ドラマ『ガン二バル』シーズン2に出演の恒松祐里。圧巻の演技力でキーパーソンの壮絶な過去を体現

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ディズニープラス独占配信ドラマで話題を呼んだヴィレッジ・サイコスリラー『ガン二バル』。待望のシーズン2が、ついに2025年3月19日よりディズニープラスで独占配信開始です。

シーズン1でも強いインパクトを残し、物語の鍵を握る後藤家前当主・後藤銀(ごとうぎん)の若き頃を演じる恒松祐里さんにインタビューしました。

壮絶な過去を迫真の演技で体現した恒松さんに、撮影の舞台裏を伺いました。

ドラマ『ガン二バル シーズン2』作品紹介

“この村では、人が喰われるらしいー”
美しい村がひた隠しにしてきた恐ろしい噂。
その真相に警察官・阿川大悟が迫る中、村の秘密を守ろうとする後藤家がついに一線を越え、警察隊と衝突する。

“狂った村の真実を暴くには、狂うしかないーやつらよりも”
後藤家との狂乱の戦いに自ら身を投じていく大悟は、止められない狂気の渦の先にある衝撃の真相を突き止められるのか?
全ての鍵は、呪われた一族・後藤家の過去にあった…。

ドラマ『ガン二バル』公式サイトより引用

ガンニバル SEASON2
混沌とする村の中、大悟は呪いを終わらせるため、恵介は後藤家を守るため、有希は家族を守るため、後藤家、村人、警察、それぞれが自分の大切な存在を守ろうとする想いが錯綜していく。ついに、謎の真相に手が...

2025年3月19日よりディズニープラス「スター」でシーズン2独占配信スタート。
© 2025 Disney

ドラマ『ガン二バル』の重要人物・後藤銀。徹底的な役作りで演じ上げた悲痛な過去

ー今回ドラマ『ガン二バル』への出演が決定した際のお気持ちはどうでしたか。

恒松祐里さん(以下、恒松):もともとシーズン1を拝見していたので、「あの作品に出演できるんだ」という嬉しさがありました。

原作漫画を読んでからこの“後藤銀”という役を引き受けようと思い、読んだのですが銀の人物像にものすごく衝撃を受けました。

銀はこの作品に欠かせない重要人物でしたし、演じたいと思ったので引き受けさせていただきました。

ー最初にドラマの脚本や原作の漫画を読んだときの感想を教えてください。

恒松:私は倍賞美津子さんの演じられた後藤銀の若い頃を演じましたが、この作品の過去パートは本当に壮絶なんです。

はじめて原作を読んだときに、銀のように女性の武器を使わないと生き延びることができない人がいるというのは、現実のどの時代でも直面してしまう問題だと思いました。

供花村(くげむら)で続いている負の連鎖や、虐げられる者と権力を振りかざして支配する者という関係性、やるせない呪いみたいなものが色濃く描かれていて、胸に重く響きました。

ドラマの脚本を最初に拝見したときは、やはりどうしても尺の関係上、ドラマでは描き切れない部分も出てきてしまうので、そこをどうやってドラマのシーンに落とし込めるかを思い浮かべました。

ーなるほど。実際に演じてみて、後藤銀はどのような人物だと思いましたか。

恒松:銀本人はそう思っていないかもしれませんが、かわいそうな人だなとは思います。

生まれてから誰も味方がいない状況で育ち、必要ともされていない。復讐や恨みの気持ちを抱きながら生きていくしかなかった銀ですが、ある出来事をきっかけに心情の変化があって…。

本人は愛をもらったことがないから、その気持ちを愛と呼ぶのかすらも分からないと思いますが、でも確かに銀の中に何かが芽生えていく。その部分がすごく美しくもある物語だと思います。

心情が変化してからの銀には、一本の道筋が通った人間の「強さ」も感じました。

ー心情の変化も、ということでしたが銀を演じるにあたって意識していたことはなんでしたか。

恒松:台本を頭から順番通りに撮影していったわけではないので、「純粋そうだけど何か企んでいる銀」「復讐する前の銀」「復讐した後の銀」というような、色々な銀のグラデーションをどう演じていくかということを意識しました。

