2021年本屋大賞にノミネートされた深緑野分の人気小説『この本を盗む者は』(角川文庫/KADOKAWA刊)を原作に映像化した劇場アニメ『この本を盗む者は』。
主演の片岡凜さんと、ヒロインの相棒役を演じる田牧そらさんにインタビュー。声優初挑戦のおふたりに映画の魅力をたっぷり伺いました。
映画『この本を盗む者は』作品紹介
書物の街・読長町に住む高校生の御倉深冬。曾祖父が創立した巨大な書庫「御倉館」を代々管理する一家の娘だが、当の本人は本が好きではなかった。
ある日、御倉館の本が盗まれたことで、読長町は突然物語の世界に飲み込まれてしまう。それは本にかけられた呪い――“ブック・カース”だった。
呪いを解く鍵は、物語の中に―― 町を救うため、深冬は不思議な少女・真白とともに本泥棒を捕まえる旅に出る。泥棒の正体は一体誰なのか?そして、深冬も知らない“呪い”と“御倉家”の秘密とは……?
(※映画『この本を盗む者は』公式サイトより引用)
2025年12月26日公開
本の世界に飛び込み、冒険していく物語

ー今回、劇場アニメ『この本を盗む者は』で主演を務める片岡凜(かたおか りん)さんと、ヒロインの相棒役を演じる田牧そら(たまき そら)さん。改めて、『この本を盗む者は』はどのような作品ですか?
片岡凜さん(以下、片岡):『この本を盗む者は』は、書物の街・読長町(よむながまち)で起きる奇妙な事件を描いています。
私が演じる主人公の御倉深冬(みくら みふゆ)のもとに起きた蔵書盗難によって呪いが発動し、町が物語の世界に飲み込まれてしまいます。
田牧そらさん(以下、田牧):深冬は、私が演じる真白(ましろ)という謎の少女とともに物語の世界に飛び込んで、本泥棒を見つけて、本にかけられた呪いを解く冒険に挑んでいく、というお話です。
ーありがとうございます。次に、おふたりが演じたキャラクターについて。まず、主人公の御倉深冬を演じた片岡さん。どのような役柄ですか?
片岡:深冬は本の蒐集家(しゅうしゅうか)だった曾祖父から引き継いだ書庫「御倉館(みくらかん)」を管理する家に生まれながらも、本が嫌いな女の子、という役柄です。
ー深冬は本が嫌いな少女という役どころですが、片岡さんご自身は本はお好きですか?
片岡:私自身は本が好きで、特に伊坂幸太郎さんの本が好きなんです。
中でも、『ゴールデンスランバー』という作品が好きです。文章を読んでいて、生々しい焦りやリアルな感情が肌感として感じられるところが魅力的だと思います。
ー続いて、不思議な少女・真白を演じた田牧さん。どのような役柄ですか?
田牧:真白は深冬の前に現れて、一緒に冒険していくことになる女の子です。かわいらしさとかっこよさをあわせ持つ、とても魅力的なキャラクターです。
真白の持つ輝きや魅力を少しでもみなさんに感じていただけるように、精一杯演じました。
ー片岡さんと田牧さんご自身のお互いの第一印象と、初対面の印象から変わったところを教えてください。
片岡: 出会ったときから“真白ちゃんそのもの”という印象が強かったです。すごくしっかりされているな、と思いました。
収録でずっとご一緒していて、回を重ねるごとにだんだん可愛らしいところがたくさん見えてきたんです。より素敵な印象に変わっていきました。
田牧: 嬉しいです!
片岡さんは、最初からずっと“すごくかっこいい、大人な女性”という印象があって。お話していく中で、片岡さんの可愛らしい一面も少しずつ見えてきました。
それに加えて、お仕事への積極的な姿勢がすごく勉強になりました。例えば、収録中にも監督たちとたくさん話し合いをされていたんです。
ー現場で印象に残っているエピソードを教えてください。
田牧:みんなおなかが空いてくる時間帯に、映像でおいしそうな焼き鳥が出てきたんです。
そのときのことをすごく覚えています(笑)。
片岡:そうそう!
