話題のミステリー映画『#真相をお話しします』の出演者のひとりが、演技力を高く評価されている俳優・栁俊太郎さんです。ドラマや映画『ゴールデンカムイ』でインパクトのある役を見事に演じきり、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』出演も決定。
2025年に公開される映画3作にも出演。U-WATCH 2回目のインタビューになる栁さんに、撮影のエピソードや素顔、俳優という仕事への思いを伺いました。
映画『#真相をお話しします』作品紹介
あるビルの警備室で、パソコンの画面をのぞき込む警備員・桐山と謎の男・鈴木。彼らは、あるチャンネルの生配信を今か今かと待っていた。
生配信暴露チャンネル #真相をお話しします
そこで明かされるのは、あらゆるゴシップの真相。有名人の裏の顔、世間を騒がせたあの事件の報道されていない真実…。
スピーカーに選ばれし者はとっておきの真相の暴露と引き換えに観衆からの投げ銭を獲得する、一世一代の大勝負が繰り広げられる今一番ホットな場所。驚愕の暴露の数々に沸く観衆と、飛び交う高額の投げ銭。
チャンネルが史上最大の盛り上がりを見せるなか、ついに桐山が選ばれ自身の真相を暴露し投げ銭で大儲け。
しかし友人だと思っていた鈴木が突如スピーカーとして名乗りでて…。
今宵明かされるその真相、あなたも覗きたいと思いませんか?
大森元貴さん(存在自体が謎めいた男・鈴木役)と、菊池風磨さん(過去に秘密を抱える警備員の桐山役)がW主演。栁俊太郎さんは、桐山の親友役を演じます。4月25日(金)より全国公開。
※映画『#真相をお話しします』公式サイトより引用

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風磨、健太郎とマンションの3部屋に分かれてリモートシーンを撮影

-栁さんは今年、大河ドラマの出演、映画も『#真相をお話しします』と『少年と犬』(現在公開中)、そして『九龍ジェネリックロマンス』(今夏公開予定)と、作品の公開が目白押しですね。
栁:いろいろな現場にお邪魔できているのは、すごく嬉しく思っています。
-まずお聞きしたいのは、公開直前の話題作、『#真相をお話しします』です。栁さんは、菊池風磨さん演じる桐山の親友で、仕切り屋で、女たらしという役どころですね。
栁:まぁ、結構酷なことをやっている役ではありますね(笑)。
-菊池風磨さん、伊藤健太郎さんと共演されたリモート飲み会のシーンはどのように撮影されたのでしょうか?
栁:1つのマンションで、僕がこの部屋、風磨がこの部屋…というように、3人が違う部屋に入ってリモートで会話しながら撮影しました。
風磨や健太郎の部屋に行くこともなく、自分の部屋から出ない撮影だったので、緊張感はなかったです。リモートの画面が録画されていて、カメラマンと照明さん、音声さんだけという超少人数で撮影が進みました。
Web会議ツールで話しながら録画するのですが、同時にパソコンにも自分を映すカメラが付いていました。
-リモートでの撮影は大変ではなかったですか。
栁:僕の登場するシーンは、リモートならではの難しさもありました。
対面でお芝居しないと、間が全然わからなくて。さらにリモートあるあるだと思うんですが、少し音切れや時差があったりもします。
リアルな芝居としてはありだと思うんですが、電波状況で画面が固まることが問題で。うまくいったと思ったら画面が止まっていることが何回かあって、そうなったら撮り直し。
でも、こういった撮影はなかなかないから貴重な経験でした。
-菊池さんとは、いつ以来の共演でしたか?
栁:10年ぶりぐらいですね。ドラマ『仮面ティーチャー』とその劇場版で共演して以来でした。あの頃は本当に若かった。
ただ今回は、そもそも一緒の空間になかったので、そんなに話をするタイミングがなかったのが残念です。
-栁さんが思う『#真相をお話しします』の見どころとは。
栁:幅広い世代に刺さると思いますし、社会問題も一つのトピックになっていて、「なるほど!」って思えるようによく書かれた台本なので、きっと面白いと思います。
実は本当に水面下でこんなことが起きてるんじゃないの?とイメージできるような展開もあるんです。この先、映画のような事件が本当に起こりそうな気もしますし、こういう暴露系チャンネルができてもおかしくない時代だと本当に感じました。
そういう意味では、手放しに楽しめるだけではなくて、社会を深く考えさせてくれる作品のようにも思いますね。
怖いものは嫌い。見る動画は「スポーツとミニチュアホース」