1日の撮影で色々な銀の側面を演じることもあったので、どう演じるかを佐野隆英監督と話し合いながら作っていきました。

ー例えばどのようなことを話しましたか。

恒松:「このシーンではこのテンション感で、声の高さはこのぐらい」のような、倍賞さんの演じる銀に繋がっていくようだんだん声を低めにしよう、なども話し合いました。

ーこの役を演じる上で大切にしていたことはありますか。

恒松:大切にしていたのは、やはり銀の復讐心です。復讐の気持ちをため込んでおかないと、お芝居の本番でその気持ちを爆発させることはできないと思います。

漫画にはドラマでは描かれていない、銀を虐待するシーンがあります。しかも村の人は銀を人とすら思っていないから笑顔で…。衝撃的でしたが、そこに「村に住む銀の日常」が描かれていると思いました。だからドラマを撮影している半年間の間、そのひとコマを携帯のロック画面に設定していました(笑)。

携帯を開くたびにそのシーンを見て、村人への復讐の気持ちをフツフツと積み重ねていて、それが功を奏して、銀に蓄積された復讐心を演じられたという感覚があります。

復讐心だけではなく、大切なものができてからの銀の心情も大切にしていました。

ー斬新で徹底的な役作り方法ですね。役作りの秘訣を教えてください。

恒松:いつもやっているのは、役の人物が脚本で描かれるまでにどんな人生を歩んできたのかを考えることです。今回は原作漫画も取り入れつつ、漫画で描かれていないところも自分で想像していました。

ー出演して感じた、この作品の一番の魅力はなんだと思いますか。

恒松:シーズン2では、みんなそれぞれが持つ様々な愛の形も描かれていると思うんです。それぞれに家族や何かしらの守りたいものがあって、でもそれが複雑に絡まってしまったからうまくいかず起こってしまった出来事でもあります。

見応えのあるアクションシーンも増え、物語に登場する人物の内面を深く描いた重厚感のある作品になっているので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

「猫の話をしました」緊迫のワンシーン、その舞台裏

ー撮影現場の雰囲気はどうでしたか。

恒松:恨みや憎しみが詰まったシーンの撮影でも、現場ではみなさん優しかったです。監督の「よーいスタート」の時には作品の世界に入り込んでいなければならないので、そのための準備をしているという空気感でした。

ー同じ人物の役を演じた倍賞さんとのエピソードはありますか。

恒松:とあるシーンの撮影で一度お会いして、アドバイスをいただきながら楽しく撮影できました。倍賞さんはみんなを引っ張る姉御気質な方で、一瞬のシーンでしたがご一緒できて楽しかったです。

ー他の共演者とのエピソードがあれば教えてください。

恒松:後藤金次役の豊原功補さんと猫の話をしました。豊原さんは猫を飼っていらっしゃって、猫の話になると役で作っていた怖い顔がすごく優しい顔になるんです。

猫の話をきっかけに、「一見怖く見える部長が猫カフェに行っているところを、後輩が目撃してしまう」という設定の猫カフェ巡りのドラマを作りたいって2人で話しました(笑)。

