【特集】「デューン/砂の惑星」過去作の紹介・比較解説【4Kリマスター版公開記念】

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2024年夏にデヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星(1984年版)」の4Kリマスター版が公開されるにあたって、DUNEの世界観、人物像、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映像作品、TVドラマ版などと比較してその魅力に迫ります。

さまざまな作品に影響を与えた小説家フランク・ハーバート氏の作品を、全盛期のデヴィッド・リンチが独特の世界観に仕上げて完成させた映画を是非見返してみてください。

デューン/砂の惑星とは

1965年に小説家「フランク・ハーバート」によって書かれた壮大なSF小説「DUNE」は、10191年を舞台に、惑星アラキスにあるスパイスと呼ばれる「メランジ」という粉末資源の奪い合いと、惑星アラキスに住むフレメン、各惑星の統治者、皇帝を巡る権力闘争、ベネ・ゲセリットの隠された思惑、宇宙規模の戦争、大自然との戦いを濃厚に描いた作品です。

原作小説は6つのパートに分かれており、続編が登場しています。

  • 砂の惑星(Ⅰ)
  • 砂漠の救世主(Ⅱ)
  • 砂丘の子供たち(Ⅲ)
  • 砂漠の神皇帝(Ⅳ)
  • 砂漠の異端者(Ⅴ)
  • 砂丘の大聖堂(Ⅵ)

映像化が困難であるとされ、2024年現在までにデヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星(1984年)」、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星 Part1・2(2021年・2023年)」、ジョン・ハリソン監督によるテレビドラマ版の「デューン/砂の惑星(2000年)」、グレッグ・ヤイタネス監督による「デューン/砂の惑星 Ⅱ(2003年)」が公開されていますが、原作小説のすべての章は描ききれていません。

関連映像化作品の時系列比較

原作小説は、フランク・ハーバート(1920年10月8日ー1986年2月11日)によって、「砂の惑星(1965年)」から「砂丘の大聖堂(1985年)」まで6部出版されました。

1984年に今回4Kリマスター版が公開されるデヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」が公開され、原作小説の「砂の惑星(Ⅰ)」をカバーした内容でした。

上映時間136分と長めの作品で、独特のデザイン、世界観から注目を浴びた注目作となりました。

2000年にはテレビドラマ版として「デューン/砂の惑星」のⅠ・Ⅱが放送され、原作小説「砂の惑星(Ⅰ)」から「砂丘の子供たち(Ⅲ)」の内容がカバーされました。

テレビドラマ版「デューン/砂の惑星(2000年)」は265分、「デューン/砂の惑星 Ⅱ(2003年)」は266分と合計約9時間ほどの内容となっています。

2021年、2023年に公開されたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」は、最新のCG技術を用いて原作小説「砂の惑星(Ⅰ)」の内容をPart1とPart2に分けて描いたもので、ずば抜けた映像美と迫力、ポール・アトレイデスと彼の母レディ・ジェシカがフレメンの教母と救世主として認められるシーンが長く描かれ、ハルコンネン家を討ち滅ぼし、皇帝の座を奪うところまでが描かれています。

宇宙船やトンボのような羽ばたき機、スティルスーツ、武器・装備、スパイスの掘削船なども最新のCG技術を駆使して描かれました。

ストーリーの舞台と星系紹介

ストーリーの舞台となるのは、主に以下の4つの惑星とその惑星を支配する大領家と皇帝です。

  • 惑星アラキス
  • 惑星カラダン(アトレイデス家)
  • 惑星ギエディプライム(ハルコンネン家)
  • 惑星カイテイン(皇帝)

惑星アラキスは砂と岩山しかない星で、砂に混じってスパイスと呼ばれる資源「メランジ」が存在しています。フレメンと呼ばれる原住民が長きにわたって暮らしており、砂漠の環境、巨大な砂虫などと共存しています。

砂漠ネズミは「ムアディブ」と呼ばれており、ポール・アトレイデスのフレメンからの呼び名として、この「ムアディブ」や「クイサッツ・ハデラッハ(発音上はハデラック)」や「ポール・ムアディブ・ウスール」といった呼び方が存在しています。

惑星アラキスの南部は過酷な砂嵐で隔てられており、砂嵐を超えた先には原住民フレメンの原理主義者が生活しています。

惑星カラダンは、作中では海と緑あふれる自然豊富な星でアトレイデス家が長きにわたって統治してきた星です。作中では数百年に渡り、ハルコンネン家と戦争を繰り返してきたという発言もあり、軍事力に優れた大領家として皇帝からも恐れられています。

上下関係はありますが、部下でもあるはずの軍人ダンカンとポール・アトレイデスが仲良く話している様子などが描かれ、人間関係は穏やかで良好です。

惑星ギエディプライムは、作中では全体的に暗く、先進的な建物で覆われている様子が描かれていました。惑星の全体像は描かれていませんでしたが、ハルコンネン家は奴隷や使用人をひどく扱い、恐怖による統治をしているような描写がありました。

