国宝

映画「国宝」は、吉田修一の長編小説「国宝」を映画化した作品です。

原作者が実際に黒衣をまとって歌舞伎の世界に身を置いた3年間の経験を基に語られる物語です。任侠の一門に生まれながら歌舞伎の世界で才能を開花させる主人公を吉沢亮が演じます。

そのライバルには横浜流星が名を連ね、美しく熱い宿命の戦いを描きます。監督は「悪人」「怒り」に続いて吉田の作品を映像化した李相日。


吉田修一の同名小説を、「悪人」「怒り」「流浪の月」などの李相日監督が映画化した人間ドラマです。
李相日監督が吉田修一の作品を映画化するのは、「悪人」「怒り」に続き3度目となります。
任侠一家の家に生まれながらも演技力を認められて、歌舞伎の世界に飛び込んだ主人公が、芸の道に生きて人生を捧げ歌舞伎役者になるまでをじっくりと描いています。

超話題作です。
上映時間は174分とかなり長いですが、それでも長さは感じない展開です。
演技も展開も構成や音楽も含め、見応えたっぷりな作品です。

この作品、話題になり社会現象にまでなっているだけあって、吉沢亮や横浜流星の演技力はもちろん素晴らしく圧巻。
でも、それだけではありません。
歌舞伎の世界を描いていますが、歌舞伎を知らなくても十分その魅力に惹きつけられる作りになっているところが素晴らしい。
歌舞伎のいろはを知らなくても、息を呑むような日本の伝統の美しさを存分に感じさせてくれます。
観終わった後、なんか凄いもの見た…という衝撃があると思います。
なにもかも重厚で、奥行きがある作品でした。

歌舞伎を知らないからこそ、今作を観て歌舞伎に興味が湧いてくる…という、ビギナー心をくすぐる展開に持っていってくれています。
日本の伝統芸能を、映画という映像エンタメで描き切っているところが素晴らしいです。
果たして、この作品が本当に本物の歌舞伎の心底を描きているかどうかは、私にはわかりませんが、そんなことはどうでもいい。っていう出来でした。
わかりやすい物語に展開、歌舞伎の見せ方とのバランス、構成や演技、演出など全てにおいて上手く噛み合っています。
作品として、大成功していますね。

『曽根崎心中』など歌舞伎の演目のキャストの演技、演出に思わず息を止めて見入ってしまうところがいくつもあります。
この見せ方、上手いとしか言いようがない。
全体的に、とても美しい作品です。
そして、上映時間の長さもあって、大作感もたっぷりあります。

また、主演2人だけの演技だけではなく、他のキャストの演技も素晴らしい。
出番は少ないけど田中民なんて、もう女方にしか見えない。
あの女言葉を聞くだけで震えてしまいます。

物語自体は、結構ありふれたものになっています。
難解な作品ではありません。
昔のヤクザ映画の成り上がり系の展開に似ています。
だからこそ、最初は下っ端ですが、だんだんと実力をつけて、壁にぶつかって葛藤して、成長していく様を見せてくれるのは、ワクワクしてしまいます。
伝統の歌舞伎の世界を中心に描きながら、主人公たちの成長の過程の浮き沈みを丁寧に描いているので、ドラマとしての厚みもあります。
そして、映像も美しい。

ただ、少し気になったのは、物語にややダイジェスト感があるところです。
特に前半は設定の説明も含み、序盤でありがちな置きにいっている感じがちょっとあります。
上映時間が174分とかなり長いのに、それでもダイジェストっぽくなるところがあるのかとは思ってしまいました。
とはいえ、成長の過程やクライマックスの『曽根崎心中』など、じっくり描いている部分を強調している事もあり、多少そうなってしまうのもやも得ないところなんでしょうか。

歌舞伎を描いているので、松竹作品かなと思いきや、今作は東宝作品。
東宝が歌舞伎を描いているというとろこも面白いところです。
松竹はお株を取られてしまった感じになってるんじゃないでしょうか。

2025年6月6日(金)から公開された今作。
初動こそ3位発進でしたが、週を重ねるごとに動員が増え125億円(2025年9月初旬現在)を超える特大ヒットになりました。
これは、2003年の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の約173億5,000万円に次ぐ、日本映画実写作品の歴代2位の記録になっています。

【書いた人】
映画大好きroninです。
年間、劇場など新作を350本前後、その他配信などで約700本以上の映画を観ています。
ラジオドラマを数本、映画のシナリオや企画も執筆しています。
たまに映画のトークイベントやラジオにも出演。
映画検定2級。
アメブロで映画のブログやってます!
https://ameblo.jp/roninfilms/



