こま
50代/女性
59 件のレビュー
4.0
ちょっとほかとは一味違う転生もの、こんなの好きになってしまうだろ! 30年の社会人生活で培った経験値と、おじさんの元々のオタクへの深ーーい理解がいい感じにミックスされて、緩くて気持ちのよい面白さです。 悪役を全うしようとするとエレガントチートが発生してしまい、ヒロインどころかゲームの攻略対象が次々とおじさん曰く(いらんフラグがたっていく)のがとても気持ちがいい。 これはもう悪役どころか最強の主人公。死角なし。 ちゃんと現代世界とリンクしていて、おじさんを救うべく家族も一緒にゲームを進めているのも好きポイントです。 それにしても52歳現役公務員であんな人格者だなんて…もしかしておじさんは実は苦労人なのだろうか…
2025.09.10 投稿
3.5
楽しそうに笑う少女たちの様子は今とそう違いはない。なのに少女たちを追い詰める赤い火花の色はあまりにも強烈だ。 少女たちから吹き上がる花びらは、美しくもあり幻想的ですらあって、目の当たりにしたくはないと思う気持ちを覆い隠してくれたのかと思えた。 終盤、サンはマユの手を取って駆け出したけれど、サンの選択を自分にできるだろうか。 マユを撃った相手を目の前にして、自分はなにかを考えることができるだろうか。 お話は「架空」といって始まるけれど、この世界にはこの物語を思わせることが確かにある。 この物語を繰り返さないために、恐ろしいと感じたことを忘れないように、と強く思う。
2025.09.01 投稿
3.5
あくまでも自分の場合であるけれど、ギリギリになって仕方なくやっと行くというのが「病院」だ。その時点で少々メンタル面が弱っている。 そこへあんな徳重先生が現れたらどうだろう。イチコロだ。 こちらが重い口を開くのを待つ、間。 急かすのではなく、こちらが弱音を吐露するのを待っている。閉じ込めたものを言葉に変換するのを待っている。 なんという眼差しなんだろう。なんという声音なんだろう。 もしも、自分でも説明のできない痛みに寄り添ってくれる存在があったとしたら。 徳重の、あの赴きにはいったいどんな心持ちがあったのだろうと身震いする。 原作とは異なる印象があるけれど、その姿がこの物語における徳重なのだと思えます。
2025.08.31 投稿
3.5
優しい絵柄と耳に優しい声の配役。どこかゆったりとした調子でたんたんと進むお話だからこそ、それがあの時代の日常なのだと改めて思った。 日常の中にある遊郭、空襲、大切な者の死。 突然の晴美ちゃんの死と右腕を失ったすずに「戦時下の日常」をつきつけらた気がしました。 戦争が終わっても生きている人たちの「戦争」が突然に終わるわけではない。家族を失ったり、生き残ってもからだに異変が残ったり、戦争の前にはけして戻らない。 悲しい話、恐ろしい話、聴くに耐えない話。戦争というものを知るきっかけは様々だけれど、このお話の一見柔らかそうな絵と音は構えることがなく見てみようという気持ちになった。構えることのない分だけ、例え一端だとしても、戦争というものがあまりにも近くにあったことを感じるきっかけになりました。
2025.08.25 投稿
4.0
義時って誰…?というぐらい頼朝以降の歴史を知りませんでした。 けれど、三谷幸喜脚本ということは何かありそう…と思っていました。 北條氏の混沌、頼朝の死、毎回感情の起伏が激しい展開でした。 尼将軍となる政子の腹の座ったたくましさに比べ、追い詰められていくような義時の対比が苦しかった。 お話が進むにつれ「どうしてこんなことになってしまったのだろう」と思わずにいられなかった。 あえて堕ちていくと決めた義時の形相はどうにも苦しかった。正に鬼の形相。 最終話、瞼を閉じる義時に、やっと終わりにできるんだと思い、そうしたのが政子だったということが、悲しいのか苦しいのか、安堵なのか、感情がまとまらなかった。 タイトルの「13人」の意味に、本当に恐ろしく思った。 義時の最期は修羅の終わりであって願いでもあって、残された者にとってはひとつの呪いのようだと感じました。
2025.08.16 投稿