長年、皇帝から惑星アラキスでのスパイス回収・精製・生産を任されており、フレメンとの戦い、アトレイデス家との戦いもしながら生き残ってきた大領家の様子が描かれています。

※ハルコンネン家は発音上「ハルコネン」とも呼ばれる。

ベネ・ゲセリットとは

「DUNE デューン/砂の惑星」の世界観には、言葉で相手の行動を支配でき、ある程度の未来予知ができる「ベネ・ゲセリット」という魔女の集団が暗躍しています。

作中では優秀で強い人物の「血統を確保」という表現を用いて身ごもり、その子どもの性別も思い通りにできるという点で人知を超えた存在であることが分かります。

作中では繁殖計画という言い方も用いられており、惑星アラキス、ギルドナビゲーターどころではなく宇宙全体を水面下で操っている団体です。

ポール・アトレイデスの母親であるレディ・ジェシカも魔法を使えるベネ・ゲセリットの一員で、原作小説ではウラディミール・ハルコンネン男爵の娘であることも明かされています。

作中では女の子を産めと指示されていたのに、男の子ポール・アトレイデスを出産し、ベネ・ゲセリットの魔法の訓練もさせています。

また、ポールの妹アリアを身ごもっている時に、フレメンの教母となるのに必要なワンドワームの体液で、青色の「生命の水」を飲んでおり、妹アリアにも強力な力が宿っていることが分かります。

原作小説ではのちにこのベネ・ゲセリットの存在が大きく扱われるようになり、「砂の惑星(Ⅰ)」の話は序章に過ぎなかった事が判明します。

ギルドナビゲーターとは

惑星アラキスにしか存在しないスパイス「メランジ」の麻薬のような薬効を活用して惑星間の移動に携わる集団で、フレメンにとってはスパイスを奪い取っていく巨悪の根源、スパイスがないと交易や移動ができない大領家にとっては逆らえない存在として知られています。

これまでに映画化されたタイトルの中では登場シーンが非常に少なく、謎に包まれた存在です。

デヴィッド・リンチ監督は、このギルドナビゲーターを脳が巨大化し、受精卵の胚のような巨大な姿として描き、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、人の形をした特別なスーツをまとった姿で描いています。

デューン/砂の惑星(1984年|デヴィッド・リンチ監督)

デヴィッド・リンチ監督が1984年に描いた作品で、カルト的人気を誇る名作、その後のSF映画に多くの影響を与えたと言われており、2024年に4Kリマスターとして公開されるのもこちらの作品です。世界観やデザインが独特で、DUNEの世界の一端を理解するのに欠かせない作品です。

登場人物|出演者

【アトレイデス家】
レト・アトレイデス公爵|ユルゲン・プロフノウ
レディ・ジェシカ|フランチェスカ・アニス
ポール・アトレイデス|カイル・マクラクラン
アリア・アトレイデス|アリシア・ウィット
ウェリントン・ユエ|ディーン・ストックウェル
ダンカン・アイダホ|リチャード・ジョーダン
スフィル・ハワト|フレディ・ジョーンズ
ガーニー・ハレック|パトリック・スチュワート

【皇帝】
シャッダム四世|ホセ・ファーラー
ガイウス・ヘレン・モヒアム|シアン・フィリップス
イルーラン姫|ヴァージニア・マドセン

【ハルコンネン家】
ウラディミール・ハルコネン男爵|ケネス・マクミラン
ラバン|ポール・スミス
フェイド・ラウサ|スティング
パイター・ド・プリース|ブラッド・ドゥーリフ

【フレメン】
スティルガー|エヴェレット・マッギル
チャニ|ショーン・ヤング
リエト・カインズ博士|マックス・フォン・シドー
シャダオウト・メイプス|リンダ・ハント
ラマロ|シルヴァーナ・マンガーノ

本作品の見どころ・特徴

ギルドナビゲーターのデザインと役割

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では宇宙空間の移動を管理するギルドナビゲーターの姿がもはや人間とは思えない脳が肥大化したような、胎児になる前の胚のような姿として描かれていましたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」では、人柄で顔をヘルメットで覆っただけのシンプルで荘厳・神聖な姿になっていました。

ギルドナビゲーターたちと皇帝やハルコンネン家では使用する言語がそもそも異なっているようで発話から異なり、翻訳機を通して会話をする様子が描かれていました。

ギルドナビゲーターは宇宙空間を移動するのに必須な存在なため、皇帝よりも立場は上と考えてよいでしょう。

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、序盤にギルドナビゲーターが、ポール・アトレイデスを殺すよう皇帝に命じており、ベネ・ゲセリットという魔女グループの計らいと思惑でポール・アトレイデスがギリギリ生かされます。

ストーリーが進んでいくとポール・アトレイデスが多大な力を有し、宇宙の戦争に深く関わることになっているため宇宙空間の移動を管理するギルドナビゲーターとしてはその脅威を事前に消し去っておきたかったのでしょう。

映画ではまだ描かれていませんが、原作小説ではこの「ベネ・ゲセリット」という魔女集団がより強く大きな存在として描かれます。

DUNE/砂の惑星
砂漠の惑星を舞台に、覇権をめぐる争いを壮大なスケールで描いたSF超大作

ハルコネン男爵の姿と性格

ハルコンネン男爵の姿については原作小説では以下のような描写があります。

”As he emerged from the shadows, his figure took on dimension grossly and immensely fat.And with subtle bulges beneath folds, of his dark robes to reveal that all this fat was sustained partly by portable suspensors harnessed to his flesh. He might weight two hundred Standard kilos in actuality, but his feet would carry no more than fifty of them.”

