おまえの親になったるで

妹を殺害された兄の「葛藤の10年」自分の家族を殺した犯人を許せますか？親からも、社会からも見捨てられた「元犯罪者」に温かい手を差し伸べられますか？「なんで… 俺が犯罪者の面倒を 見なあかんねん！」しかし、男は差し伸べ続けている。つかんだその手を離さない。―― そのわけとは ――ふたつの問題と向き合い、自問自答しながら生きる…加害者と被害者の間で闘ってきた、男性の10年間に密着したドキュメンタリー。10年前、関西の中小企業7社が集まり、あるプロジェクトが発足した。元受刑者に住まいや仕事を提供し、再犯を防ぐ「日本財団職親プロジェクト」。受刑者の半分が出所しても仕事や居場所がなく、再び罪を犯していた社会問題に立ち上がったのだ。しかし、参加者の中にひとり複雑な思いを抱えた男がいた。大阪の建設会社・社長の草刈健太郎さん…大切な妹を殺された悲しい過去があった。

「おまえの親になったるで」は、元受刑者の更生支援を続け、自身も犯罪被害者遺族である男性の姿を追ったドキュメンタリー。妹を殺された草刈健太郎さんが、複雑な思いを抱えながら元受刑者の更生を支え続ける10年間の軌跡を描く。監督はテレビ大阪でニュース取材などに携わってきた北岸良枝。草刈さんは東北の少年院で「母が父を殺した」少年に「家族になったるわ」と声をかけ、その後彼を雇用。加害者を無くせば妹のような悲劇を防げるとの信念を抱き、更生支援を続ける。活動7年目にはロサンゼルスの刑務所に服役中の妹を殺害した夫・チェイスとの面会を決意し、葛藤の中で更生支援の道を探る姿を追う。