ーすごく面白そうですね。確かにそれは見てみたいです(笑)。

恒松:『孤独のグルメ』みたいな、実際にあるカフェに行くドラマも最近は多いので、その猫カフェ版をやってみたいというお話が印象深いです。

シーン的には復讐でも、現場は和気あいあいとしていました。

ー供花村の豊かな自然が映る映像も魅力的です。撮影のロケーションについても教えてください。

恒松:雪が降る冬に山奥で撮影しましたが、私たちはお着物を着ていて、足も寒くて結構ハードでした…。

子役の子も本当に寒そうで、一緒に温まりながら撮影した思い出があります。“この子が頑張っているから私たちが寒いなんて言っていられない”と気合を入れていました。

佐野監督はカメラワークにもこだわりを持っていらっしゃったので、迫力のある映像になっていると思います。

ーそれは大変ですね。特に印象に残っているシーンはどこですか。

恒松:銀の「お前が生きていける世界をわしが作ってやる」というセリフのシーンです。心情が変化した銀を象徴しているセリフだなと思います。

ー銀の若い頃を誰が演じるのかというのはシーズン1の放送時から注目されていました。出演情報が発表され、反応などはいかがでしたか。

恒松:楽しみというコメントを多くいただきました。原作漫画ファンの方の注目度も高いと思うので、その期待に応えられたらいいなと思います。

ーこの作品は世界中に配信されるドラマですが、日本だけで公開されるドラマとの違う点などはありましたか。

恒松:ドラマという同じくくりではありますが、映画のようなスケール感で撮影しているのは配信ドラマならではなのかもしれません。

地上波のドラマみたいに最初から放送日が決まっているわけでもないですし、衣装やメイクとか、事前にたくさん準備できる時間があるというのはひとつの特徴だと思います。

ー以前出演されたドラマ『全裸監督 シーズン2』も世界中で配信されている作品ですね。

恒松:海外の方からのコメントもたくさんいただいて、ありがたかったです。海外の方は日本語を聞き慣れていないと思いますが、それでもお芝居から感情がちゃんと伝わるんだということを改めて実感しました。

ードラマを見る方へ向けて、コメントをお願いします。

恒松:原作を読まれたことがある方もない方も、銀の過去がどう描かれるのかというところは今回の見どころになっていると思います。

過去編では、現在の供花村に繋がっている様々な原因や真実が明かされていきますが、「なんでそうなったか」をもっと深く想像しながら見てほしいです。

このドラマに出演してみて、「親がそう言っていたから」「そういうものだから」と元凶も分からずに人への憎しみが連鎖していくことは本当に恐ろしいと感じました。

「物事の理由と向き合って見つめ直した方がいい」というのは現代社会にも通じるメッセージになっています。たくさん想像を膨らませて、色々な場面でそれを感じ取っていただけたらいいなと思います。

俳優・恒松祐里の20周年。子役から培った演技力でさらなる高みへ

ー今年1年、どんな年にしていきたいですか。

恒松:この『ガン二バル』もそうですが、今年は去年撮影していたものを皆さんに見ていただける年になると思います。

それぞれの作品に色々な顔の私がいると思うので、それを楽しみながら見ていただきたいなって思います。

ー子役のころから芸能活動をされていますが、恒松さんのこだわりや信念はありますか。

恒松:お芝居をするお仕事なので、お芝居を好きでいることです。好きなことを楽しくやっていくことが大切だと思います。

ーお芝居が好きな理由を教えてください。

恒松:その役を通して、普段の日常生活ではすることのないような会話ができるのは面白いです。

演技を通して役で得られた優しい感情や悲しい感情は、その物語の中で演じた人物のものですが、自分の記憶にも残っているからまるで本当に私の人生で起きたことのように感じるんです。

感情を動く瞬間を何回も味わえることが、お芝居の楽しいところだと思います。

ー今後の展望を教えてください。

恒松:変わらずにお芝居を続けていきたいです。今回演じた銀では過去編の主人公のような立ち回りをやらせてもらいましたが、普段そういうことはあまりないんです。

いつも作品全体のバランスを気にしてしまうといいますか、「この人がこうだから」って合わせて強弱を変えてしまいがちなので、今回の銀のような自分中心で動く役柄も経験して慣れていきたいなと思います。

ー緊張感のあるシーンが多い作品ですが、撮影中や普段のリフレッシュ方法を教えてください。

恒松:私は手芸が趣味で、『ガン二バル』の時も編みものをしながら新幹線に乗って現場に行ったりもしました(笑)。

ー最近ハマっていることなど、なにかありますか。

恒松:筋トレを始めました。20代後半って意外と筋肉量が落ちてくるので、筋肉量を増やして健康的にいこうというのが今年の目標でもあります。

ーファンの方へ向けてひとことお願いします。

恒松:今年、私は俳優として20周年を迎えるんです!

まだ何をするとかは考えていませんが、みなさんに会える機会を作りたいなと思いますし、ここまで続けてこられているのもみなさんのおかげです。20周年の私もよろしくお願いします。

恒松祐里(つねまつゆり)プロフィール

1998年生まれ、東京出身。
子役で芸能活動を開始し、2005年ドラマ『瑠璃の島』でデビュー。その後、現在まで様々なドラマや映画、舞台に出演し、2021年のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』では主人公の幼なじみ役やNetflixドラマ『全裸監督シーズン2』でヒロインを務めた。ドラマ『私の死体を探してください。』や『わたしの宝物』など、連続ドラマのレギュラー出演や話題作への出演が続いている。

●公式X @Yuri_Tsunematsu
●公式Instagram @yuri_tune

撮影:髙橋耀太

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