(和訳)

”彼が影から姿を現すと、その姿はひどく太り、そして黒いローブのひだの下には微妙な膨らみがあり、この脂肪のすべてが彼の肉体に取り付けられた携帯用サスペンションによって部分的に支えられていることが明らかになった。彼の体重は実際には 200 標準キログラムあるかもしれないが、彼の足はそのうちの 50 キログラムしか支えられない。”

ハルコンネン男爵は、長年にわたって日中の温度は60度にもなる灼熱の惑星アラキスでスパイス精製に携わり、富と権力を得ていたことが分かります。

また、アトレイデス家、砂漠の民フレメンとの戦闘も多かったと言われているため、1984年のデヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、ハルコンネン男爵は顔にデキモノのようなものがついていました。

これはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」では描かれておらず、「デヴィッド・リンチ監督」の映画で確認できます。

重度のやけど、粉瘤のような見た目でとても汚らしく描かれていましたが、砂漠でのやけど、戦闘でのやけどや後遺症、欲望のままに食べて太りすぎたがためのニキビや粉瘤などが合併症を引き起こしている可能性はあります。

原作にも作中でも触れられてはいませんが、ハルコンネン男爵のさまざまな背景をその姿に落とし込んだ「デヴィッド・リンチ監督」独自のデザインだったと考えられます。

心臓弁のエピソード

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、奴隷や使用人、捕虜には心臓弁が取り付けられており、これを操作することで失血死させられる演出がありました。

奴隷や使用人を恐怖で支配し、逃れられない状況にして管理している様子が見て取れましたが、単純に支配するためではなく、ハルコンネン家の人間が、奴隷の心臓弁を抜いて苦しみながら恐怖に悶えながら死んでいく様子を楽しむためにもつけられている様子でした。

富と権力に溺れ、奴隷や使用人を家畜のように扱う残忍で意地汚い性格の悪さも描いている様子でした。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」では、奴隷や使用人はウラディミール・ハルコンネン、兄のラッバーン・ハルコンネン、弟のフェイド=ラウサ・ハルコンネンの頭と同じようにスキンヘッドにされ、心臓弁のようなものは確認できませんでしたが、ハルコンネン男爵のご乱心で簡単に殺害されるようなシーンがありました。

弟のフェイド・ラウサが、兄ラッバーンの部下であっても容赦なく手に掛ける描写もあり、部下は使い捨ての道具で家畜であるかのような扱いとなっており、残忍さはしっかり描かれていました。

戦闘用の防御シールド

1984年のデヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、シールドは一部の優秀な兵士とアトレイデス家の人間が使用する様子で、身体を直方体・立方体のポリゴン状のもので覆う演出となっていました。

CG技術がまだぎこちない時代で、1982年の「スター・トレックII カーンの逆襲」、1986年の「ナビゲイター」などと公開時期が同じです。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品で描写されたような「人の体をピッタリ覆うような防御シールド」は当時の技術では演出できなかったと考えられます。

「DUNE デューン/砂の惑星」のシールドは、ゆっくりと動くものは通過でき、映画「スターウォーズ」に登場したドロイデカのシールドもゆっくりと動くものは通過するためグレネードをそっと転がして攻撃するシーンが描かれていました。

シールドに関する概念がスターウォーズと「DUNE デューン/砂の惑星」で似ている点があり、さまざまなSF映画がフランク・ハーバートの小説「DUNE デューン/砂の惑星」を参考にしている可能性があります。

サンドワームの姿と比較

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、外側に3つの口唇をもち、内部に逆毛があるサンドワームが描かれ、食事の時に口唇を開き、それ以外は口を閉じているようなデザインでした。環形動物ブラッドワームのようなデザインで、地球の古代生物、深海生物にも似たような生命体がいます。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」では、ヤツメウナギのような口の外観に、逆毛が多数生えていて、口の内部に3つに分かれる歯のような口唇のような部分がありました。

どちらのサンドワームも周囲の砂まるごと一定の周期で音を出している部分を丸呑みにしており、その大きさも400mどころではなく、500m、600mあってもおかしくない巨体でした。

どちらの作品でもサンドワームには簡単にめくれ上がる外皮があり、内部には呼吸孔のような穴があります。

サンドワームに乗って移動する時は、この呼吸孔が出ている部分を地上に出すようで、サンドワームが呼吸孔から砂が入らないようにする習性があるのか、これを利用して地上を走っているようでした。

