アニメーション映画『果てしなきスカーレット』で声優を務めた染谷将太。今までで一番キャラクターに合わせて声を作った役

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「竜とそばかすの姫」や「未来のミライ」などで国内外から高く評価されてきたアニメーション映画監督・細田守さんが手がける、オリジナルの長編アニメーション映画『果てしなきスカーレット』。

父親を殺された王女・スカーレットが、復讐を成し遂げなければ〈虚無〉となるという運命の中で復讐を果たすための旅に出る本作で、スカーレットの最凶の宿敵・クローディアスの家来「ギルデンスターン」の声優を務めた染谷将太(そめたにしょうた)さんにインタビュー。

映画の魅力や、ご自身にとっての「新たな挑戦」などについて伺いました。映画は2025年11月21日(金)から全国公開されます。

映画『果てしなきスカーレット』作品紹介

父のへの復讐に失敗した王女・スカーレットは、《死者の国》で目を覚ます。
ここは、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となり、
その存在が消えてしまうという狂気の世界。
である、父を殺して王位を奪った叔父・クローディアスもまたこの世界に居ることを知り、
スカーレットは改めて復讐を強く胸に誓う。

そんな中彼女は、現代の日本からやってきた看護師・聖と出会う。
時を超えて出会った二人は、最初は衝突しながらも、《死者の国》を共に旅することに。

戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦うことを望まない聖。

傷ついた自分の身体を治療し、敵・味方に関わらず優しく接する聖の温かい人柄に触れ、
凍り付いていたスカーレットの心は、徐々に溶かされていく―。

一方でクローディアスは、《死者の国》で誰もが夢見る“見果てぬ場所”を見つけ出し、
我がものにしようと民衆を扇動し、支配していた。
またスカーレットが復讐を果たすために自身を探していると聞きつけ、
彼女を〈虚無〉とするために容赦なく刺客を差し向ける。

スカーレットと聖もまた、次々と現れる刺客と闘いながら、
クローディアスを見つけ出すために、“見果てぬ場所”を目指してゆく…。

そして訪れる運命の刻。
果てしない旅路の先に、スカーレットがたどり着く、ある〈決断〉とは――

(※映画『果てしなきスカーレット』公式サイトより引用)

2025年11月21日(金)全国公開

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「悪」になってしまった世界を切なく感じた

ーまずは、完成した作品をご覧になった感想を教えてください。

染谷将太さん(以下、染谷): 自分の中ですごくモヤモヤしていたものや、無意識に考えていたことなどを掘り返されたような気持ちになりました。そんな自分が抱えていたものに、この作品からとても力強いメッセージをいただいたようで、とても感動しました。

ー映画を拝見し、ギルデンスターンの声が染谷さんと知っていても、最初は分かりませんでした。役の第一印象はいかがでしたか?

染谷: ギルデンスターンは分かりやすい悪役なのですが、彼自身が「悪」になってしまっているその世界を、僕はある種、切なくも感じました。

でも、それがギルデンスターンなりの生きる道といいますか、「あの世界で一生懸命生きていたら、ああなってしまったんだろうな」と想像しながら演じました。

細田作品に共通して感じる「希望的な感動」

ー細田守監督作品への出演は、『おおかみこどもの雨と雪』(2012)田辺先生役、『バケモノの子』(2015)主演・九太(青年期)役、『竜とそばかすの姫』(2021)カミシン役に続く4作目となりますが、染谷さんが思う「細田守作品」の魅力とは?

染谷: どの作品もその時代時代に合ったテーマであり、少し先の未来を先取りしているテーマでもあるとともに、誰が見ても伝わってくるメッセージがあるなと思います。見終わったときに、希望的な感動に包まれていることが毎回素敵だなと思っています。

ー「果てしなきスカーレット」で気づいた新たな発見は何かありましたか。

染谷:今までの作品と比べると、少し遠い世界というか、現実とは全く違う世界観なはずなのに、自分は一番身近に感じたんですよね。ただ、この世界を身近に感じてしまうというのも、すごく悲しいことでもあるなと同時に思ったんです。

ー「生きるとは?」という本作のテーマになっている問いかけや、今も各地で起きている悲惨な争いの世界、ということでしょうか。

染谷:そうですね。でも、そこを正面から細田さんが描いたことの思いや、その力強さを今作は特に感じました。

役ごとに新しい挑戦の繰り返し

ー先日出演されたバラエティ番組で、「音だけで映画のようなことをやろうと思っていて、ラジオドラマを映画的な作り方で作ってみたい」と仰っていましたが、今の段階でもう少し詳しくお話しいただけることはありますか?

染谷:まだ詳細をお話しできることがなくて難しいのですが、その時にお話しした「ラジオドラマを制作する」ということが、自分の中では一番新しい挑戦でした。

ー役者さんは、演じる役や出演する作品ごとに毎回「新しい挑戦」の繰り返しですよね。

染谷:これまでも、自分では想像していなかったようないろいろな役を演じさせていただきましたが、そのどれもがあまり似ていないんですよね。ありがたいことに様々な役をいただく機会が多いので、それが自分にとって毎回新しい挑戦になっています。

ー現在、絶賛放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」での好演も話題です。

染谷:この作品で演じた喜多川歌麿も今まで演じたことがないような役柄だったので、本当に新たな挑戦でした。今撮っているものも自分にとってはまた新たな役どころなので、それも挑戦だなと思いながら日々演じています。

今回のギルデンスターンに関しても、今までやらせていただいた声優の仕事の中で、一番キャラクターに合わせて声を作っていきました。「この表情の時にはこういう声を出すんだろうな」という表現方法も僕にとっては新たな挑戦でしたね。

「こういうことにチャレンジできるんだ」という機会をもらうことが多い

ー例えば、オファーをいただいて演じるものとは別に、ご自身から「こういうことをやってみたい」と思うものや、今後の展望はありますか?

染谷:自分から、というのはあまりないです。自分がやってみたいことをいただくという感覚の方が強いんですよね。なので、自分で「こういうことがやりたい」というよりかは、「こういうことにチャレンジできるんだ」という機会をもらうことの方が多いかもしれません。

それに、年を重ねると自然と演じられる役が変わってくるので、これまで演じられたものが演じられなくなっていって、演じられなかったものを演じられるようになっていく。それが新たな挑戦になって、「こういうことができた」という結果につながっていくのかもしれません。

ー以前、別媒体で取材させていただいた際「自分自身が驚くようなオファーをいただくことの繰り返しなんです」と仰っていましたね。

染谷:そうですね。でも、監督をはじめ「自分をこういうふうに見てくださっているんだ」と知れるのは嬉しいですし、そういう驚きがこの数年間は特に多いです。それに対して自分ができることは、ちゃんと応えられるかということなので、これからもその気持ちを大切にしていきたいと思っています。

染谷将太(そめたにしょうた)プロフィール

1992年9⽉3⽇⽣まれ、東京都出⾝。⼦役としてキャリアをスタートし『パンドラの匣 』(09)で映画初主演。2011年に主演をつとめた『ヒミズ』では、第68回ヴェネチア国際 映画祭で⽇本⼈初となるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。近年の主な出演映画に『劇場版ドクターX FINAL』、『はたらく細胞』、『聖☆おにいさんTHE MOVIE〜ホーリーメンVS 悪魔軍団〜』、『BAUS 映画から船出した映画館』、劇場アニメ『ひゃくえむ。』(声の出演)などがある他、現在放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、「シナントロープ」(テレビ東京系)、「イクサガミ」(Netflixシリーズ配信)に出演。

公式サイト https://www.shotasometani.jp/

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取材・文/根津香菜子