松井玲奈『ハリー・ポッターと呪いの子』で夢のハーマイオニー役。芯の強さと“内にある炎”を大切に

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小説シリーズ最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」の19年後を描き、ロングラン公演4年目の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。

魔法大臣となったハーマイオニーを演じる松井玲奈さんにインタビュー。子供の頃からハリー・ポッターが大好きだったという松井さんに、舞台や作品の魅力をたっぷり伺いました。

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』作品紹介

「ハリー・ポッターと呪いの子」の配信サービス・あらすじ・キャスト・作品概要|ユーウォッチ
本作は、「ハリー・ポッター」シリーズの原作者・J.K.ローリングが自ら演出家のジョン・ティファニー、脚本家のジャック・ソーンとともに創作したオリジナル・ストーリー。完成した舞台を観た原作者は、「...

ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後、かつての暗闇の世を思わせる不穏な事件があいつぎ、人々を不安にさせていた。

魔法省で働くハリー・ポッターはいまや三人の子の父親。今年ホグワーツ魔法魔術学校に入学する次男のアルバスは、英雄の家に生まれた自分の運命にあらがうように、父親に反抗的な態度を取る。幼い頃に両親を亡くしたハリーは、父親としてうまくふるまえず、関係を修復できずにいた。

そんな中、アルバスは魔法学校の入学式に向かうホグワーツ特急の車内で、偶然一人の少年と出会う。彼は、父ハリーと犬猿の仲であるドラコ・マルフォイの息子、スコーピウスだった!

二人の出会いが引き金となり、暗闇による支配が加速していく…。

(※舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式サイトより引用)

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子供の頃から大好きだった「ハリー・ポッター」。ハーマイオニーとして舞台に出演できて本当に嬉しい

ー舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で4年目キャストとして大人になって魔法大臣となったハーマイオニーを演じる松井さん。心境はいかがですか?

松井玲奈さん(以下、松井):本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。私は子供の頃からハリー・ポッターシリーズが大好きで、ハーマイオニーに憧れていたんです。

『ハリー・ポッターと呪いの子』が日本で上演されると決まった際も、どうしたら出演できるんだろうとずっと思っていました。

今回オーディションに挑戦するチャンスをいただき、ハーマイオニーという役を自分の手で掴むことができて本当に嬉しいです!

ー今回の舞台出演について松井さんファンの方の反応はいかがでしたか?

松井:皆さんとても喜んでくださっています。

私自身すごく本が好きで、ハーマイオニーも本が好き。なので、私のパーソナルな部分を知っている方々に「ぴったりの役だね」と言ってもらえて嬉しかったです。

ー役作りで大切にしたことを教えてください。

松井:彼女自身が持つ芯の強さを大切にしました。どの場面でも彼女には使命があり、その使命に向き合う強さを持っているんです。

魔法大臣としての彼女の格好良さと、仕事に向き合う姿勢を見てほしいです。

そして、ハーマイオニーは内側にずっと炎を持っている人。その炎を絶やしたくないという思いが強くありました。

「内にある炎」は自分の中で一番意識している部分なので、そこに注目していただけたら嬉しいです!

ー世界中で大人気のハリー・ポッターシリーズ。原作が好きな方、映画が好きな方、いろんな方がいると思います。

松井:まずは原作や映画から受けたイメージを自分の中で整理して、どう近づけるか考えました。

声の出し方やセリフのアクセントを映画の吹き替えに寄せてみたり。

あとは、ハリーとロンとの友情が映画と舞台でリンクするような場面があるんです。そこを何回も読み込んで、イメージを固めてからお稽古に臨みました。

ー松井さんは舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』のイギリス公演も観劇されたとか。いかがでしたか?