パグ犬の謎

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、アトレイデス家にパグ犬が登場し、ハルコンネン家と皇帝の親衛隊サーダカーの奇襲の際にもパグを抱いて戦いに挑む戦士がいました。

なぜパグなのかはよくわかりませんが、ギルドナビゲーターがあんな感じだったのでデヴィッド・リンチ監督なりのイメージがあったのかもしれません。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」では、パグは出てこず、スフィンクス種のネコも出てきませんが、砂漠ネズミという耳の大きなかわいらしいネズミは出てきます。

この砂漠ネズミは作中では「Sand Kangaroo Mouse」と呼ばれ、自身の大きな耳を利用して水を生み出す砂漠の賢者ともいわれています。

ファンの間ではパグを抱いて出陣するシーンはかなり好かれており、印象深いシーンですが、パグからしたらたまったもんじゃないでしょう。

惑星カラダンは水も植物も多い星だったので、パグでも耐えられる環境だったと思いますが、パグにとって惑星アラキスは過酷すぎるでしょう。

パグ犬はその生まれが紀元前600年頃にはその存在が中国の文献などに記されており、中国では魔除けとして、オランダでは「ポンペイ」という名前のパグ犬が八十年戦争の英雄として語り継がれ、縁起が良い犬とも言われています。

奇襲を受けたアトレイデス家の人々がパグを抱いて戦いに挑んだのは、こうした逸話や伝説があったからなのかもしれません。

出演者・役者について

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、ポールアトレイデスを、当時新人だったカイル・マクラクランが演じました。

脳内で考えていることはASMRのようなささやき声、発話している言葉ははっきりと聞こえるように区別されており、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE デューン/砂の惑星」に比べると演者たちが何を考えているのか分かりやすい演出で、裏設定などを語ってくれる重要な要素でした。

また、リンチ監督の「デューン/砂の惑星」では、1987年以降のスター・トレックのジャン=リュック・ピカード艦長、X-MENのプロフェッサーでも有名なパトリック・スチュワートの若かりし頃が見られます。

フレメンの生態学者リエト・カインズ博士としてマックス・フォン・シドー(1973年「エクソシスト」メリン神父役等)、弟のフェイド=ラウサ・ハルコンネンとしてミュージシャン・スティング(ゴードン・マシュー・トーマス・サムナー)のほか、ポール・アトレイデスの母親レディ・ジェシカとしてフランチェスカ・アニス、ウラディミール・ハルコンネン男爵としてケネス・マクミランらが出演しました。

作中ではイギリスなまりの英語とアメリカなまりの英語が混ざっているのも印象的でした。デヴィッド・リンチ監督の思惑があるのか分かりませんが、なまりの差が上品さ、気品さ、育ちのよさを表現しているような雰囲気もありました。

TVドラマ版「DUNE デューン 砂の惑星」(2000年ジョン・ハリソン監督、2003年グレッグ・ヤイタネス監督)

ジョン・ハリソン監督(Ⅰ)・グレッグ・ヤイタネス監督(Ⅱ)が原作小説に忠実に再現した「DUNE デューン 砂の惑星」で、ドラマシリーズとして公開されました。デヴィッド・リンチ監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品とは人物模様や人間関係の描写に差がある点も多く、原作準拠で映画では描かれていないタイトルまでカバーした作品です。

登場人物|出演者

【アトレイデス家】
レト・アトレイデス公爵|ウィリアム・ハート
レディ・ジェシカ|サスキア・リーヴス
ポール・アトレイデス|アレック・ニューマン
アリア・アトレイデス|ローラ・バートン
ウェリントン・ユエ|ロバート・ラッセル
ダンカン・アイダホ|ジェームズ・ワトソン
スフィル・ハワト|ヤン・ヴラサーク
ガーニー・ハレック|P・H・モリアーティ

【皇帝】
シャッダム四世|ジャンカルロ・ジャンニーニ
ガイウス・ヘレン・モヒアム|ズザーナ・ガイスレロヴァ
イルーラン姫|ジェリー・コックス

【ハルコンネン家】
ウラディミール・ハルコネン男爵|イアン・マクニース
ラバン|ラズロ・I・キッシュ
フェイド・ラウサ|マット・キースラー

【フレメン】
スティルガー|ウーヴェ・オクセンクネヒト
チャニ|バーボラ・コディトヴァ
リエト・カインズ博士|カレル・ドブリ
シャダオウト・メイプス|ヤロスラワ・シクタンコヴァ
ラマロ|ペトラ・スピンドレロヴァ

本作品の見どころ・特徴

ドラマ版では

  • Vol1.大いなる砂漠の星
  • Vol2.呪われし砂漠の民
  • Vol3.神獣・砂漠の守り神
  • Vol4.示されし黄金の道
  • Vol5.選ばれし砂漠の子供達
  • Vol6.秘められし砂漠の力

のように合わせて6つのパートに分かれています。

CGによる演出よりも荘厳な大公家の建築様式の再現、スティルスーツや皇帝のサーダカー(サルダウカ)の衣装、イルーランの戦略的行動や各登場人物の人間らしさなどが、色の印象や照明のあたり方によって表現されており、デヴィッド・リンチ監督版ともドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版とも表現技法が大きく異なっていました。

