東京の合唱

妻子持ちのサラリーマン・岡島伸二は、同僚が不当な理由から解雇されたことを知って社長に抗議した。このせいで伸二まで会社をクビになってしまう。不況の世の中で再就職先は見つからず、かつての恩師・大村先生が営む食堂を手伝うことになるのだが…。

「東京の合唱」は、世界的な不景気の中で会社をクビになった男の悲哀を、コミカルさも交えて描いた作品です。小津安二郎監督、岡田時彦主演のサイレント映画で、昭和初期の大学卒エリートが転落していく様子や、ありふれた家族の喜怒哀楽などが軽妙かつ秀逸に描かれています。社会の厳しさと人間の温かさを巧みに描き出した、時代を超えて観る価値のある作品です。