松井:ハーマイオニー役のナナ・アジェイ=アンパドゥさんが思った以上にコミカルに演じていらっしゃったんです。

自分の持っていたハーマイオニー像は、とても真面目でピシッとしているイメージでした。

でも、ちょっとしたところで彼女の柔らかさやユーモアを見せてもいいんだ、と。すてきなアイディアをもらって日本に帰って来ました。

ー今回、ハーマイオニー役は奥村佳恵(おくむら かえ)さん、酒井美紀(さかい みき)さんとのトリプルキャスト。いかがでしたか?

松井:同じ役を複数人で演じるのは初めてだったのですが、3人の中ですごく仲間意識が生まれました。

今までは演じた際に感じたことを誰かと話し合える機会がなかったんです。一人で悩む時間が多くて。

悩みをシェアしたり、お互い「こういうことに気を付けた方がいいかも」と共有しあえた経験はとても大きな財産です。

ー公演によって他のキャストも組み合わせが変わるそうですね。

松井:そうなんです。キャストが変わると、お芝居の雰囲気やテンポ感など、自分が受け取るものもずいぶん変わってきます。

毎回すごく新鮮な気持ちで、いい緊張感を持って舞台に立てるのがとても楽しいです。

常に前向きな姿勢のカンパニー。だからこそお互い信頼し合えた

ー共演者との印象的なエピソードはありますか?

松井:ランチタイムや休憩時間、稽古後にみんなで何度も自主練習をしたのはすごく印象的でした。

稽古場があいていないときはみんなでお気に入りの小さい人形を持ち寄って、机の上で稽古したりしたんです。

すごく楽しかったですし、「おままごとみたいで可愛いな」と思っていました(笑)。

ーかわいいですね(笑)。カンパニーの雰囲気の良さが伝わってきます。

松井:みんなでワイワイしていて、本当に良い空気です。

これは海外スタッフの方々がみんなにポジティブな意識を広めてくださったことの影響がすごく大きいと思います。

演出補のエリック・ローマスさんや振付補のヌーノ・シルヴァさんは「今のお芝居がすごく良かった」「ここが面白かった」と、いつもたくさん褒めてくださって。

常にプラスのコミュニケーションをとってくださったおかげで、私たちも落ち込むことなく取り組めたんです。

お互い褒め合ったり、前向きな姿勢がカンパニー全体に広がりました。だからこそお互いを信頼し合えて、思っていることも伝えられるのだと思います。

ー前向きなコミュニケーションによって信頼し合える関係性ができたんですね。他にもスタッフの方とのエピソードはありますか?

松井:初日にヌーノさんが全員の名前を覚えるゲームをしてくれたんです。

そのおかげで一人一人の顔と名前が一致して、すぐにみんなと距離を縮めることができました。本当にありがたかったです。

エリックさんは「君はこういうパターンだね」という感じで、キャスト一人一人の個性を尊重してくださったのがすごく印象的でした。

同じハーマイオニーを演じる佳恵さんのお芝居がすごく素敵で、「佳恵さんのようなお芝居のアプローチに変えた方がいいのかな」と悩んで相談しに行ったことがあって。

その際も、「佳恵さんと玲奈さんは違う人間だから、僕は無理に同じにしようとは思わない。でも玲奈さん自身がそれをいいと思ったんだったら、そのアイディアを一度自分の中に落とし込んでみるのもいいかもしれないよ」と。

すごく前向きな言葉をかけてくださったんです。

まずは魔法に驚き、観た後は大切な人に会いたくなる作品

ー2025年7月17日から公演に立ち始めた松井さん。感想はいかがですか?

松井:お客様が入ると反応が返ってくるのがとても嬉しいです。この舞台、そして魔法が成功するという感覚を肌で感じることができました。

キャストが変わるとお客様の反応も変わったり、その日の劇場の空気感で自分たちもお芝居のアプローチが変わったり。一公演一公演、すごく楽しみながら演じています。

ーハリー・ポッターの関連ショップやカフェなどの施設が充実している赤坂エリア。おすすめの過ごし方を教えてください。

松井:駅を降りてすぐにあるタイムターナーのオブジェで、ぜひ記念撮影をしてほしいです。

劇場周辺のいろんなところにキャラクターがシルエットで隠されているので、それを公演前後に探してみるのも楽しいと思います!

