【坂東龍汰インタビュー】未来に抵抗する若者たちを描いた映画『若武者』の魅力に迫る

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2024年5月25日に公開される人生への疑問を抱く3人の若者を描いた映画『若武者』で、義父に対して深い憎しみを抱える工場勤務の渉(わたる)役を演じた坂東龍汰さんに役作りや作品の魅力などを語っていただきました。

『若武者』映画概要

『若武者』あらすじ

工場に勤める寡黙な渉(坂東龍汰)、血の気の多い飲食店員の英治(髙橋里恩)、一見温厚そうに見える介護士の光則(清水尚弥)は、互いに幼馴染の若者。ある晩秋の昼下がり、暇を持て余した彼らは“世直し”と称して街の人間たちの些細な違反や差別に対し、無軌道に牙を剥いていく。

引用元:映画『若武者』公式サイト

未来に抵抗する若者たちを、独特な言語表現と予測不能な展開で描いたドラマです。『逃げきれた夢』が第76回カンヌ国際映画祭に正式出品されるなど、国際的評価が高まっている二ノ宮隆太郎さんが監督と脚本を手がけました。

自分とは正反対の役を演じるために心がけたこととは

ー『若武者』の出演が決まったときの気持ちはいかがでしたか。

坂東龍汰(以下、坂東):嬉しかったですね。二ノ宮監督の作品『逃げきれた夢』『枝葉のこと』などを見て、いつか出演してみたいと思っていました。斬新で、ストレートで、無駄が一切ない、本当にかっこいい映画を撮る人だなと思っていました。

監督とは元々同じ事務所でお互いを知っていて、監督から『若武者』のオファーをいただきました。当て書き(※)をすると聞いていたので、どんな台本ができるのか楽しみに待っていたのを覚えています。

※当て書き‥‥役を演じる俳優をあらかじめ決めてから脚本を書くこと

ー坂東さんが演じた渉はどんな人物だと感じられますか。

坂東:一言では言い表せない人物ですね。監督がこんな風に僕を捉えてくれていたとは意外でした。僕はどちらかというと渉とは正反対の性格だと思っているのですが、別の側面を見てくれていたのだなと。

渉は、僕が今まで演じたなかで一番セリフが少ない役で、感情もあまり出さない。それが、英治と光則に影響されて、変化していきます。

また監督の多くの作品で父親との関係が描かれていますが、今回も渉と義父の関係が映画のテーマの一つです。

ー坂東さんと渉は正反対の性格ということで、役作りでご苦労されたのではないですか。

坂東:役作りのときに、僕と渉の共通点を見つけるのに苦労しました。共通点は人間が持っている普遍的な闇だと思います。僕と渉の闇は種類や大きさが違うかもしれないですが、自分なりに人生で感じてきた闇に改めて向き合い、渉に近づこうとしました。

他にも、別の作品でも行っているのですが、役と会話しながら作り上げていきましたね。自分と別のもう一人の自分がいるイメージで、役柄に問いかけると役が応えてくれるんです。僕が完全に渉になることはできないですが、会話によって近づけます。

仲の良い3人。撮影中は各々の役作りに集中

ー一番思い入れのあるシーンを教えてください。

坂東:具体的なシーンは言えないのですが、渉が溜まりに溜まった感情を父親にぶつけるシーンです。僕もいろいろな思いが込み上げてきました。

映画では、見る人に「たまには本音で話すときがあってもいいんじゃない?」という問いかけができたと思います。日本には気遣いの文化があり、本当の自分をさらけ出せる人は少ないはず。

映画のなかでは英治や光則はズバズバとものをいう性格で、感情をストレートに表現している場面があり、「僕もあんなストレートな表現ができたら最高だろうな」と思うのですが、むずかしいんですよね。

