2025年8月8日、ついに人気シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/復活の大地』が日本上映開始です。
物語の重要人物・ゾーラと共にチームを結成し、任務にあたる傭兵ダンカン・キンケイドを日本語吹替版で演じられた楠大典さんにインタビューしました。
世界中を熱狂の渦に巻き込んでいる話題作について、その見どころを語っていただきました。
映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』作品紹介
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配』から5年。かつて世界中に放たれた恐竜たちは、気候や環境に耐えられず数を減らし、今は赤道直下の限られた地域にだけ生息していた。
秘密工作の専門家ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)は、製薬会社の社員マーティン・クレブス(ルパート・フレンド)から、ある危険な任務を引き受ける。それは、人類を救う新薬を開発するため、陸・海・空の3大恐竜のDNAを採取するというものだった。
チームとして集められたのは、ゾーラが最も信頼する傭兵ダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)と古生物学者ヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)。チーム一行は、かつてジュラシック・パークの極秘研究が行われていた“禁断の島”へとたどり着く。
そこは陸・海・空のどこから恐竜が襲ってくるかわからない、地球上で最も危険な場所だった。そして彼らは、世界から長年のあいだ隠されてきた、衝撃的な秘密とも直面することになるー
映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』公式サイトより引用
2025年8月8日(金)公開
●公式X @jurassicworldjp
不朽の「ジュラシック」シリーズ、新たな幕開け。チームリーダーの傭兵役に

ー世界的に人気な「ジュラシック」シリーズの日本語吹替キャストとして出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
楠大典さん(以下、楠):実は、一番最初にこの仕事の話が来た時は映画のタイトルが伏せられていて、なんの作品かよく分からないまま今回のお仕事が始まりました。それが『ジュラシック・ワールド/復活の大地』だって聞いたときは相当嬉しかったです。
ー昔から世界中で人気がある「ジュラシック」シリーズに対してどんな思いがありますか。
楠:『ジュラシック・パーク』(1993)の吹替をされていた富山敬さんを、僕は大尊敬しているので、映画を見て「すごいな」と圧倒されました。そういう印象深い作品に、今回吹替声優として参加できるのも、すごく嬉しいです。
ーなるほど。今回担当されたダンカンというキャラクターはどのような人物でしょうか。
楠:ダンカンは極秘任務に挑むチームのリーダーであり、傭兵です。傭兵のリーダーと聞いて一見怖い感じもしますが、周りから信頼されているからこそのリーダーなんだと思います。
人を裏切らないとか、何が起きても人を守るとか、そういう意思が強くて、危険な時でも冷静に素早い判断で仲間を守れるかっこいい人物です。
ー世界中から愛されているシリーズの最新作であり、プレッシャーもあったのではないでしょうか。
楠:世界的に人気がありますし、「ジュラシック」シリーズのこれまでの興行収入もすごいことになっていまして、やっぱりそれだけ世界各国で見られている魅力ある作品だと改めて実感しました。
恐竜はみんなが通る道というか、子どもの頃に図鑑を見て憧れた存在だから、この映画もみんなが好きな作品だと思います。それだけたくさんの人が見るということで、気を引き締めて臨みました。
吹替声優としてのポリシー。“あの俳優が日本語でお芝居したらどうなるか”

ー恐竜が登場するため、結構ダイナミックなシーンもあったかと思います。吹替でお芝居をするうえで、大変なことはありましたか。
楠:どの作品にも大変なことはあって、「ジュラシック」シリーズだから特別大変ということではなかったです。
恐竜が登場するシーンも、実際に目の前に現れたら本当に怖いんだろうなと想像しましたが、楽しみながら演じることができました(笑)。
ー今回の役に共感できるところなどはありましたか。
楠:僕は、役に共感っていうのはほとんどないと思うんです。
例えば、殺人犯の役に共感するかって言ったら全く共感はしない。だけど、作品に出演するならその人物の考えに自分を持っていかなくてはなりません。
共感はできないけどその人物を演じるわけだから、そこに自分の意識を持っていくということが大事だと思います。なので、達観すると役とは共感できないことだらけかもしれません(笑)。
ーなるほど。吹替として作品に出演される際に意識することはありますか。
楠:僕は、実際に演じられている俳優の印象を崩さないために、“あの俳優が日本語でお芝居したらどうなるか”ということを考えながらやっています。
ー楠さんの思う、今作の見どころはどこでしょうか。
楠:今回の映画では、恐竜と人間がお互いにどう生きていくかということだけでなく、作中に散りばめられた、色々な要素が絡んでいきます。
でも、その根本はやっぱり恐竜と人間。その関係性がどうなっていくのかというところが見どころです。
純粋に恐竜のかっこよさや恐ろしさを前提に見ていただいて、そのあとは複雑に作られた物語の裏の話や人間関係なども、2回3回と見ていくと面白いと思います。
経験と実力で活躍を続ける楠大典にとっての“声優”とは