ー舞台を初めて見る方に向けてメッセージをお願いします。

松井:映画や本のハリー・ポッターを見たことがないと難しいのではないかと聞かれることも多いのですが、全くそんなことはありません。

まずは繰り広げられる魔法に驚いて、観た後は大切な人に会いに行きたくなるような作品。私は純粋な家族愛、そして人間の愛の物語だと捉えています。

ぜひ気軽に劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです!

稽古を見るのが一番の息抜き。今後は英語の勉強にも挑戦したい

ーここからは松井さんご自身についても伺いたいと思います。リフレッシュ方法はありますか?

松井:なんだかんだ、稽古を見るのが一番の息抜き。赤坂に来るのが一番楽しいです。

みんなのかっこいい姿や日々進化している姿を見ると刺激をもらえるんです。自分のお稽古がなくても見に来ちゃいます(笑)。

「私ももっと頑張りたい」とか「こういうアプローチもできるんだ」と考えている時間が一番楽しいです。

ー体力の必要なロングラン公演。健康面で気をつけていることはありますか?

松井:たくさん筋トレをしています。

より筋肉をつけるために体を内側から整えたくて、食事のバランスに気を付けたお弁当を作って、毎回稽古や舞台の時は持ってきています。

ー今後挑戦したいことはありますか?

松井:この作品で、英語を学びたい気持ちが本当に強くなりました。

海外スタッフの方は英語でお話ししてくれたんですが、自分の言葉でコミュニケーションを取れないのがすごく残念で。

通訳さんを介したり、簡単なことにも単語でしか答えることができなくて歯がゆい思いでした。

もし次エリックさんやヌーノさんが日本に来てくださる機会があれば、自分の言葉でお話しできたらいいなと思います。

あとは、今後各国の『(ハリー・ポッターと)呪いの子』を観に行く機会があれば、英語ができたらよりこの作品の面白さを理解できるんじゃないかなと思います。

舞台の台本も原文(英語)で読んでみたいです。

ファンは自分に光を当ててくれる存在。常に期待に応えたい

ーお仕事で大切にしていることを教えてください。

松井:応援してくださる方や作品を観てくださる方に楽しんでもらえることをずっと心がけています。

この舞台も、観客の方に「観てよかった」と喜んでもらえるのが本当に嬉しかったです。

常に皆さんの期待に応えられるようにしたいという想いがあります。

ーファンの方は松井さんにとってどのような存在ですか?

松井:ファンの方は自分に光を当ててくださっている存在。ずっと大切にしたいです。

皆さんがいてくださらないと、本当に私の存在価値がなくなってしまうと思います。

私は、お手紙やメッセージをいただくのが本当に嬉しくて。お子さんとの家族写真や結婚式の写真を送ってくださる方もいるんです!

ーそれはすごいですね!

松井:イベントなどで、ファンの方から「結婚した」「子供が生まれた」って聞くと、すぐ「写真見せて!」って言っちゃうんです(笑)。

「結婚式でSKE48や乃木坂46の曲を使ったよ」「玲奈ちゃんが出ていたドラマの主題歌を流したよ」って言ってくれる方もいます。

この前、ファンの方の家族写真を見て家で泣きました。「娘さん、こんなに大きくなって〜(涙)」って(笑)。

イベントにご家族と一緒に来てくれる方もいるので、“次はいつ会えるかな”って楽しみにしています。

自分も皆さんの人生の中に参加させて貰っているような、ファンの方と同じ時間を歩んでいるような気持ちです。

ーすてきなエピソードですね。ファンの方への想いが伝わってきました。それでは、本日はたくさんのお話をありがとうございました!

松井 玲奈(まつい れな)プロフィール

1991年7月27日生まれ、愛知県出身。2008年デビュー。女優・小説家として活動。主な出演作品にNHK連続テレビ小説「まんぷく」(2019)などがある。

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撮影:髙橋耀太