でも映画を見てもらえれば、好かれるとか嫌われるとかは置いておいて「たまには本音を話してみよう」と思うようになるかもしれないです。

ー撮影現場の雰囲気はどのような感じでしたか。

坂東:監督を大好きな人たちが集まった、熱量の高い撮影現場でした。主演の他の2人や監督とはとても仲が良いのですが、撮影中はそれぞれの役柄の世界観をつくり上げるのに集中していました。

映画は主演3人のストーリーが交差するオムニバスに似た形式だったので、それぞれの役柄に集中する必要があったと思います。

僕は普段の現場では率先して他の役者さんとコミュニケーションを取っていますが、今回はすでに気心の知れた関係だったので、そういったことはあまりせず、役作りに集中できました。

ー共演された英治役の髙橋里恩さんと光則役の清水尚弥さんとは、撮影現場でどんな会話をされていたんですか。

坂東:撮影中はよく「この脚本、最高だね」と話していました。

僕たち3人は普段から『若武者』の渉たちのような関係で、お互いをリスペクトし合っていると思います。

尚弥は達観していて、いつも周りが見えています。相手の魅力を素直に褒められるのがすごいなとも思いますね。僕と里恩の間に入ってくれるバランサーのような存在です。

里恩はインテリジェンスに富んだお喋りが大好きな子。一言話しかけたら、数倍になって返ってきます(笑)。インタビューを受けるときは、里恩ばかり喋ってますよ。

ー監督は撮影中どんな存在でしたか。

坂東:監督とは普段から仲が良いのですが、撮影中も変わらず穏やかで、微笑んでいました(笑)。

一方で、演出の指示はいつも明確。俳優がリクエストに応えられたら一発で終わることもあれば、応えられなかったら何回も撮り直していましたね。

特に渉と義父のシーンは、何回も話し合って作り上げていきました。先ほどお話した渉が溜まった感情を父親にぶつけるシーンでは、語尾の強さや、感情を爆発させるタイミングなど細かなところまで話し合い、作り込みました。

現代の若者が見失っているものを描く|平凡な日常にスパイスを与える映画

ー撮影を終えて、改めて『若武者』はどんな作品に仕上がったと思いますか。

坂東:一言で表すのはむずかしいのですが、間違いなく映画の新しい概念になると感じています。見ていただけたら必ず衝撃が走ると思いますし、何かしら胸に残るものがあると思います。

心に残るものを言語化するのはむずかしいのですが、だからこそ見てほしいと思うんです。それを言語化してしまったり、予告ですべてを語ったりしたら、映画を見なくても満足してしまうはず。

平凡な日常にスパイスを与えてくれる映画とも言えるかなと思います。僕は感情が平坦になっているのを感じたら、リサーチなしで映画館でいろいろな映画を見るようにしています。すると、平凡な日常から脱せられるんです。『若武者』もそんな存在の映画になっていると思います。

また、『若武者』は現代の若者が見失っているものを描いています。気づきを与えてくれる映画になっているので、ぜひ見ていただきたいです。

ーでは、最後に映画を見るファンへメッセージをお願いします。

坂東:今まで出演した作品以上に、見た人がどういう感想を抱くのか予想できないので、皆さんの反応が楽しみです。

見終わった後に何か感じるものがあったら、家族や友人などと話してもらいたいですね。でも、上手く言葉にできなくても、心の中に感じてもらえるものがあれば十分かなとも思います。

坂東龍汰(ばんどう りょうた)プロフィール

1997年生まれ、北海道出身。2017年、俳優デビュー。18年、「花へんろ特別編春子の人形」でドラマ初主演。22年、「フタリノセカイ」で映画初主演を務め、第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞。近年の主な出演作は、映画「バカ塗りの娘」「春に散る」「一月の声に歓びを刻め」など。現在、ドラマ「RoOT / ルート」(テレビ東京)、「366日」(フジテレビ)が放送中。待機作には主演映画「若武者」(5月25日)、映画「シサㇺ」(今秋公開予定)、主演映画「君の忘れ方」(2025年公開予定)がある。

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