ー声でお芝居をする声優のお仕事ですが、そのコツはありますか。
楠:声帯も結局筋肉で操っているので、鍛えれば鍛えるほど、色々な声を出すときの感覚を覚えたり、喉が潰れなくなったりするんじゃないかなと思います。
ただ、声の出し方や響かせ方っていうのは人それぞれの骨格や肺活量、声帯の大きさにもよるので、「こうしたらうまくなる」とは一概には言えないんです。
大きい声や小さい声、高い声や低い声でもそれぞれ筋肉の使い方が違うし、意識して筋肉を使い分けるのもなかなか難しいので、「どうやったらいいか」と考えながら反復練習で自分の感覚を覚えて、勉強していくのが良いと思います。
別に鍛えたからと言って、声帯がムキムキになるわけじゃないですよ(笑)。
ーなるほど(笑)。楠さんが、日々のお仕事で心がけていることはなんですか。
楠:風邪をひかないようにとか、体調面は特に意識しています。
声優を始めた頃は喉のケアを色々考えていたかもしれませんが、今は喉だけではなく健康第一。日々のお仕事、次のお仕事を一生懸命やるためにも体調を万全にしておくことは大事です。
ー楠さんは声優業界をけん引されているおひとりだと思います。これまでを振り返って、大切にされている言葉などはありますか。
楠:僕が最初にお芝居を教えてもらった先生の「心根がよくないやつは良い役者になれない」という言葉をよく覚えています。
その当時はあまり意味が分からなかったけど、お仕事をしていくうちにだんだんと実感してきていて、人に嘘をつかないとか人との関係を悪くしないとか、そういう心構えが成長するために役立つと思うんです。
このお仕事を続けていくうえで重要なのは、声優としての仕事がうまいとかどうかというのではなく、結局は“人”なんじゃないかな。僕の周りも本当にいい人ばかりです。
ー楠さんの考える、声優というお仕事の魅力を伺いたいです。
楠:自分の容姿に関係なく色々なキャラクターを演じることができるところです。
映像や舞台に出演する役者は、自分の容姿もキャスティングに関わりますし、だんだんと自分の演じる役柄が決まってくる場合もあるかと思いますが、声優は自分の容姿で役が決まるということはありません。
俳優は撮影期間の間、ずっと同じ役を演じるけど声優は毎日違う。色々な役ができるというところが声優の魅力で、楽しいところだと思います。
ーなるほど。声だけで違いを表現する難しさもあるかと思いますが、演じるうえでの役作りはどうされていますか。
楠:全体的な世界観や自分の役柄のポジション、演じる人物の背景や生い立ちまで含めたうえで、その役がどう喋るかを考えています。
役作りのやり方は声優に限らず、俳優でも舞台俳優でも同じですが、そこから声優は体の動きをなくして声だけで表現する。俳優と声優、同じ役者であってもそこが声優の特殊なところかなと思います。
ー今後の目標などはありますか。
楠:「この役者すごいな」と思われるような役者になりたいです。
そのためにも何でもやらなきゃいけないとは思っていますが、声優のお仕事ってちゃんと体調や健康を気遣っていれば一生続けられるから、これからも健康第一に取り組んでいきたいです(笑)。
ー最後に、公開を楽しみに待つ方へメッセージをお願いします。
楠:家族みんなで映画館に行って、ぜひ吹替版も楽しんでほしいです。
もちろん字幕版も面白いですが、お子さんと一緒なら吹替の方がみんなで楽しめると思うので、家族や友達、恋人と一緒にみんなでこの映画を楽しんでいただけたら嬉しいです。

楠大典(くすのきたいてん)プロフィール
1967年生まれ、東京都出身。
「ワイルド・スピード」シリーズ(ドミニク・トレット役)や「ジュマンジ」シリーズ(スペンサー/スモルダー・ブレイブストーン博士)など、世界的に人気な映画の日本語吹替を担当する一方、TVアニメやゲーム作品の出演経験も多い。
洋画吹替では、ドウェイン・ジョンソン、ヴィン・ディーゼル、ジェイミー・フォックスらの声を担当し、代表的なアニメ出演作には「TIGER&BUNNY」や「テニスの王子様」、「炎炎ノ消防隊」、「キングダム」などがある。
●公式X @TaitemKusunoki
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取材・小澤彩