『ボトルジョージ』の製作総指揮を務めた西野亮廣さんと松本紀子さんの対談トークショーが開催されました。

アニメーション特別表彰と最優秀作曲賞を受賞した『ボトルジョージ』に関するイベントで、『えんとつ町のプペル』の製作総指揮を務めた西野さんが出演するということで、特に注目度が高かったようです。

◇野外上映 『OUTDOOR THEATER』

12日と13日の両日で、1日17:30~19:00、19:30~21:00の2回で野外上映するというイベントが行われていました。

サツゲキ横の「空き地」という場所に大きなスクリーンが準備され、開放的な空間で秋の北海道の澄んだ空気を感じながら映画を鑑賞できるという魅力的なイベントです。

映画愛のあふれる札幌国際短編映画祭

町中のいたるところに映画祭のポスターが貼ってあり、映画祭の開催を楽しんでいる雰囲気が漂っていました。

短編映画を上映していたのは主に、サツゲキの地下のシアターでしたが、上映前には地下への階段、さらにはサツゲキの入口の外まで列が伸びているほどの人気ぶりから、多くの人に愛されてきたイベントだと感じました。

短編映画ということで上映時間は短いですが、心を動かされる名作ばかりだったと思います。劇場での鑑賞ができなかった方や、気に入った作品をもう一度観たい方、短編映画を観てみたい方も、ぜひ11月1日~17日にかけて行われるオンライン上映をチェックしてみてください。

公式サイト https://sapporoshortfest.jp/24/

公式X @sapporoshort

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