風音

沖縄のとある小さな島。浜辺の切り立った崖の中腹には風葬場があった。本土から来て沖縄戦で亡くなった兵士たちが風葬された場所。そこにひとつの頭蓋骨が置かれていた。強い風が吹くと、銃弾で貫通した穴から不思議な音が鳴った。人々は“泣き御頭（なきうんかみ）”と呼び、島の守り神として大切にしていた。夫の暴力を逃れて実家に帰ってきた母に連れられこの島にやってきた少年マサシ。彼は島の子供たちと一緒にこの頭蓋骨にあるいたずらをする。同じ頃、ひとりの老婦人が島を訪れる。目的は戦死した恋人の消息を調べるためだった…。

「風音」は、沖縄の小さな島を舞台に、戦死した兵士たちが風葬された場所にある頭蓋骨と、その頭蓋骨にいたずらをする少年マサシの物語。頭蓋骨は島の守り神として「泣き御頭」と呼ばれ、強い風が吹くと不思議な音が鳴る。しかし、少年たちのいたずらから「風音」が止み、島の日常に変化が訪れる。島に生きる者、島の外から来た者、島で死んでいった者の思いと記憶が交錯し、「風音」の謎が明らかになる。