東京の女

大学生の良一は姉・ちか子と一緒に暮らしている。彼はちか子に、昼はタイピスト、夜は大学で翻訳の手伝いをして学費や自分の面倒を見ていると聞かされていた。ある日、良一は、ちか子が実はいかがわしい酒場で働いているという事実を知ってしまう。

「東京の女」は、昭和初期のサイレントドラマで、小津安二郎監督が描いた作品です。物語は、姉の身を案ずる弟の苦悩を中心に展開します。昭和初期の行き詰まった時代背景が、人々の生活と絡み合い、物語の悲劇性を一層引き立てています。また、カメラワークやシーン構成の秀逸さが際立ち、岡田嘉子と田中絹代の色あせない美しさも見どころの一つです。この作品は、時代を超えて人々の心を揺さぶる力を持つ、映画史に残る一作と言えるでしょう。