空腹でおなかがなってしまうと、その音も録音されてしまうんですよ。実際におなかが鳴ってしまって、撮り直しになりました(笑)。
ー楽しそうな雰囲気が伝わってきました。改めて、作品の魅力を教えてください。
片岡:私自身も本が好きなので、主人公たちが本の世界に入って冒険していく、という物語に惹き込まれました。
色鮮やかな世界やキャラクターたちの出会いなど、魅力が詰まったすてきな作品です。ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです!
田牧:壮大な物語に美しい映像、そして心地よい音が重なって、この作品の世界観をより鮮やかに映しだしてくれています。
少し不思議で心がときめく世界を、ぜひ劇場で体感していただきたいです!
声優に初挑戦したふたり。これまでで一番大きかった挑戦は?

ーおふたりとも、声優は初挑戦ですね。声優に挑戦した感想と、工夫した点を教えてください。
片岡:初めての声優のお仕事は、新鮮さがありました。
自分が実際に発している声と人に聞こえる声は、少し違うんですよね。
録音した自分の声を聞いてみたら、自分が思っていたよりもドライに聞こえたんです。なので、深冬のキャラクターに合わせて、表現をオーバーにすることを意識しました。
田牧:初めてのことに挑戦するのは、楽しいので大好きなんです。
普段のお芝居は、現場で感じるものを表現することが多いです。ですが今回は、事前の準備や想像でお芝居する場面も多く、その時間も楽しかったです。
ー今回、声優に初挑戦したおふたり。これまでされてきた新しい挑戦で一番大きかったことは何ですか?
片岡: 芸能界に入ったことが一番の挑戦かなと思います。
今まで生きてきた世界と全く違う世界に飛び込んだので…。それこそ、深冬が本の世界を冒険していくように、私も毎日が冒険のような感じです。
ーなるほど。
片岡:初めてのことばかりなので、今自分がやっていることが正解か不正解か分からないときが多いんです。
ですが、今は正解か不正解か分からなくてもいい時期なんだろうなって考えてるようにしています。
毎日を突っ走りながら生きているので、正解が分かるのは数年後かなと思いながら過ごしています。
ー俳優を目指すきっかけになった作品はありますか?
片岡: 『ブレイキング・バッド』(2008)という作品です。魅力を語りだしたらキリがないのですが、大好きな作品です。
この作品を見て明確に“俳優になりたい”と思いました。全体を通して心情の描写がすごくリアルで、こういうお芝居がしたいと思わせてくれた作品です。
ー田牧さんがこれまで経験した大きな挑戦は何ですか?
田牧: 新しい作品に入るときは、毎回が挑戦だなと思っています。
新しい共演者やスタッフの方々と新しいチームで作品に入って、新しい役を演じるのは、自分にとって毎回チャレンジですね。
ー新しい挑戦が好きだという田牧さん。悩むことはないのでしょうか?
田牧:人に見られる仕事なので、周りから自分を評価されたり、他の人と比べられることが多いのですが、それに悩んだり、落ち込むことはたまにあります。
ー悩んだとき、どのように対処していますか?
田牧: 自分の中では、絶対に自分と他人とを比べないようにしようって意識するようにしています。
あとは、とにかく自分ができることを精一杯やって、楽しいことだけ考えるようにしています。
ー今後挑戦してみたいことはありますか?
片岡: 英語を使ったお仕事をしたいなと強く思います。
英語が得意なので、今後、それを活かしたお仕事をしてみたいです。
田牧: 私は、舞台に挑戦してみたいです。
舞台はやったことがないんですが、映像作品とはまた違ったお芝居の仕方があるのかなと思います。
私自身、舞台を観るのがすごく好きなんです。少し前に観た『浅草キッド』というミュージカルがすごく素敵でした。
自分が観たステージにいつか自分も立てたらいいなって思いました。歌うのも挑戦してみたいです。
リフレッシュ法は「父と話すこと(片岡)」「おいしいものを食べること(田牧)」

ーここからは、プライベートについても伺いたいと思います。お忙しい中でのリフレッシュ方法を教えてください。
片岡: 父と話しているときが一番のリフレッシュですね。私はすごくパパっ子で、父が大好きなんです。
田牧:私は 食べることが好きなので、おいしいものを食べることがリフレッシュです。
好きな食べ物は焼き肉で、中でも特にタンが大好きなんです。焼き肉に行くといつもタンをたくさん食べます(笑)。
ー最近ハマっていることはありますか?