デヴィッド・リンチ監督の作品と比べると、本作で初めて登場する要素がいくつかありました。スパイスの大爆発である「プレ・スパイス・マッス」、巨大なサンドワームのことを「シャイ・フルド」と呼んで崇拝していること、ポール・アトレイデスとチャニとの間に「レト」と呼ばれる子供が生まれ、襲撃の際に死んでしまっていること等、ドラマ版独自の内容が多々見受けられました。

TVドラマ版のサンドワームは、デヴィッド・リンチ監督版と口の開き方が似ていますが、毛顎動物(Chaetognath)のような毛は少なく、強力な牙が生えているデザインになっていました。

口の中はヤツメウナギのようになっており、外側は口全体を覆うような姿で、鱗はかなり分厚く大きく描かれています。

また、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版のポール・アトレイデスとチャニの間で、イルーランを正妻として迎えることに納得がいっていないチャニの様子が描かれていましたが、ジョン・ハリソン監督のドラマ版で出てきたチャニは、妾妃であることを受け入れており、政治的な婚姻に一定の理解が示されているようでした。

逆にイルーランがポールとの子を正妻としてほしがっている様子が描かれ、政略的な要素があるにしても愛情があっての行動が見受けられました。

妻として、愛する者としての座を守るような要素が描かれ、権力闘争や陰謀等と同じく、人間模様を色濃く描いています。

さらに、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品ではトンボのような姿の「羽ばたき機」が、ジョン・ハリソン監督のドラマ版ではチョウバエのような姿をした「セプター」と呼ばれるデザインになっていました。

可変式の翼を持つ様子はスターウォーズのXウイングとも似たようなアイデアを元にしている印象があり、より原作の表現に近いものと考えられます。

それらに対して変わらない要素も多く、フレメンの戦士のことを「フェダイキン」と呼んだり、ポール・アトレイデスを「ムアディブ」または「クイザッツ・ハデラッハ」と呼んだりする部分、ユエ博士の裏切りと忠誠に基づく行動などはどの監督でも同じように描かれています。

ウラディミール・ハルコンネン男爵の外観はそこまで醜悪ではありませんでしたが、作中でブタ男爵と呼ばれて蔑まれている様子が描かれていました。

ハルコンネン家と皇帝の連合と戦う際に、ポール・アトレイデスの妹アリアが彼らの前に単身で乗り込む様子はデヴィッド・リンチ監督版と同じように描かれ、アリアは「ゴム・ジャバール」というシアン化物系の毒を使用してハルコンネン男爵にトドメを刺していました。

幼いながらも容赦なく命に手をかける様子はまさしく忌まわしい子で、その後の展開においてもその恐ろしさが垣間見えます。

本作品は、ジョン・ハリソン監督のメイキング映像でも語られていた「The story is Star.」という発言にあるように、俳優の知名度に頼ることなく、作品の原作の良さを如何に忠実に再現できるかに重きを置いていることが明らかにされています。

デヴィッド・リンチ監督版ではフレメンとポールが親交を深める様子はあまり描かれませんでしたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版では、Part2をまるごと使ってポールとフレメンの仲を深める様子が描かれています。本ドラマ作品は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版の撮影にも影響を与えていたかもしれません。

Vol4.示されし黄金の道

ポール・アトレイデスが惑星アラキスを支配して皇帝になってから、妹のアリアが思春期の頃にレディ・ジェシカが離れた星に移り住み、ポールとチャニの2人の子ども「レト」と「ガニマ」はフレメンのシーチでイルーランの献身的な世話の元すくすくと育ちながら、惑星アラキス、宇宙全体での権力が強まっていきました。

そんな中で、砂漠を緑に変えるという願いを叶えるために動きつつも、宇宙空間を飛行するにはスパイスの力が必須で、スパイスはワンドワームが生み出すものだということが分かっているため、砂漠の領地と緑あふれる領地、フレメンのそれまでの砂漠での暮らし、新しい暮らしがぶつかり合ってしまいます。

そんな中でポールはストーンバーナーで暗殺されかけ、盲目となってしまいますが、視覚は残っており、眼球が使えなくなっても周囲を視認できている奇跡を起こしていました。

政治的な権力争いもなくなっておらず、皇帝のコリノ家は追放されたサルサ・セカンダス星から謀反や混乱を画策し、アトレイデス家のダンカン・アイダホのクローン(通称ゴーラ)を生み出し、ギルドナビゲーターを介して惑星アラキスに送り込み、孤独を感じるアリアの夫となります。

しかし、クローンながらもダンカン・アイダホは過去の記憶を取り戻し最終的にレディ・ジェシカ、アトレイデス家の助けとなる行動を選びます。

ポール・アトレイデスは、妾妃チャニとの間に双子をもうけますが、妊娠出産に至る間にイルーランがチャニに不妊となる毒を密かに飲ませていた事が発覚し、チャニはフレメンの力を借りて双子を出産するも出産で命を落としてしまいます。