-今回、生配信暴露チャンネルが舞台になっていますが、暴露系のYouTubeなどは見ますか?
栁:全然見ないです。
-では、普段どんな動画を見ています?
栁:スポーツとかペット。犬とか動物とか…。最近だとミニチュアホースの動画を見てます。
-え、スポーツとミニチュアホース!
栁:見る動画は癒し系が多いですね。お酒を飲みながら見たり、あと映画見たり、サッカーが好きだから、サッカーの動画や野球解説動画も見たりして。
-ヒトコワ系のYouTubeとかも見ないですか?
栁:ヒトコワ系のYouTubeってなんですか?怖い話とかあんまり聞きたくないです。怖い怖いって思いたくないから。
そういう役を演じることもありますが、僕自身は怖いことを想像するのも嫌だし、普通に見ていて気持ち良くないじゃないですか。
ときどき、作品のためにネットで事件を調べなきゃいけない時があるんですけれど、事件の背景を知ると、精神的に結構きますね。有名な事件のドキュメンタリーはちょっと面白いなと思うかもしれないけど、基本的には好きではないんです。
-いつも個性的でダークな役を演じることが多い栁さんだけに、きっと怖い系の動画がお好きなのではと思っていました。でもお酒を飲みながら、ミニチュアホースの動画を見ている栁さんの方がほっとします(笑)。役柄とご本人とのギャップがいいですね。
栁:なんで怖い役のキャスティングが多いのか、自分が一番不思議です(笑)。
-ちなみにリモート飲み会のシーンでは、雰囲気ある部屋のセットが印象的でした。栁さんの部屋もあんな感じなのかなと想像したのですが。

栁:全然違います。
撮影した部屋はものが結構多かったイメージなんですが、僕の部屋はもう全然さっぱりとしてシンプルです。必要最低限のもの以外は置いてないですね。
ミニマリストということではなく、ちょこっと観葉植物やポスターはありますけど、映画の中の部屋ほど派手でもない。
いろんなアイテム、好きなものを買っちゃうので、結構テイストがバラバラかもしれないですね。統一しようと思って部屋を作ってないので、好きなものを集めたら今の感じになっている状態です。
-ご自身の部屋で“こだわっているものベスト3”といえば?
栁:家電ですかね。空気清浄機にはこだわっています。
あと調理器具。割と料理をするのが好きだから、キッチンにはこだわっているかもしれない。キッチングッズを一番買っちゃう感じです。
それとラグかな。緑とベージュとオレンジみたいなラグを敷いています。インテリアショップを見るのも好きなんです。
-そうなんですね。ちなみに、映画『#真相をお話しします』の出演のきっかけはなんだったのでしょう。
栁:実は、現在公開中の映画『少年と犬』のプロデューサーさんが、『#真相をお話しします』の現場に呼んでくれたんです。
『少年と犬』でもインパクトのある役だったんですが、その撮影の終わりぐらいに「次の作品にもぜひ出演お願いしたい」と現場で声をかけていただいた記憶があります。
-なるほど、映画『少年と犬』からの流れだったんですね。
映画『少年と犬』作品紹介
震災から半年後の宮城県仙台。職を失った青年・和正(高橋文哉)は、同じく震災で飼い主を亡くした一頭の犬・多聞(たもん)と出逢った。
和正とその家族に瞬く間に懐き、一家にとって無くてはならない存在となったが、多聞はなぜか常に<西の方角>を気にしていた。
そんな中、家族を助けるため危険な仕事に手を染めてしまった和正は、やがて事件に巻き込まれ、その混乱の最中に多聞は姿を消してしまう―― 。
時は流れ、多聞は罪を隠し続ける女性・美羽(西野七瀬)と滋賀県にいた。多聞と過ごすことで徐々に平和な日常を取り戻していく美羽の前に、離れ離れになってしまった多聞を追いかけてきた和正が現れる。最初は和正を警戒した美羽だったが、多聞を通して二人は少しずつ心を通わせ始める。
しかし、美羽が犯した罪は二人をどこまでも追いかけてきた。
「俺が多聞を届ける。」美羽との約束を叶えるため、和正は多聞とともに“少年”を探す旅に出た。
そこに待ち受ける過酷な運命、そして奇跡とは―― 。
栁さんは、美羽を苦しめる恋人を演じます。
※映画『少年と犬』公式サイトより引用

●映画『少年と犬』公式X @shonentoinu_mv
●映画『少年と犬』公式Instagram @shonentoinu_mv
瀬々監督の映画でここまでのクズを演じられるのは、むしろ嬉しい