田牧:最近、初めて岩盤浴に行きました。すごく気持ちが良かったです。まだ一回しか行ったことないんですけど、また行きたいな、と思っています。
片岡: 私は、料理ですね。
田牧:あ!収録のときにも、お弁当を作って持ってきてらっしゃっていましたよね。すごくおいしそうでした!
片岡: そうなんです(笑)。
最近は、作ったことないジャンルのものを作るっていうのを頑張ってやっていて。
例えば、オムライスをちゃんと作ったことがなかったので、レシピを見ないでオムライスを作ってみました。
田牧:え!すごい!
ーすごいですね!少し話題は変わりますが、最近、買ってよかったものがあれば教えてください。
田牧: 丸い葉っぱがついている観葉植物を買いました。小さくてすごく可愛いんです。やっぱり、緑に惹かれるんですよね。
今まで植物を枯らしちゃうことが多かったんですけど、いろいろ勉強して枯らさないように大切に育ててます。
片岡: 私はパフュームを買いました。寝る前につけて、リラックスして寝るのが日課なんです。最近、いろいろな香水を買って楽しんでいます。
ー美容で気をつけていることはありますか?
片岡: 一番は心の健康を保つようにしています。私は、メンタルがそのまま外見に出るんです。
だから、いかに自分が健康で笑顔でいられるかを大事にしています。
我慢しすぎるといろいろ外見に出てきてしまうので、我慢しすぎないようにしています。
ー田牧さんは、美容で気をつけていることはありますか?
田牧: 食事に気をつけていて、野菜とタンパク質は絶対に摂るようにしています。
私の母がすごく料理上手で、いつもバランスのいい食事を作ってくれるんです。それが習慣づいて、私自身もバランスを気にしているのかなと思います。
ーメンタル維持のためにしていることはありますか?
片岡:大好きな缶のコーラをよく飲みます。体にはちょっと良くないんですけど(笑)。
“缶で飲む”ということにこだわりがあって、ペットボトルじゃダメなんです。絶対缶なんです(笑)。
ペットボトルと缶では、冷たさとか炭酸の感じ方が全然違うんですよね。缶のコーラをガッと飲むのが大好きです。
田牧: 精神的に健康でいるために、おいしいものを食べてたくさん寝るようにしています。
あとは、友達と会ったり、たくさんお話したりしてストレスを発散します。友達と遊ぶときは、ディズニーに行ったり中華街に出かけたり。肉まんや小籠包を食べるのが大好きです(笑)。
ーおいしいものを食べること、大事ですよね。それでは本日は、たくさんのお話をありがとうございました!

片岡凜(かたおか りん)プロフィール
2003年10月6日生まれ、群馬県出身。2022年、優里のミュージックビデオ『レオ』で女優デビュー。同年TBSドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』でドラマ初出演。その後『ボーイフレンド降臨!』『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』『海に眠るダイヤモンド』といった話題作に出演し、NHK連続テレビ小説『虎に翼』の高校生役でも注目を集める。英会話とギター演奏が特技。
●Instagram @_rimgramm__
●TikTok @strong_botch
●Youtube @questionzombies
田牧 そら(たまき そら)プロフィール
2006年8月2日生まれ。トライストーン・エンタテイメント所属。生後半年から芸能活動を始め、子役・モデルとして多数のCMや広告に出演。代表作はNHK『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(日直アシスタント、2019年~)、日本テレビ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』、テレビ朝日『スカイキャッスル』など。25年はwowow『I,KILL』、NHK『いつか、無重力の宙で』と話題作に出演。趣味・特技は英語、ギター、陸上、書道。
●Instagram @sora_tamaki_official
片岡凜さん出演作はこちら
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田牧 そらさん出演作はこちら
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片岡凜さん:
ヘアメイク/北原 果(KiKi inc.)
スタイリスト/有咲
田牧 そらさん:
ヘアメイク/石邑麻由
スタイリスト/野田さやか
撮影:髙橋耀太