チャニの死の瞬間からポールは保っていた視覚を失って完全に盲目となり、巨大なサンドワーム「シャイ・フルド」によって砂漠に還ってしまいます。

Vol5.選ばれし砂漠の子供達

ポール・アトレイデス(ムアディブ)亡き後、政治はアリアが受け継ぎ、イルーランはポールとチャニの双子である「レト」と「ガニマ」を安全に、フレメンのシーチで育てあげ、ポールへの愛が偽りではないことを示しています。生みの親はポールとチャニですが、育ての母は間違いなくイルーランだと言えるでしょう。

その他、ポールの母ジェシカへの態度や言葉遣い、対応は誠実で、それでいて双子のレトとガニマのやんちゃ過ぎる様子にも付き合ってあげている様子が描かれました。

「選ばれし砂漠の子供達」では、レトとガニマが成長してそれぞれの道を見つけ「黄金の道」へと向かっていくまでが描かれています。

「黄金の道」は、フレメンの異端者と関わりがあり、ポール・アトレイデスがポールの息子となる「レト」の大人になった未来の姿を夢で見た時に告げられたもので、「未来のレト」→「レトの父ポール」→「現在のレト」と時空を超えた予言として示されていました。

また、レディ・ジェシカやガーニー、クローンとして生まれ戻ったダンカン、スティルがーなどが協力している様子が描かれ、惑星アラキスで再びアトレイデス家とフレメンが戦いに巻き込まれていく様子が描かれています。

Vol6.秘められし砂漠の力

ポール・アトレイデスの息子「レト」が砂漠の本当の力に目覚める展開で、ムアディブとして砂漠を緑に変えようとしたポールの間違いを正し、砂漠の民として惑星アラキスを守るために、数々の陰謀と孤独の末に暴君となってしまったアリアと向き合うことになります。

砂漠の力に目覚めた「レト」は大量のスパイスを摂取しても問題ない身体に進化し、その右腕には鱗のような新しい皮膚が生成されはじめ、砂漠の上を風のごとく疾走できる人間離れしたスピードを得ています。

ポールやジェシカも瞬間的に暗殺を逃れるために人間離れしたスピードで動くことはありましたが、「レト」はいつでもそのスピードを出せるようになっており、敵う人間はいない状態でした。

アリアが思春期の頃から感じて耐えてきた孤独、家族の中でも孤立していきそうな中で自身の地位を確立していきましたが、最終的にアリアのさまざまな過去の記憶を感じ取る能力が仇となって、アリア自身がとどめを刺したウラディミール・ハルコンネン男爵の亡霊に取り憑かれて暴君となってしまう描写がありました。

アリアに同情できる部分も多くありましたが、ポールとチャニと双子、イルーランの立場、ジェシカの気遣いなどが裏目に出てアリアが孤独になってしまったのは悲しい結末です。

原作小説では、このあと3000年以上もサンドワームのような姿になったレトが惑星アラキスにて力を持ちますが、まだこれ以降の原作小説の内容は映像化されていません。

DUNE デューン 砂の惑星(2021年|ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)

2021年にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督により映像化された作品で、デヴィッド・リンチ監督の作品とストーリー構成は似ていますが、出演者や宇宙船のデザインなどは一新され、広大な砂漠、惑星などは最新のCG技術による映像美で描かれています。

出演者はティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、フローレン・ピュー、オースティン・バトラー、レベッカ・ファーガソン、ステラン・スカルスガルド、デイヴ・バウティスタなど、MARVEL作品でも登場する有名役者が勢揃いしています。

登場人物・出演者

【アトレイデス家】
レト・アトレイデス公爵|オスカー・アイザック
レディ・ジェシカ|レベッカ・ファーガソン
ポール・アトレイデス|ティモシー・シャラメ
ウェリントン・ユエ医師|チャン・チェン
ダンカン・アイダホ|ジェイソン・モモア
スフィル・ハワト|スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン
ガーニイ・ハレック|ジョシュ・ブローリン

【皇帝】
皇帝シャッダム4世|クリストファー・ウォーケン
ガイウス・ヘレネ・モヒアム|シャーロット・ランプリング
皇女イルーラン|フローレンス・ピュー
レディ・フェンリング|レア・セドゥ

【ハルコンネン家】
ハルコンネン男爵|ステラン・スカルスガルド
ラッバーン|デイヴ・バウティスタ
フェイド=ラウサ・ハルコンネン|オースティン・バトラー
パイター・ド・ヴリース|デヴィッド・ダストマルチャン

【フレメン】
スティルガー|ハビエル・バルデム
チャニ|ゼンデイヤ
リエト・カインズ博士|シャロン・ダンカン=ブルースター

本作品の見どころ・特徴

デヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」を見た人からすれば本作品は、原作小説の流れを踏襲し、圧倒的な映像美で作成された全く新しい作品と捉えられます。

