カズノコ
40代/女性
210 件のレビュー
5.0
ノーラン監督らしい、場面場面をとても丁寧に描写した濃厚な作品でした。正直、核についての専門家たちの話は難しすぎてほぼほぼついていけず。人の名前や役職なんかを覚えるのも大変。でもそんな感じで観ていても惹きつけられるものがあります。オッペンハイマーが広島への原爆投下の場面を想像?するシーンでは、炎や爆風で吹き飛ばされる人のイメージがチープで、そこはちょっとどうなのと思いましたが、全体を通して戦場の場面が描かれるわけではなく、あくまで原子爆弾がどのような需要をもって開発されたのか、どのような困難があったのかに重きが置かれているので、ヒューマンドラマとして観ることができます。それでも被爆国の日本国民としてはいろいろ思うところはありますが。オッペンハイマーをただの英雄としての側面で持ち上げてるだけの作品ではないですが、アメリカ人が撮れば当然なのか、やはり原子爆弾が悪だとは描き切れていないんですよね。苦悩するシーンはありましたが、その場面にはあまり時間が割かれていない気がしました。
2025.03.14 投稿
3.0
原作とは時代設定が違うので雰囲気が全く違う印象を受けました。大まかな流れは同じですが、感じる人物像がイマイチはまらないというか。女性はなんでこんなに口が悪いんだろう…原作もこうだっけ?としばし考えてみたり。ストーリーもこうやって映像で見るといろいろと無理があるなぁと感じました。いや、この作品だからでしょうか。目隠ししてバスに乗る意味のなさ、最後に唐突に始まる久我の名推理。そんなに捜査してなかったけどすごいなとつっこんでしまいそうなくらい。映像化に向いてる東野圭吾さんの作品なら他にもっとあるでしょうにと思いました。あと中条あやみさんの演技力の無さが際立っていましたね。
2024.09.12 投稿
5.0
戦後の混乱の中、追い打ちをかけるように町を破壊しまくるゴジラの出現ですか。まさにマイナスですね。そのへんの前知識はありましたが、思っていた以上に戦争の存在感が強い作品でした。特攻隊とて恐怖心がないわけではなく、逃げ出したくなる人がいても当たり前。そして逃げ出したことや、生きて帰って来たことへの逃れられない罪悪感が主人公を追い詰めます。そのやり場のない怒りや苦悩を取り払うためかのように、ゴジラに立ち向かう決意をするまでが、とても丁寧に描かれていて没入することができました。あまり豪華俳優陣で固めていないキャストも良く、ストーリーに集中することができます。本作のゴジラも鳥肌が立つほどカッコよくて迫力満点。映画館の大きなスクリーンで観れば良かった~とそれだけが後悔です。
2024.09.07 投稿
3.0
原作を読みましたが、原作ではロースクールの模擬法廷でも淡々と法律知識が繰り広げられ、久我清義の弁護士としての動きも頼りがいがあって現実味があるものでした。しかし映画では、極端なほど病みキャラの久我が意味わからないし、公判前整理手続きで検事相手にただ「やってません。無実です」を繰り替えす無能っぷりがひどい。模擬法廷が洞窟ってまるで金田一の世界観。裁判員参加者に無駄に盾突く大森南朋のハイテンションキャラもよくわからないし、ギャグのようにさえ感じました。リアリティのなさがひどい。裁判が進んでいくにつれて見ごたえが出てきましたが、まじめなサスペンス映画を期待していたので、裁判、法廷という物をもっと時間をかけて丁寧に描いてもらいたかったなと思います。
2024.09.07 投稿
4.0
ドキュメンタリー映画に近いような、実話に対してかなりリアリティをもって作られたとよくわかる作品でした。ストーリーはあるにはありますが、とにかくあのカムデシュの戦いの壮絶さを丁寧に描いたという感じです。前半はあまり理解できない、というかついていけない会話だらけで退屈に感じましたが、いざタリバンからの猛攻撃が始まると、その凄まじさに本当に手に汗握る時間が流れました。これがリアルなんだと放心状態です。エンドロールはきつかったですね。初めて見たスコット・イーストウッドがお父さんにそっくりでびっくりでした。大好きなケイレブ・ランドリー・ジョーンズもやはり素晴らしい熱演で、悲しく辛い作品でしたが観終えた今、満足度は高いです。
2024.07.03 投稿
4.0
2人の女性がなぜヴァンパイアとして生きることになったのかという、数100年前の出来事が核になっている物語です。その過去を少しずつ紐解きながらストーリーは進み、クララが娘エレノアを想う気持ちの強さに圧倒されていきました。全ては娘のために、でもそれがエレノアを苦しめ、エレノアは嘘をつき続ける長い人生に嫌気がさしてゆく。シアーシャ•ローナンの真っ白で儚げな姿が、まさに数100年を生きる悲しい運命を背負った少女そのものです。そしてケイレブ•ランドリー•ジョーンズの美しさ。彼もまた病に伏せるこの役にハマりすぎてて素晴らしかった。恋をして、その相手を救うためにできることを考えた時、それは命を奪うことではなく与えることだ、とあることを実行したラストは、彼女の永遠の孤独が解消されたのではないかと深く感動しました。
2024.06.26 投稿
3.0
溜まりに溜まった、ニトラムの孤独感と絶望と怒り。それが文字通り爆発するまでの過程を丁寧に描いています。カンヌで主演男優賞を取ったのも納得の、ケイレヴ•ランドリー•ジョーンズの演技が素晴らしく、「自分で自分がわからなくなる」と母親に話した時、少し涙が出てしまいました。周りの人となじみたい、バカにされたくない、誰かといたい。誰しもが思うようなことを彼も常に心に抱えていたんだなと、その気持ちが痛いほど突き刺さります。しかしそれが犯罪を起こす動機になったとしても許されるわけはありません。このような境遇の人を支える周りの社会のあり方やケアなど、事件後となった今ではいろいろ思うことはありますが、彼が幼少期からもっと手厚い支援を受けていたらどんなに良かったかと思わずにはいられませんでした。最後ニトラムの心の爆発がどのような凄まじさだったのか、もう少し描写されていてほしかったとも思いますが、そこは少なからず実際の遺族の方への配慮があったのかなと感じます。
2024.06.25 投稿
5.0
最近お気に入りの俳優、ケイレブ•ランドリー•ジョーンズ主演の作品です。ダークヒーロー爆誕!なんてキャッチコピーなので、また新しいヒーローものの作品ができたのかと思わされましたが、全く違いました。不幸な生い立ちから心身ともに傷を負った、幸せな人生を歩みたかった男の物語。ドラッグクイーンということもあってか、主人公の見た目はちょっとあのジョーカーのメイクを彷彿とさせますが、世の中全てぶっ壊してやる!というなげやりな生き方はしない、心の優しい人物です。あんな壮絶な過去があっても、むやみに周りを敵にしない、礼儀も正しく、何より犬たちへの愛が溢れている。その姿がどこか安心できたり、逆に痛々しかったり。犯罪は犯罪としてダメなのですが、心も体も動かして前に進むためには、このようにして生きるしかなかったのだろうと思うとつらくなりました。家族以外の周りの人間は心優しい人が多く、特別めちゃくちゃ迫害されているというわけでもないのがほっとしました。犬たちには愛され、それなりの幸せはつかめたのだと思いたいです。ラスト、命を削ってまで自分の足で歩いた先に、本当の解放があることを願ってやまないです。
2024.06.11 投稿