制作国

日本

作品カテゴリー

映画

公開日

2025年6月6日

作品ジャンル

ドラマ

公式サイト

公式サイトへ移動する

あらすじ


任侠の一門に生まれた喜久雄。彼は父の死後、歌舞伎の名門当主・花井半二郎に引き取られ、その世界へ。そこで、半二郎の実子で御曹司の俊介と出会う。

血筋も才能も異なる二人はライバルとして、共に芸に青春を捧げ高め合うのだった。

だが多くの出会いや別れ、葛藤、信頼と裏切りが運命を狂わせる。喜久雄は激動の時代を生き抜き、もがき苦しみながらも「国宝」と呼ばれる存在へと至る。



レビュー 22件

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4.6

~5

86%

~4

9%

〜3

0%

〜2

5%

〜1

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2025.9.14

ちゃん/40代/女性

5.0

0

涙なしには見られない 映画館で見るのがおすすめ 映像が綺麗


主人公が国宝を目指す映画。シナリオがとにかく上手い。ちょうど真ん中あたりの、上演中の歌舞伎内容と実際に起こっている出来事がリンクするシーンは、思わず膝を打ってしまった。クライマックスの舞台中に分かる真実も、主人公の気づき方が良い。原作は未読だが、奥寺佐渡子さん実力にただ平伏すのみ。

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2025.8.25

いく沙美/30代/女性

5.0

0


今年邦画ナンバー1ということも納得できますし、吉沢亮さんの代表作になると思います。演技力が高いお二人の俳優さんの魂を感じる作品でした。素晴らしいの一言です。にわかファンがなんとなく見る作品ではないです。

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2025.8.23

shiwokon/30代/女性

4.5

0


今年、これを超える邦画は表れるのでしょうか。好みや趣味を度外視して、いい映画だったと言わざるを得ない説得力のある映画です。3時間という上映時間がネックでしたが、心配いりませんでした。

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2025.8.19

ひろまりちゃん/30代/女性

5.0

0

涙なしには見られない 映画館で見るのがおすすめ 美意識向上


歌舞伎ファンの父親と行きましたが大感動していました。私は吉沢亮と横浜流星目当てだったので二人の美貌にただただひれ伏すだけでした笑

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2025.8.9

さくら24/20代/女性

4.5

0

映画館で見るのがおすすめ 映像が綺麗 感動


最初から最後まで映像が本当に美しく、吉沢亮さんの繊細な演技に引き込まれました。
映画館で何度も観たくなる作品です。

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2025.8.8

Sae0624/20代/女性

4.5

0


伝統とか格式とか遠い存在だと思ってたけど、映画の中の人たちはめちゃくちゃリアルで悩んでて、気づけば感情移入してた。

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2025.8.7

kibiwa/30代/女性

5.0

0

尊い 映画館で見るのがおすすめ 音楽がいい


もうとにかく綺麗!
ぜひ大迫力の映画館で観ていただきたい!
主役のお二人ももちろん素敵なんですが、田中泯さんの演技に圧倒されます。
万菊さんが出てきた時のピリッとした空気。
長時間なんて感じさせない観応えのある映画です!

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2025.8.4

kazu0210/10代/男性

5.0

0

面白い


映像美が素晴らしく、日本文化の奥深さを改めて感じることができました。静かながらも心に響く構成で、最後まで引き込まれる作品でした。

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2025.7.14

rinoyuzu/50代/女性

5.0

0

映画館で見るのがおすすめ 美意識向上 映像が綺麗



とにかく、吉沢亮の演技にやられました。感情が手にとるようにわかる演技でした。映画館で観ないと良さが伝わらないと思うので、気になっている方は、絶対に映画館で上映されているうちに観た方が良いと思います。女性陣の心情があまり深掘りされていないように感じたので、これから原作を読んで補完したいです。

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2025.7.14

キブネ/30代/女性

4.5

0


タイトル通り、歌舞伎にかける熱い思いが伝わってきて本当に素晴らしかったし、映像や音楽が美しすぎました。そして吉沢亮さんと横浜流星さんが、本物の歌舞伎役者にしか見えないくらいの表現力で、めちゃくちゃ引き込まれました。


キャスト

【出演】
立花喜久雄[吉沢 亮] 大垣俊介[横浜流星] 福田春江[高畑充希] 大垣幸子[寺島しのぶ] 彰子[森 七菜] 竹野[三浦貴大] 藤駒[見上 愛] 少年・喜久雄[黒川想矢] 少年・俊介[越山敬達] 立花権五郎[永瀬正敏] 梅木[嶋田久作] 立花マツ[宮澤エマ] 小野川万菊[田中 泯] 花井半二郎[渡辺 謙]  
【スタッフ】
原作[「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)] 監督[李相日] 脚本[奥寺佐渡子] 製作幹事[アニプレックス/MYRIAGON STUDIO] 制作プロダクション[クレデウス] 配給[東宝]  


予告動画


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