-では、映画『少年と犬』についても教えてください。この作品はそもそも、どういった経緯で出演を決められたのでしょうか。
栁:何回も作品でご一緒させていただいている大好きな瀬々(ぜぜ)監督がメガホンを取ると聞き、絶対にお仕事を受けようと思いました。そこがまず大きかったです。
-役柄としては、西野さん演じる美羽を苦しめ、殺されてしまう役。結構なクズ男ですよね。
栁:瀬々さんの作品には結構こういうクズが登場するんですよ。そして瀬々さんの映画でここまでクズの男を演じられるというのは、何か嬉しいんですよね。
数年に1回は瀬々さんの組に参加しているんですが、それは監督に成長した自分を見せられるチャンスだと思っています。
-役作りはどのように行ったんですか?
栁:今回の役は、共感もできないし、生き方には納得はいかないですが、「相手を苦しめることが悪いと思っていない人間もいるんだ」と思い込むしかないなと思って演じました。
-大変だったエピソードはありますか?
栁:今回、滋賀弁を使わなければいけないのが難しかったですね。初めての方言でした。関西弁を使ったこともないのに、大阪弁とも違う滋賀弁。そこが難しかったです。
-土に埋められるシーンもありましたよね。
栁:あれは大変でした。3月か4月ぐらいに埋められているシーンを撮影したんです。埋められるなんて初めてだったから怖かった。
本当の土をかけられましたし、土が重くて身動きも取れないし、「こんなに体を締め付けられるの!?」みたいな感覚があって。
でも死んでいる役だから動くわけにもいかないし。夜だったのもあって、本当に怖かったです。でも、それくらい西野さん演じる美羽にはひどいことをしましたから。
-映画では全編を通して出てくる犬が本当に賢くて可愛く感じました。犬と共演するシーンはあったんですか?
栁:1回だけ一緒のシーンがありました。まさに、死んでいる俺が土に埋められるシーンで、多聞(犬)が横に立って見ているんです。
めちゃくちゃお利口さんで、疲れているだろうに、ちゃんと本番になったら言うことを聞いて。「触っていいですか」って聞いて、撫でさせてもらいました。可愛かったです。
-犬が本当にお好きなんですね。
栁:僕は、犬が本当に好きなんで、今回のストーリーの中で犬と一緒のシーンがもっとあったら、ずっと泣いちゃっていたかも…。結構、耐えられなかったかもしれないです。
-人間と犬との交流が素晴らしい映画でした。
栁:人と人、動物と人のつながり…。言葉にはできないエネルギーの強さみたいなものが、どこかにあるんだなって感じる作品だし、この感動のエネルギーは、本当に言葉にできないものがありますよね。
今、日本は、地震や災害が立て続けにいろいろ起こる時代です。今回の映画の舞台も東日本大震災。つらいことがあっても、一生懸命生き抜いていく強さや勇気をもらえる作品だなと思いました。人間からも犬からも、それを実感しました。
難しい役の“答え”を追い求めていく過程が、結構楽しい

-栁さんは、癖のある役にどんどんオファーされますが、難役に挑戦しようと思う、その原動力はどこから生まれているんでしょうか?
栁:やっぱり芝居がやりたいからですかね。どんな役にも挑戦したいからっていう、そのモチベーションしかないです。
簡単な役ってないし、どの役もそれぞれ難しいと思うんです。難しい役の“答え”は多分見つからないんでしょうけど、そういうのを追い求めるのは結構楽しいですし、日々すごく充実しています。
-俳優のやりがいとは?
栁:どうですかね。やってて本当に楽しいというのが一番じゃないですか。楽しめなかったら、多分やめていると思います。
俳優は、いろんな役を演じられるのも楽しいし、毎回いろんな人と出会うこともできる仕事。いろんな場所でいろんな人と仕事ができるっていう、それだけで結構素敵なことだと思うんです。

栁俊太郎(やなぎしゅんたろう)プロフィール
1991年5月16日生まれ、宮城県出身。2009年、第24回MEN’S NON-NOモデルグランプリを受賞し、モデルデビュー。2012年に映画『ヴァージン「ふかくこの性を愛すべし」』で俳優デビュー以降、数々の話題作に出演し続けている。代表作にドラマ『ヒル』(WOWOW)、『夫を社会的に抹殺する5つの方法Season2』(テレビ東京)、『ゴールデンカムイー北海道刺青囚人争奪編-』、NHK大河ドラマ
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』にも出演。映画『ゴールデンカムイ』、『バジーノイズ』、『他人は地獄だ』(主演)、『少年と犬』、『#真相をお話しします』のほか、今夏には『九龍ジェネリックロマンス』の公開が控えている。
趣味は映画鑑賞、音楽鑑賞、サッカー観戦。特技はサッカー、水泳、バレーボール、アクション。
●栁俊太郎 Instagram @shuntaroyanagi
取材:小澤彩
撮影:天倉悠喜