沈める鐘

エンリーコが教会のために作った鐘を、牧神が谷底に落としてしまう。妖精・ラウテンデラインはエンリーコに魔法をかけ、家庭を捨てさせ鐘を作らせる。「沈んだ鐘が鳴らない限り、家には戻らない」というエンリーコに絶望した妻・マグダは、自ら命を絶ち…。

「沈める鐘」は、レスピーギがゲルハルト・ハウプトマンの世紀末寓話を基に作り上げた歌劇です。ローマを題材にした交響詩3部作で知られる彼の作品の中でも、特に華麗なオーケストレーションでリリカルに描かれています。物語は、死から逃れられない人間と不滅の妖精の恋を描いており、その悲劇性と魔法のような世界観が絶妙に絡み合っています。オペラの中で繰り広げられる人間と妖精の恋の行方は、観る者の心を強く揺さぶります。