惑星カラダンから飛び立つアトレイデス家の巨大な宇宙船は、巨大な海の底から突然現れ、そのまま惑星アラキスに降り立ちます。

この宇宙船全体にシールドが張られており、輸送・移送規模の大きさもよく分かるような描写になっていました。

また、惑星アラキスに到着してから登場するスパイス掘削機、スパイス掘削機の運搬機、トンボのような形をした「羽ばたき機」、そして、戦闘用に改造された「羽ばたき機」が登場し、デザインも機能も一新された近未来的なものになっているのも魅力的です。

本作Part1では、惑星カラダンから惑星アラキスへやってきて、ハルコンネン家とサーダカーの裏切りと奇襲にあい、ポール・アトレイデスとレディ・ジェシカがフレメンの居住地を訪れる直前までのシーンが描かれています。

特に戦闘シーンやアクションシーンは激しく描かれており、ハルコンネン家の襲撃と応戦、ハルコンネン家の空襲、サーダカーとハルコンネン家とアトレイデス家の地上戦がじっくりと描かれ、レト・アトレイデス公爵に毒入りの歯を取り付けるユエ博士も登場しました。

また、レト・アトレイデス公爵による最期の反撃、歯の毒は室内にいた全員を瞬殺するほどの猛毒として描かれており、ウラディミール・ハルコンネン男爵はシールドのおかげもあってかろうじて天井隅に逃げて生き残ります。

ハルコンネン男爵が身体が重くなりすぎて自身の足では歩けず、身体を常に浮かせていたから逃げることができた様子が描かれていました。

DUNE/デューン 砂の惑星
『ブレードランナー 2049』の鬼才、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFアクション大作

DUNE デューン 砂の惑星 PART2(2023年|ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)

2023年に公開されたPart2では、ポール・アトレイデスとレディ・ジェシカが惑星アラキスの住人フレメンと親交を深める様子が多く描かれました。北に住むフレメン、南に住むフレメンの違いにも触れられ、ポール・アトレイデスを信じるチャニとスティルガーの貢献もはっきりと明かされています。

本作品の見どころ・特徴

前作Part1に続き、ポール・アトレイデスがフレメンの中で「ウスール」、「ムアディブ」という名前をもらうシーン、超巨大な長老が乗りこなすほどのサンドワームをいきなり呼び出して乗りこなし、サンドワームの体液「生命の水」を飲んでも生存する等、伝説級の出来事を多数起こし、フレメンの原理主義者や権力者相手に啖呵を切ってフレメンのリーダー、かつ、救世主「リサーン・アル=ガイブ」となる様子が濃厚に描かれています。

ベネ・ゲセリット目線では「クイサッツ・ハデラッハ」の誕生、レディ・ジェシカが長い間謎とされていたフレメンの教母を引き継ぐなど、戦士として奮闘するポール・アトレイデスとは別のアプローチで、レディ・ジェシカがフレメンの中で人心を掌握し、その宗教的信仰を強めて、ポール・アトレイデスを後押しする様子も描かれました。

デヴィッド・リンチ監督版ではフレメンを一瞬で統治して、スパイスを略奪し、フレメンを殺すハルコンネン家と皇帝との戦いに移行していましたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版Part2では、ポール・アトレイデスが、フレメンの救世主「リサーン・アル=ガイブ」として、また、ベネ・ゲセリットの超能力者「クイサッツ・ハデラッハ」が誕生する様子が分かりやすく描かれました。

戦闘描写も素晴らしく、CGを駆使した激しくも戦略的な攻撃が多く、砂嵐、サンドワームによる攻撃、砂に隠れる伏兵、3方向からの強襲、皇帝の宇宙船のシールド弱体化などフレメンの圧倒的な勝利となっていました。

そこに追い打ちをかけるようにハルコンネン家の弟フェイド・ラウサとのナイフでの一騎打ちで勝利し、皇帝の心を折って、かつ、皇帝シャッダム四世の娘をイルーランを娶る発現をし、力で皇帝の座を奪い取る形でストーリーを終えています。

不憫かつ残念に感じる要素として、ポール・アトレイデスがフレメンの女性チャニと愛を深め合っていたのにもかかわらず、最後のシーンではチャニに思いを伝えながらも、チャニの目の前で皇帝の娘を娶る発言をし、政略的な行動とはいえ純粋な愛を感じていたチャニにとっては愛する「ウスール」が「リサーン・アル=ガイブ」と変わってしまった事を描いていました。

戦闘の様子、砂漠の脅威、人間関係、権力争いなどを原作小説にあるように描いており、映像美や音楽とも合わさって、新たなスターウォーズ的な宇宙SF大作を予感させる傑作となっています。

デューン 砂の惑星 PART2
砂の惑星デューンをめぐるアトレイデス家とハルコンネン家の壮絶な宇宙戦争が勃発!ハルコンネン家の策略により、アトレイデス家は全滅。しかし、最愛の父とすべてを失うも...

ドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」の紹介

画像出典:https://www.amazon.co.jp/ホドロフスキーのDUNE-アレハンドロ・ホドロフスキー/dp/B07WRSNMRL

「DUNE デューン/砂の惑星」は、アレハンドロ・ホドロフスキー監督にも映像化される可能性がありましたが、計画は頓挫してしまい作品公開には至りませんでした。

その一連の様子をドキュメンタリー化した作品「ホドロフスキーのDUNE」が公開されており、映画制作に関わる多くの人に勇気と学びを届けています。

12時間にも及ぶ長編作品として企画され、絵コンテやデザイン画まで用意されていたのにもかかわらず実現しなかった作品と言われており、「エイリアン」シリーズのエイリアンをデザインしたH.R.ギーガー氏の参加も決まっていた期待の作品でした。

完成に至らなかったとはいえ、大量のデザイン画などはその後の映画界に大きな影響を残しており、その遺伝子はスター・ウォーズ、マトリックス、ブレード・ランナーなどの作品に受け継がれました。

原作小説「DUNE」の残したSF映画界への功績が如何に大きかったかが分かるドキュメンタリー作品で、これから映画監督や脚本家になりたい方にとっても欠かせないバイブルとなるでしょう。

2024年時点では「ホドロフスキーのDUNE」はネット上では配信されておらず、Amazonプライムビデオにある作品も日本国内からは視聴できなくなっています。

DVD、Blu-rayを購入、または、レンタルして見るしかない作品です。この機会に、興味がある方は是非購入してみてください。

原作小説の著者「Frank Herbert(フランク・ハーバート)」について

フランク・ハーバート氏の原作小説は全部で6つ出版されています。

  • 砂の惑星(Ⅰ)1965年
  • 砂漠の救世主(Ⅱ)1969年
  • 砂丘の子供たち(Ⅲ)1976年
  • 砂漠の神皇帝(Ⅳ)1981年
  • 砂漠の異端者(Ⅴ)1984年
  • 砂丘の大聖堂(Ⅵ)1985年

原作小説は「新訳版」として日本語でも出版されていますが、英語の原作小説は、日本国内の一般書店では入手が難しく、図書館でも書庫に保管されているほど見つけにくいです。Amazon(アメリカ)や電子書籍版としては入手可能ですが、国内ではなかなかお目にかかれません。

「砂の惑星(Ⅰ)1965年」は、ポール・アトレイデスとフレメンが協力して惑星アラキスを統一する所までが描かれています。

「砂漠の救世主(Ⅱ)1969年」「砂丘の子供たち(Ⅲ)1976年」では、惑星アラキス統一後、ポール・アトレイデスとチャニの双子であるレトとガニマ、そして、ポール・アトレイデスの妹アリア(エイリアとも)の物語となります。

「砂漠の神皇帝(Ⅳ)1981年」は、前作からかなり時間が過ぎ、スパイス「メランジ」を大量に摂取して変化し長寿になっているポール・アトレイデスの息子に焦点が当たっています。

「砂丘の子供たち」から3500年経過した未来の話になっており、空間の壮大さだけでなく、時間の壮大さも加わっています。

「砂漠の異端者(Ⅴ)1984年」では、惑星アラキスは緑の惑星となり、惑星ラキスと名前を変え、再び砂漠の惑星に戻る展開があり、ベネ・ゲセリットの力が強く及ぶようになった世界となります。

ポール・アトレイデスの息子であるレトⅡ世が崩御してから1500年が経過した時代を描いています。サンドワームと心を通わせられるシーアナという少女の到来も含まれます。

「砂丘の大聖堂(Ⅵ)1985年」では、ベネ・ゲセリットがメインとも言えるストーリーで、砂の惑星の時代から残る細胞、クローンのほか、何度も登場する「ダンカン・アイダホ」、他の惑星に連れて行かれるサンドワームと再生産されるスパイス「メランジ」など、歴史は何度でも繰り返すことを示すような終わり方をしており、フランク・ハーバートの描いた原作としてはこれが最終話となります。

原作小説を読むと、数千年という時を越えて語られる世界で、始まりからずっと存在するベネ・ゲセリットの言葉の意味もだんだんと理解できるようになるでしょう。

国家が滅んだとしても、次に生まれる国家がスパイスとサンドワームに振り回され、それらの輪廻を統治しているベネ・ゲセリットの思惑通りとも考えられるストーリーでした

Dune 3「DUNE Messiah」の公開は2026年12月か?

情報は定かではないですが、DEADLINE(※)によると原作小説「砂漠の救世主(Ⅱ)1969年」にあたる内容を映画化する「DUNE Messiah」が2026年12月に公開されるのではと予測されています。

https://deadline.com/2024/06/dune-3-release-date-2026-1

実現すれば、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が手掛けるDUNEのPart3となります。

2024年にはデヴィッド・リンチ監督の「デューン/砂の惑星」4Kリマスター版が公開され、DUNEへの注目と人気が高まっていけば実現する可能性も高まりそうです。

ホドロフスキー監督でさえ映像化に失敗している一件があるため、DUNEの次作品を期待する一ファンとしては、ぜひ成功させてもらいたいものです。

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